~ユノ~
目線の斜め上に、チャンミンのアレ。
何度も言うが、チャンミンのアソコはノーヘアだ。
(海外の男優たちは揃って無毛だったし、近年、全身脱毛する男子も多いそうだし、そう珍しいものじゃないが...)
チャンミンの指は根元に添えられている。
(もしここで、むくむくと大きく膨らんでいったら、「なに欲情してんだ!」とどついて、目をそらしていた)
局部の色とは黒ずんでいるものだが、チャンミンのアソコは肌色...皮をかぶっていて中身の色は確認できない。
「......」
「どう?」
「...どう、って?」
女の子のことは好きだし、裸は見たいし触りたい。
でも、俺のアレを見せた時の女の子の反応が怖い、俺のアレで女の子を怖がらせたくない、女の子の喘ぎ声が怖い...セックスが怖い。
「この子だ!」と直感に響いた子ならば、俺のアレを見ても眉をひそめたりしないだろうから。
交際期間を重ねてゆけば、信頼関係や愛情も深まって、「この子なら!」と実感していくのだろうけど、彼女たちがノーセックスで我慢していられるのも半年が限界だ。
...そりゃあ、ムラムラはするし、大好きな人と素肌同士で抱き合いたいさ...恋人同士になったからこそ得られる、とても大事なものを逃してしまっていることは、よくわかってる。
童貞を貫かざるを得なくて、何が悪い。
...でも...。
チャンミンは根元に添えた手で、アレを揺すってみせた。
「!!」
「これ見て...気持ち悪いと思う?」
他人のアレをじっくり眺めまわしたのは初めてだった。
「...いや。
チャンミン、チェリーだって話してたよな?
あんたが女の子と経験がないのはまあ...分かるけど。
チェリーってのはさ、男に対しても、っていう意味なのか?」
気になっていたこと聞いてしまったけど、露骨過ぎたかなぁ、と思った。
「うん。
僕はここを使ったことがない」
「へえぇぇぇ」
ノーヘア、色素薄目スキンで、グロさはない...ぴっかぴかの新品状態かぁ。
俺は知らず知らずのうちに身を乗り出して、チャンミンのアソコをじっくりと観察する目で眺めまわしていたことに、ハッとする。
俺は何をしてる?
チャンミンはくるりと俺に背を向けたから、「何をするんだろう?」と思っていたら...。
「!」
チャンミンの奴、俺の両脚の間にすっぽりとおさまったのだ。
「......」
困ったのは、俺の二本の腕のやり場だ。
チャンミンと恋人同士だったら、後ろから抱きしめたりなんかするんだろうが...。
あいにく俺はその手の趣味はない...だがしかし。
男の生肌に密着中。
俺のアレがチャンミンの後ろに押し付けられている。
「......」
昼間に目にした通りその尻は小さい。
俺の前がチャンミンの後ろに当たっている。
俺もチャンミンも童貞だけど、彼はセックス経験者だから、俺とは経験値が随分違う。
その経験値も、これまでの会話で仕入れた情報によると相当らしい。
前が未使用なら後ろは使用済というわけだ。
そうかぁ...チャンミンはあのタクシー運ちゃんマッチョ男とセックスしていたのか。
あの男は、乱暴なえっちをしそうだ。
ごちゃごちゃと考えているワケは、今この時の状況に大困惑しているからだ。
チャンミンも無言のままだ。
(何か言ってくれ!)
気まずくって、俺は壁に取り付けられた操作パネルのボタンのひとつをひねってみた。
「わ!」
天井灯が消え浴室内が暗くなった。
この建物は老朽化が進んでいるらしく、パネルに印刷された文字が消えかけていて、照明ボタンだったとは分からなかったのだ。
ちゃぽんとお湯が立てる音が、耳にやけに響く。
ドキドキドキドキ。
俺の全神経が、チャンミンの尻に集中していた。
「ゆの」
おもむろに、チャンミンは俺の名を呼んだ。
(『ゆの』だったから、嫌な予感がする)
「...何?」
「僕とエッチしてみる?」
(はあぁぁぁぁぁ?)
(つづく)
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