8.テセの提案

 

ララにチャンスが到来した。

一週間前のあの晩は、慌ただしく人々が行き交い、緊迫した空気が漂う医療エリアへはとても近づける雰囲気じゃなかった。

(やっぱり、不謹慎だよね...。

私ったら、野次馬根性丸出しだもの)

反省したララは、おとなしく自室に戻ったのだった。

翌日からは、いつも通りの日々が始まり、テセもいつも通りだった。

人づてに、

「無事に一命をとりとめたらしいよ」

「でも、未だ意識は戻ってないとか」

「あの人、どこから来たのかしら」

聞いて、ますますララの「見てみたい」欲は増していった。


 

休憩時間や終業後、ララは屋上に上がって、白茶けた荒野を見渡した。

激しく残った墜落跡の周囲を、事故調査にあたる人員があちこちにいるのが見えた。

テセのとりとめない話を聞き流すララ。

「そんなに気になるのなら、俺がなんとかしてやろうか?」

手すりに乗り出していたララは、勢いよく振り向く。

「ホント!?」

「ああ。

いつまでもうわの空じゃ、こっちはたまったもんじゃないからね」

サンドイッチをもぐもぐ食べながら、テセは笑う。

「あのパイロット、だいぶ安定してきたらしい。

後輩の彼女が看護師なんだけど」

ララは目をキラキラさせて、テセの腕をつかむ。

「うんうん」

「さすがに、専門外なララは看護師の代わりは無理だけどさ、

看護助手的なこと。

ほら、食事を手伝ったりとかはできるだろ?」

「うんうん」

「夕方6時から12時までの間なら、手伝ってもらってもいいってさ」

「いいの!?」

​「俺が心配なのは、今の仕事の後にやるんだからさ、キツくないか?」

「大丈夫!」

「なんで、そんなに気になるんかな...理解できないよ」

テセは苦笑し、立ち上がってパンの欠片を払う。

「テセ、ありがとう!」

(テセは、本当に優しい人)

ララ​はテセの腕に、自分の腕を絡ませた。

 

 

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