私は高校教諭、30代独身、腐男子、自称腐紳士(ふじぇんとるめ~ん)である。
私の推しCPは「ユノ×チャンミン」だ。
この二人は二次元キャラではなく、私の受け持ちクラスの生徒だったりする。
・
フラストレーションを抱えていた。
昨夜、突然とある作品を読みたくなった。
BLへの世界の扉を開けるきっかけを作った××先生のデビュー作品が読みたくなったのだ。
日々増殖するコミックは、独り暮らしの2DKに置いておけず(1室は漫画部屋になっている)実家に置いてある。
時は深夜。
どうしても今、読みたい。
そこで、仕方なく電子コミックを購入することにしたのだ。
腐男子を自負している私だが、意外にも電子コミックは初体験だった。
私はY君とC君の営みの結合部分を見たかったのだ!
Y君のでっかいやつの、血管が浮いているところを見たかったのだ。
「......」
そこで私は知ってしまった。
電子版は白抜きだらけで、肝心なところが全く分からないことに!
私は心の目で、Y君とC君のそこを見る。
目を細め、持ち得る記憶を総動員させて、この空白に描かれた秘部を妄想する。
見える...見えない...見える...見え...ない。
見えない!
腐紳士の想像力でも補えない真っ白さ。
そもそも、どちらがY君でどちらがC君か、どう絡み合っているのかがさっぱり分からん。
コマ内が全て真っ白のものさえある。
何が描かれているのだ!
何が描かれているのかは分かっているけれど、デティールを知りたいのだ!
Y君とC君の合体したところが見たいのだ!
細かいシワや毛や血管が見たいのだ!
電子版を購入したことを悔やんだ。
腐紳士を自称していた自分が恥ずかしい。
(腐士へとランクダウンだ)
・
B君というチャンミン氏に懸想している生徒がいる。
彼は色素薄い系で綺麗な顔をしていて、いかにもウケな見た目(偏見)だが、実はアニマルなタチなのだ(私設定)
我がクラスはイケメン率が高い。
・
最前列の生徒に、適当に分けたプリント用紙を配った。
用紙は後ろの席へとまわってゆき、最後列の者たちが、足りる足らないを調整する。
前席の生徒...B君...の手から受け取り損ねた用紙が床に落ちる。
「あっ...」
あら大変、と後席のチャンミン氏は、床にはらりと散った用紙を拾おうと席を立ちしゃがみ込む。
「あっ...!」
チャンミン氏の手とB君の手が触れ合った。
チャンミン氏は顔を真っ赤にさせて、手を引っ込めた。
「ご、ごめん...」
B君は、「手が触れただけなのに...」と、初心なチャンミン氏を新鮮な思いで見る。
「あっちにも落ちてる」
机の向こう側に落ちた用紙を拾おうと、チャンミン氏が机の下にもぐり込んだ時、同様のことを考えていたB君とチャンミン氏の額同士がごっつんこする。
「ごめんっ」
二人の顔は吐息がかかるほどの距離。
「......」
直後、ガタン、と椅子がたてた鋭い音。
音の主は険しい表情のユノ氏だった。
「......」
ユノ氏は無言のまま残りの用紙を拾い上げると、チャンミン氏に押し付けた。
チャンミン氏をぎろりと睨みつけることも忘れなかった。
チャンミン氏の顔はより真っ赤になり、「ごめん...だって...」ともごもごつぶやいた。
お気の毒にチャンミン氏。
この後、ユノ氏はチャンミン氏を屋上への階段に引っ張っていくと、嫉妬の怒りをぶつけるようなアレをするのだ。
・
B君よ、君の失恋は最初から決まっていたのだ。
もし私がBL作家ならば、B君主役のスピンオフの連載を開始する。
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