(2)秘密の花園

 

 

 

チャンミンは股間を見下ろしていたが、いきなり俺の下着に手を突っ込んだ。

 

「あ、こら!」

 

そして、半勃ちレベルになった俺のペニスを引っ張り出した。

 

「ユノ...おっきいね」

 

チャンミンは、手の平に載せてふにふにと軽く握ったり離したりした。

 

「っん...」

 

細くて長い、神経質そうな指だと思った。

 

「僕のも、握って」

 

男同士はこういう点、遠慮がないなと思った。

 

「早く!」と急かされ、下着ごとパンツを引き下げたら、チャンミンのペニスが弾みよく飛び出た。

 

「...すげーな...」

 

握ると、熱く脈打っていて、チャンミンの興奮がダイレクトに伝わってくる。

 

「......」

 

俺たちは貪るように口づけを交わす。

 

舌を吸いながら、左手はチャンミンのペニスを一定のリズムでしごく。

 

チャンミンも、俺の裏筋を親指で刺激しながら、他の4本で竿をしごく。

 

「んっ」

 

ヤバ...とにかく気持ちがいい。

 

ペニスの扱い方は、お互い知り尽くしているから、当然か。

 

女の子がやる遠慮がちなデリケートなしごき方じゃなくて、遠慮のないしごき方だ。

 

強い快感が背筋を駆け抜けて、目がくらみそうだ。

 

チャンミンの先走りの量がすごくて、ぬるぬると面白いように指が滑る。

 

「あ...っ」

 

チャンミンの喘ぎ声が、女の子っぽくてそそられる。

 

唇を離して、互いの肩に額をのせる。

 

「はぁ、はぁ」

 

息が荒い。

 

このままイってしまっては勿体ない。

 

ペニスをつかんだ手を離して、互いの指を絡めた。

 

俺たちのペニスを密着させた。

 

股間を見下ろすと、ビジュアル的にエロくて興奮する。

 

チャンミンはとろんとした目で、口を半開きで、腰を揺らし始めた。

 

「あ...ん」

 

声が女っぽいんだよ。

 

途端に俺のペニスがグッと硬く膨張した。

 

俺も腰を小刻みに揺らして、チャンミンのペニスにこすりつける。

 

「気持ちいいか?」

 

「う...うん...あっ...」

 

俺の敏感なところが、チャンミンのそこに当たって、互いの先走りが混ざり合って、ぬるぬるとこすり合わさる。

 

腰の動きを止めて、柔らかな尿道口同士をぬるつかせたら、チャンミンの膝ががくっと抜けそうになって、俺は腰を支えてやる。

 

「それ、駄目...そこ...駄目」

 

とうわ言みたいに繰り返すから、指のしごきを加えてやった。

 

「だ、駄目っ」

 

チャンミンに手首を捉えられてしまった。

 

「ユノ...駄目」

 

腰を引いたら、2つの亀頭の間につーっと糸が引いた。

 

なんて眺めだよ。

 

俺たちは、手探り状態だった。

 

どこをどうすればいいか分からなかった。

 

今はただ、俺とチャンミンが向かい合わせに立って、目の前に突き出された互いのペニスをまさぐり合うだけだ。

 

俺の腹とチャンミンの腹で、2本のペニスを挟み込んだ。

 

深く口づけながら、腰を上下に動かす。

 

互いの亀頭がぐりっと重なり合った時、

 

「はぅ...ん」

 

チャンミンは天を仰いで大きく喘いだ。

 

上では、互いの口内を舌でいっぱいにする。

 

すげぇ気持ちいい。

 

目の前で、俺の興奮とチャンミンの興奮が、物理的ににくっついてるんだ。

 

チャンミンも同様で、亀頭がずりずりと合わさる光景を見下ろして、ぱんぱんに怒張した。

 

「あ...ん、あ...ん」

 

だから、喘ぎが女っぽいんだって、と心中で突っ込みを入れながら、俺もかすれ声交じりの吐息を漏らす。

 

視線を交わして合図を送る。

 

俺のペニスもチャンミンのものも、俺は両手で一緒くたに握った。

 

 

これまでの人生で、ペニスを2本まとめてしごいたことは、ない。

 

俺以外の勃起したペニスを間近で目にすることも、触ったことも、ない。

 

目の前のこの男、チャンミンとキス以上のことをしようと思ったら、こうするしかないんだ。

 

「ユノ...すき...」

 

「!」

 

そういう可愛いことを、急に言い出すなって。

 

俺が腰をチャンミンにこすりつけるように揺らす間、チャンミンは俺の首に両手でかじりついている。

 

「あっ...ん...んっ」

 

2本まとめて射精したいところだ。

 

チャンミンの方が早そうだ。

 

「も...だめ...イキそ...」

 

チャンミンのペニスの根元を強く握って抑えたが、駄目だ、視線がうつろになっている。

 

「待て...!」

 

「だめ...もた...ない...!」

 

腰の動きを止めて、ペニス同士を密着させてしごく手のスピードを上げた。

 

股間の奥の圧力が増した。

 

「イっちゃう...」

 

