5.救出劇-My Destiny-

 

太いベルトに固定され、射出座席ごと横倒しになった男性だった。

 

身体のサイズから、男性だと判断したまでのこと。

実際、性別が分からないくらい、泥だか、煤だかで真っ黒だった。

胸部と太ももから下が、出血のためどす黒くズボンが染まっている。

レスキュー隊が、刃物でベルトを切ると、ぐにゃりとした身体が地面に転がる。

ヘルメットで顔は分からない。

息がある証拠は、弱々しく胸が上下しているから。

救急隊員は、「せ~の」の合図でストレッチャーに担ぎ上げる。

ララは、呼吸も忘れるくらい、一部始終を凝視していた。

顔半分を覆っていたヘルメットが脱がされて、その人物の顔があらわになった。

顔立ちが全く分からないのは、煤と火傷、、頭から流れる血のせいだ。

(...ひどい...)

ララの目の前を、ストレッチャーが横切る。

血液が固まって束のようになった髪の色は分からない。

まぶたは閉じられていて、瞳の色もわからない。

黒こげのグローブを脱がされた手は、無傷で、筋ばった長い指の持ち主だとわかる。

わずかに開いた口元の感じから、若い男性らしい。

野次馬たちは素早く後に下がって、ストレッチャーのために道を開ける。

 

彼らは、一部始終を、息をのむように見守っていた。

バックドアが閉まり、瀕死の男性を乗せて、救急車は走り去った。

(どうか...)

ララは祈る。

(どうか、助かって..!)

 

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