腐男子です⑤

 

 

私は高校教諭、30代独身、腐男子である。

 

私の受け持ちのクラスで、非常に美味しそうな男子2名を新学期早々、ロックオンした。

 

すかしたちょいワル男子がユノ氏、真面目が取り柄のむっつりスケベ(と、私はみた)男子のチャンミン氏。

 

二人のルックスはすこぶるよくて、絵になるのだ。

 

 

「え~、では。

この家系図の中で、A´とB´の子供、A´´の3世代前の親にあたるBの血液型は何だ?」

 

カリカリとノートを擦る鉛筆の音を聞きながら、私は教室を見渡していた。

 

「先生!」

 

生徒の1人、C君が挙手をした。

(生物の成績学年1位)

 

「どこか間違いがあったか?」

 

私は慌ててプリント用紙を見なおした。

 

先日のように、オメガバースに引っ張られるようなことは書いていないはずだ。

 

「今の問題とか教科書にあるAとBのカップルって、絶対に♂と♀ですよね。

これって、繁殖の面から見たカップルってことっすよね?

俺ずっと思ってたんすけど、カップルの定義ってなんでもありっすよね?

今の問題の家系図には10組のカップルが書かれてますけど、10組中10組、繁殖に適した組み合わせになるとは限らないっすよね?

精神的な繋がりもあると思うんすよね。

LOVEっす。

あは、俺の言ってること意味わかんないすよね?」

 

「C君...」

 

BLでは、気になる男子が出来た主人公は大抵、

 

「俺はあいつが男だから好きになったのではない。

あいつだから好きになったのだ」

 

と、自分に言い聞かせるものなのだ。

 

C君はガタン、と椅子を鳴らし勢いよく立ち上がった。

 

「先生っ...俺っ。

先生のこと...好きっす」

 

(なんですと!?)

 

「俺のこと...イヤっすか?

俺...先生とA×Bの関係になりたいっす!」

 

「!!!!!」

 

生徒(♂)から教師(♂)への片想い。

(生徒役が攻め、教師役が受け。

逢瀬の場所は保健室、または○○準備室)

 

公開告白!

 

ざわつく教室。

 

待て待て待て待て待て!

 

私は男子高校生同士のBLを、覗き見するのが三度の飯より好きなだけで、

私自身がBLしたいわけじゃないんだ!

 

「...先生?」

「先生!」

「先生!」

 

私を呼ぶ声にハッと、意識が戻った。

 

C君からの質問も公開告白も夢の話、どうやら私はうたたねをしていたらしい。

 

安堵した。

 

目覚めのベッドの中で読んだBLコミックの影響を受けたのだろう。

(新任教師と根暗系男子とのちょいエロ恋物語)

 

 

生徒たちが2問目の問題に取りかかっている間、BL妄想ウォッチングを再開させた。

 

ユノ氏はプリント用紙の裏に絵を描いて遊んでいる。

 

(...ん?)

 

チャンミン氏が背中を丸め 片手で下腹をさすっている。

 

右手に握ったシャープペンシルは動いていない。

 

(腹が痛いのか)

 

顔色が悪いようにも見える。

 

(そうか!!)

 

もしかして...。

 

もしかして...。

 

君たち!!

 

中出しはいけない!!

 

ユノ氏が放ったものを、チャンミン氏のアソコは何リットルも受け止めたんだ!

 

そりゃあ腹が痛くなっても仕方ない。

 

ホントはナマでやるのもよくないんだが、欲情に流されてつい、ってことはあると思う。

 

それとも...!?

 

腸内洗浄のやりすぎか!?

 

隣のユノ氏は、チャンミン氏の異変に気付いたらしい。

 

チャンミン氏は相当具合が悪いらしく、机に側頭部をくっつけている。

 

「ユノ君!」

 

突如、名前を呼ばれ、ユノ氏の背筋がシャキッと伸びた。

(悪ぶっていても、こういうところでいい子で素直なのがバレるんだよなぁ)

 

「チャンミン君を保健室に連れていってくれないか?」

 

ユノ氏はこくんと頷いた。

 

そして...。

 

ユノ氏は軽々と、チャンミン氏をお姫様抱っこしたのだ。

 

教室中、しんと静まり返った。

 

気を利かせた生徒の1人が、教室のドアを開け閉めしてやった。

 

顔がにやけてしまうのを必死で堪えた。

 

保健室...。

 

図らずも、保健室ネタを仕込んでしまった。

 

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