34.自然なことだった-TIME第1章-

~チャンミン~

 

僕は、シヅクにキスをしていた。

とっさのことで、

当たり前で、自然な行為だった。

あの時は、そうせずにはいられなかった。

気づいたら、僕の唇をシヅクの唇に重ねていた。

僕の全神経は、シヅクの唇の感触に集中していた。

しっとりと、柔らかい。

僕は目を閉じていたから、シヅクの表情は分からない。


今夜の僕は、シヅクの一挙手一投足に、全神経を傾けていた。

僕の言うこと、やることに、直球で返ってくるシヅクの反応が楽しい。

​グラスを持つ細い手首や、短い襟足の髪から伸びる白い首が、僕の胸を締め付ける。

シヅクの目と僕の目が合う度、心臓の鼓動が早くなる。

シヅクが僕に触れると、お腹の底が熱くなる。

ボーイッシュな見かけと乱暴な言葉使いの裏には、彼女の温かい心が隠れている。

「不法侵入」したシヅクに対して、ムカッとしたけど、最初からシヅクを許していた。

怖い顔と言葉に、シヅクがどんな反応を示すのか、見てみたかった。

シヅクの見せる反応全てが、僕をたまらなくさせる。

食事をしながらもずっと、シヅクを見ていた。

彼女に楽しんでもらいたかった。

僕のもてなしのどこかに、「不正解」があったかもしれない。

シヅクなら、大らかに受け止めて、笑いにしてくれる。

シヅクに触れられると、僕の細胞全部が反応する。

くすぐったくて、幸せで、嬉しい、心地よい。

同時に、たまらない気分になる。

​僕から、シヅクに触れたい。

シヅクからじゃなく、「僕から」。

シヅクの耳に触れた時、

僕はギリギリだった。

指が震えるのを抑えて、

金具にひっかかった糸を解きながら、

僕より小さい身体や、細い首を間近で見て、

​「ああ、シヅクは女のひとなんだ」と、強く意識した。

多分...初めてだ。

僕の過去のことはよくわからないし、考えたくないから、​今はそっとしておく。

僕は、とても緊張していた。

焦って、シヅクの耳を傷つけないように、一生懸命だった。

彼女が、絶対に壊したらいけない宝物に見えてきた。

毛糸が外れて解放された、シヅクの赤くなった耳たぶと、

ホッしたシヅクの表情を見たらもう...

我慢できなかった。

気づいたら、シヅクの首を引き寄せて、

彼女にキスしていた。

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