(11)ハグを邪魔されてー男になるんだ!ー

 

 

「......」

 

「え...っと」

 

仰向けになったチャンミンの上に、馬乗りになったミミだった。

 

互いの暴露タイムを経て、二人の間に妙な緊張感が漂っていた。

 

スタートを切るための小さな合図を待っていた。

 

(男になるぞ、シム・チャンミン!)

 

よし、と小さく頷くとチャンミンは身体を起こすと、着ていたTシャツを脱いだ。

 

ミミの目の前で露わになったチャンミンの半裸姿に、ミミの心拍数が上がる。

 

(あらら)

 

ほっそりとしているが、うっすらと適度な筋肉がついていて無駄がなくて、ミミは見惚れてしまう。

 

 

「ぼーっとしていないで。

ミミさんも、パジャマを脱いでください」

 

(私も脱ぐの!?)

 

「う、うん」

 

あたふたとミミも、パジャマのボタンを外し始める。

 

(ちょっと待ってよ!

いきなり服を脱いじゃうの!?

いいムードで、少しずつ脱がしていくものじゃないの!?

二人とも脱いじゃうの!?)

 

チャンミンに急かされるままミミは、パジャマの上下を脱いだ。

 

「!!!」

 

ブラジャーだけになったミミを見て、チャンミンはギョッとして、顔をそむけてしまった。

 

(ミミミミミミさん!

眩しいです、眩しすぎます!)

 

「電気を消してください。

恥ずかしいです」

 

(いつものチャンミンだったら、

「明るい方が興奮します。ぐふふ」って言いそうなのに、

いざその時になると、照れ屋になってしまうチャンミンが、可愛い!)

 

ミミの下着姿に動揺して顔をそむけていたチャンミンだったが、そうっとミミを見る。

 

「何ですか、それは!?」

 

「え?」

 

指摘されて、ミミは胸元に目をやる。

 

「変...だった?」

 

(胸が小さいってこと?)

 

 

「“あの”可愛いブラジャーじゃないですね。

どうして、あれじゃないんですか!?」

 

一度身につけたものの、照れくさかったのと、スタイルに自信をなくしたミミは、いつもの下着にチェンジしていたのだった。

 

「あれはちょっと...恥ずかしくて...」

 

 

「別にいいですけど。

どうせ、すぐに脱がしちゃうんですからね」

 

ふふんとチャンミンは鼻だけで笑ったが、その実内心はピンクな嵐の中でもみくちゃにされていた。

 

(余裕ぶっちゃってるけど、めちゃくちゃ緊張してるんです。

もし、あのセクシー下着をつけてたら、僕はどうにかなってましたよ。

ミミさんも照れていないで、僕をリードして下さいよ!)

 

 


 

ミミさんのうなじを引き寄せて、最初は軽いキス、次は舌をからめる深いキスをする。

 

ミミさんをお姫様だっこして、優しくベッドに横たえると彼女の上に覆いかぶさる。

 

ミミさんのパジャマのボタンを焦らすように一つ一つ外していくと、ミミさんはすごく恥ずかしがって、そんな彼女が可愛らしくて。

 

僕は、ミミさんの全身すみずみまで、ついばむようにキスをして、触れて、揉んで。

 

僕がタッチするたび、甘い吐息を漏らすミミさんは僕の首にしがみついてくる。

 

ミミさんのあそこを...あそこを、爪で傷つけたりしないよう(ちゃんと短く切ってあるよ)、僕は細心の注意を払う。

 

ミミさんをもっと気持ちよくさせて、とろとろになるまで愛撫する。

 

僕の方はもちろん、いつでも準備OK、角度と硬度は共に絶好調。

 

ミミさんの耳元で、「挿れるね」って囁くとミミさんは「うん」って頷くんだ。

 

この後は、恥ずかしいから省略。

 

スタートは正常位で、途中に5種類くらい違うのを挟んで、正常位でフィニッシュ。

 

ミミさんたら、途中で泣いちゃったから、僕はぎゅっと抱き寄せて髪を撫でるんだ。

 

 

 

・・・っていう流れのはずが!

 

僕ときたら、何かを間違えてしまったみたいだ!

 

 


 

 

「......」

「......」

 

(ど、どうしよ)

 

下着だけになったチャンミンとミミは、二人並んでベッドに腰かけていた。

 

照明を消したため、互いのシルエットがぼんやり判別できる暗さだ。

 

だとしても、恥ずかしくてたまらないミミは、脱いだパジャマを胸に抱きしめていた。

 

(裸からスタートって...余計に恥ずかしいんだけど!?)

 

(さて、と。

服は脱いだ。

で、それからどうする?)

 

 

チャンミンは、「よし!」と小さくつぶやいた。

 

(シム・チャンミン、男になろう!)

 

チャンミンは、ミミの首筋にかかった髪をかき分けると、むき出しになった首筋に唇を押し当てた。

 

チャンミンの唇の下で、ぴくりとミミが震えた。

 

首筋から顎まで唇を這わせた後、ミミの唇をこじ開けて舌をねじこんだ。

 

昼間のキスで、ディープキスの気持ちよさを覚えたチャンミン。

 

「んんー!」

 

(やだ、チャンミン!

覚えたてのくせに、キスが上手すぎ!)

 

息が苦しくなって(チャンミンはまだ、スマートな息継ぎの仕方を知らない)唇を放すと、チャンミンはミミをかき抱いて、二人一緒にベッドに倒れこんだ。

 

 

「ずっとこうしたかったです」

 

カーテンの隙間から外灯の灯りがわずかに届いて、ミミのなだらかな身体の輪郭がぼんやりと浮かんでいる。

 

(う、うう...。

ミミさん、綺麗です...。

感動します)

 

横向きに寝転がった二人は、見つめ合う。

 

「チャンミン...泣いてるの?」

 

ミミはチャンミンの頬に触れて、チャンミンの目もとに光るものを拭った。

 

(男の僕が泣いてどうするんですか?

