24.僕です-TIME第1章-

 

僕は、耳に装着してあるイヤホンの位置を、何度も直した。

 

ふうとひと息ついてから、リストバンドを操作する。

僕は、シヅクに電話をかけようとしていたのだ。

電話番号は、ミーナに教えてもらった。

​「なんでまた、どうして?」と、ミーナは理由を知りたがって、「どうしちゃったの~」としつこくて、参った。

​呼び出し音が鳴っている。

ドキドキと鼓動が早い。

手の平は汗ばんでいる。

(いい年した大人なのに)

呼び出し音が鳴っている。

(出ない...)

ごくっと唾を飲み込んだ。

​(まだ出ない...)

イヤホンから聞こえる、呼び出し音に集中する。

(......)

​これ以上呼び出したら、しつこくて執拗に思われるかもしれない。

終了ボタンを押そうとしたら、

『あんたは、どちらさんだぁ?』

​シヅクの声。

ただ、怒っているような、尖った声だ。

心の準備ができていなくて、うまく言葉が出てこない。

「あの...」

​『もしもーし!』

(もしかして、電話したらマズいタイミングだったかな)

『おい!どちらさんか?って聞いてるのよ、こっちは』

 

苛立っているシヅクの声。

​「僕です」

『僕って誰だぁ?

さっさと名乗れ!』

(そっか、シズクは僕の番号知らないんだった!)

すっとひと息ついて、僕は言う。

「チャンミンです」

「......」

​沈黙。

​固唾をのんで、待つ。

『どうした、どうしちゃったの、チャンミン?』

「......」

​(ミーナと同じ台詞を言わなくても!)

ムッとした僕。

​電話をしたことを後悔してきた。

『ねぇ、チャンミン?』

シヅクの声のトーンが、優しくなった。

『電話をもらえて嬉しいよ』

「...シヅク!」TIME第1章