手の中のモノも、ぎちぎちに硬く膨れてきた。

 

チャンミンは腰を小刻みに揺らし出した。

 

「イクっ...イクっ...イっ」

 

ビクッと痙攣したのち、チャンミンの方から熱いものが噴出し、

 

「んっ...!」

 

俺の視界が一瞬白くなった末、遅れて俺の方も達した。

 

互いの腰がぶるぶるっと震えるごとに、白いものが吐き出される。

 

 

チャンミンは俺の頭を力任せにかき抱いているから、俺は息ができない。

 

 

「はあはあはあはあはあ...」

 

 

2人して肩で、荒い呼吸を繰り返した。

 

チャンミンの腕がほどかれると、どさっと俺は床に尻から倒れこんだ。

 

「あちー」

 

チャンミンも崩れ落ちるように腰を落とすと、そのまま床に大の字になった。

 

冷房の効いていないロッカールームは蒸し風呂のようで、俺たちは汗でずぶ濡れだった。

 

チャンミンの白いTシャツは、ぴっちりと肌に張り付いて、肌色が透けている。

 

 

「これは...一種の...運動だな」

 

「うん...」

 

「なんとかなるもんだな」

 

「うん」

 

「...なんとか、なった...」

 

「うん」

 

「ん?」

 

チャンミンが俺のTシャツの裾を引っ張っていた。

 

「次は...」

 

寝っ転がったチャンミンが、潤んだ目で俺を見上げていた。

 

「服を脱いでやりましょう」

 

「ああ」

 

よかった、チャンミンも俺とのことを気に入ってくれたようだ。

 

「それから」

 

チャンミンの腕が伸びて、俺の両頬を挟んだ。

 

「次は、涼しい部屋でやりましょう」

 

そう言って、唇が当たるだけの優しいキスをした。

 

「もちろん」

 

ロッカールームは、いくら若い俺たちだって参るくらい過酷過ぎる。

 

半身を起こしたチャンミンは、両腕を上げてTシャツを脱いだ。

 

俺は見惚れた。

 

正しい位置に、正しい分量の筋肉をまとった美しい背中だった。

 

「恥ずかしいから、見ないで」

 

顔を赤くさせて、脱いだTシャツを俺に手渡す。

 

「?」

 

「拭きなよ。

ユノのお腹についてる」

 

確かに俺の下腹部と、陰毛にチャンミンの、いや俺のか?、どっちのでもいいが、精液が跳ねついていた。

 

「拭いたらチャンミンは、着ているものどうすんの?」

 

「あ、そっか...。

別にいいよ、気にしない」

 

俺はチャンミンに手を貸して立ち上がらせた。

 

立ち上がった途端、チャンミンに尻をガシっとつかまれた。

 

「おい!」

 

「ユノのお尻...触り心地がよかった」

 

眉を下げて目を細めてニヤニヤしている。

 

「やらしいこと言うなよ」

 

「ふふふ。

僕らは、いろいろと勉強しないと、ね?」

 

「確かに」

 

『勉強』の内容はきわど過ぎるが。

 

「俺は嫌だからな。

チャンミンの方だからな!」

 

「えー、どうして僕が『ウケ』なの?」

 

「お前、やっぱり詳しいじゃないか!?」

 

「ユノの方こそ、知ってるじゃん」

 

「......」

 

「どっちが向いているかは、やってみなくちゃ分からないよ。

フェアにいきましょう」

 

「なんだそれ?」

 

「あーもー!

ユノのせいで、精液臭い」

 

「俺のとは限らないだろ?」

 

「ううん。

これは、僕のじゃない」

 

チャンミンがTシャツをくんくんさせてるから、俺はチャンミンの背中をどついた。

 

「そういう恥ずかしいことは、やめろって」

 

「ははは」

 

 

 

 

チャンミンが射精する瞬間の、切なげな表情がたまらなかった。

 

キャップとマスクの隙間からのぞいた可愛らしい目元に、チャンミンのことを「女」だと思ったんだ。

 

しかし、つなぎの上を脱いで袖部分をウエストに巻き付けた時、身体付きを見てはじめて、チャンミンは男だと知った。

 

俺もTシャツ姿になっていたというのに、チャンミンは気付かなかったのか?

 

どう見ても男だろう!?

 

一体どこを見てたんだ?

 

後日、チャンミンに尋ねたら、

 

「ユノの顔しか見ていなかった。

あまりにも綺麗な目で、目が離せなかった」

 

なんて、可愛い返事がもらえた。

 

チャンミンに褒められた目で、俺はチャンミンの背中に熱い視線を送る。

 

 

以上が、俺とチャンミンの「コト始め」のすべてだ。

 

思い出すと、無知でぎこちなくて笑ってしまうが、当時の俺たちは真剣だった。

 

俺には当時、付き合って1年になる彼女がいた。

 

チャンミンと牛の腰角ごしに視線が交差した瞬間、彼女と別れよう、と決心したんだ。

 

 

『僕のユノのコト始め』終わり

『僕とユノの時間割』につづく

 

 

[maxbutton id=”19″ ]

[maxbutton id=”23″ ]