でも、嬉しくて、あまりにも嬉しくて)

 

「僕はこの時のために生きてきたんです」

 

「大げさねぇ」

 

仰向けのミミの上に、チャンミンはのしかかると、ミミを押しつぶさないよう肘と膝で体重を支えた。

 

チャンミンの指が、ブラジャーのホックにかかる。

 

(これをスマートに外せないと、かっこ悪いんだ。

 

ん?

 

ここをこうして...お!

良かった、外れましたー)

 

ミミの膨らみを収めていたそれを、チャンミンは丁寧な手つきで外していく。

 

(おーーー!)

 

(恥ずかしいよー。

『ペチャパイだな』って思ってたらどうしよう!)

 

「......」

 

(感動します)

 

「綺麗、です」

 

性急にわしづかみすることもなく、チャンミンはそうっとミミの胸に触れた。

 

(ミミさんの...おっぱい!

柔らかいです)

 

揉んだり、揺らしたり、寄せたり、ミミの胸の柔らかさを楽しんだ後、先端に口をつけた。

 

 

(おー!

硬くなってきましたね。

ミミさん...エロいです)

 

 

ミミは恥ずかしさのあまり、両手で顔を覆っている。

 

(こんなシチュエーション初めてじゃないくせに、

まるで初めての時みたいに、ドキドキする!)

 

ミミの胸に夢中になっていたチャンミン。

 

 

(ん...ちょっと痛いかな。

もっと優しくして欲しいんだけどな。

強く吸い過ぎ...かな。

でも、こんなことチャンミンに言えないよ。

彼ったら、必死なんだもの)

 

 

「いたっ!」

 

「ごめん、痛かった?」

 

 

(ついつい、おっぱいに夢中になり過ぎました。

かっこ悪すぎます...)

 

チャンミンは慌てて唇を離すと、ミミの胸に頭を預けてふうっと息を吐いた。

 

互いの素肌が密着して温かく、身体を動かすとさらさらと肌がこすれる。

 

「ミミさんの肌、気持ちいいです...」

 

「うん、そうだね」

 

ミミの胸にのった火照ったチャンミンの頬が、熱い。

 

チャンミンの耳にはミミの早すぎる鼓動が聞こえた。

 

チャンミンは、さりげなく手を伸ばして、股間を確認する。

 

(よし!

硬度、角度共に合格!

萎えちゃったらどうしようかと思いましたよ)

 

(あ!)

 

自分の膝に当たるものにミミは気付いて、安堵した。

 

(よかった。

私の裸を見て、チャンミンはちゃんと反応してくれた。

もっとがっつくかと思ったら、

優しいタッチで、意外だな)

 

チャンミンの手つきはぎこちないが、ひとつひとつの動作がゆっくりと丁寧だった。

 

ミミも腕を伸ばして、チャンミンの背筋に沿って柔らかいタッチで、撫でおろした。

 

「あ!」

 

チャンミンの背中がビクッとする。

 

(ミミさん、思わず声が出ちゃったじゃないですか!)

 

(チャンミン、可愛い)

 

 

(次は...?

この次はどうすればいい?)

 

チャンミンは、日ごろお世話になっているAVのストーリーを思い出す。

 

(酔いつぶれた女上司にホテルに誘われた後輩が...。

違うって!

 

眼鏡をはめたセクシー女教師に保健室に誘われた、男子高校生が...。

ちょっと似てるけど、違うって!

 

父親の再婚相手が色っぽい美人で、息子と義母との禁断の関係が...。

こら!こらー!

 

「合体」に至るまでの流れと手順を思い出すんだ、シム・チャンミン!

 

しまった!

 

早く「合体」してるところを見たいあまり、出だしのところを早送りしてたんだった!

 

僕の馬鹿馬鹿!)

 

焦ったチャンミンはぴたりと動きを止めてしまう。

 

 

(私も頑張らなくっちゃ!)

 

これまで、初めての狩りの様子を見守る親鳥のような心境だったミミは、「よし」と頷くとチャンミンの腰に手を伸ばした。

 

「ひゃっ」

 

ミミの指がチャンミンの下着のゴムにひっかけられ、チャンミンはビクッとする。

 

ミミが下着を脱がそうとしていることに気付いて、チャンミンは慌ててミミの手首をつかんだ。

 

「わっ!

恥ずかしいです」

 

「脱いでくれないと、出来ないでしょ?」

 

「...それは、そうですけど...」

 

「恥ずかしがらないで。

チャンミンのなんて、とっくの前に披露してくれたじゃない」

 

「!」

 

(いつもと逆の立場は調子狂います。

ミミさんをからかっていたいつもの僕は、どこにお散歩にいっちゃったんですか!?)

 

 

「チャンミン...好きよ」

 

「!」

 

ミミは身を起こしてチャンミンを膝立ちにさせると、チャンミンの胸に口づけをしながら、ゆっくりと彼の下着を脱がせていった。

 

 

(おー!

ミミさん...

舐め方がエロいです。

 

気持ちいいです...。

 

ひゃっ!

 

吸わないでください、力が抜けます...。

 

ミミさん、凄いです。

「経験者」はさすがに違います)

 

(!)

 

ミミの視線は、チャンミンのあそこにロックオンされた。

 

薄暗い中でも、触らなくても、シルエットだけでもよくわかる。

 

(やだ...!

 

この子ったら、

 

この子ったら...。

 

身体も大きいけど、

 

なんて立派な!!)

 

 

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