26.うちに来てください-TIME第1章-

~シヅク~

 

​で、結局、だらだらと、2時間も話してた(私が)。

(そろそろ、電話切ろうかな、もう12時やないの)

あくびが出る。

(明日も早いんだよなぁ...)

「それじゃ、そろそろ寝るわ」

会話を打ち切ろうとしたら、まさかのチャンミンの爆弾発言。

驚き過ぎて、ソファから転げ落ちたもんね。

(チャンミンの奴、結局、雑談だけのために電話してきたんかなぁ?)

『シヅク』

チャンミンが、私の名前を呼ぶ。

「はいはい」

(さすがにしゃべり疲れた...)

『明日終わるのって、何時頃、ですか?』

「うーん、片付けがあるから、6時くらいかなぁ」

(すきっ腹に、酒はいかん、酔ってきた)

4本目のビールを飲んでいた。

(トイレに行きたい...)

​『えっと...』

(眠い...寝たい...風呂に入らんと)

『明日、うちに来てください』

「ぶはっ!」

​ベタな反応だったけど、本気で吹き出してしまった。

「なんやって?」

『明日、僕のうちに来て欲しい』

私がソファから転げ落ちたのは、このタイミングだ。

「ななな、なんやって?」

『シヅクに、来てもらいたいんだ、うちに』

全くの予想外のチャンミン発言に、全身から汗が噴き出してきた。

​「なんでぇ?」

(馬鹿!

男から誘われたら、理由をはっきり聞いちゃあかんのに)

​『シヅクに用があるからだよ!

シヅクは出張でいなかったし、

職場じゃ、ゆっくり話せないし』

「そっかー...」

『...無理なら、いいです』

「わかった」

『嫌ならいいよ』

「行くよ」

チャンミンが「すっ」と、息を吸う音が聞こえる。

​『いいんですか?』

(なぜ、敬語?)

​チャンミンの声が明るくなった。

「出張から戻ったら、まっすぐ寄るよ」

『よかった!』

(めちゃくちゃ嬉しそうじゃないの)

「うーんと、六時頃かなぁ...いい?」

『じゃあ、夕飯を用意しておくよ』

「美味しい物買っていくから、いい子でな」

(なんだよ、このやりとりは、男女が逆じゃないか!)

『子供扱いは、止めてくれないかな、シヅク』


 

 

電話を切った後、ソファに寝ころんでぼんやりと考える。

この数日の間で、チャンミンの中で何が起こったんだ?

客観的に見ると、間もなく三十路になる男にしては、言動が中高生レベルで、十分過ぎるほどキモイ。

でも、チャンミンならセーフ。

なぜだかは、分からないけど。

​照れることをスルっと発言できちゃうあたりが、単なる「ウブ」でもないわけで。

なかなかどうして、興味深いキャラクターだ、チャンミン君。

​チャンミンの「やる気スイッチ」を押してしまったのか?

​「やる気スイッチ」って、なんのやる気だよ!

先日のミーナとの会話を思い出す。

​『チャンミンのプライベートって凄そう、こわーい』

​チャンミンが隠している「素の姿」はすごいんだろうか...?

TIME第1章