腐男子です⑦

 

 

 

私は高校教諭、30代独身、腐男子、自称腐紳士(ふじぇんとるめ~ん)である。

 

私の推しCPは「ユノ×チャンミン」だ。

 

この二人は二次元キャラではなく、私の受け持ちクラスの生徒だったりする。

 

 

フラストレーションを抱えていた。

 

昨夜、突然とある作品を読みたくなった。

 

BLへの世界の扉を開けるきっかけを作った××先生のデビュー作品が読みたくなったのだ。

 

日々増殖するコミックは、独り暮らしの2DKに置いておけず(1室は漫画部屋になっている)実家に置いてある。

 

時は深夜。

 

どうしても今、読みたい。

 

そこで、仕方なく電子コミックを購入することにしたのだ。

 

腐男子を自負している私だが、意外にも電子コミックは初体験だった。

 

私はY君とC君の営みの結合部分を見たかったのだ!

 

Y君のでっかいやつの、血管が浮いているところを見たかったのだ。

 

「......」

 

そこで私は知ってしまった。

 

電子版は白抜きだらけで、肝心なところが全く分からないことに!

 

私は心の目で、Y君とC君のそこを見る。

 

目を細め、持ち得る記憶を総動員させて、この空白に描かれた秘部を妄想する。

 

見える...見えない...見える...見え...ない。

 

見えない!

 

腐紳士の想像力でも補えない真っ白さ。

 

そもそも、どちらがY君でどちらがC君か、どう絡み合っているのかがさっぱり分からん。

 

コマ内が全て真っ白のものさえある。

 

何が描かれているのだ!

 

何が描かれているのかは分かっているけれど、デティールを知りたいのだ!

 

Y君とC君の合体したところが見たいのだ!

 

細かいシワや毛や血管が見たいのだ!

 

電子版を購入したことを悔やんだ。

 

腐紳士を自称していた自分が恥ずかしい。

(腐士へとランクダウンだ)

 

 

B君というチャンミン氏に懸想している生徒がいる。

 

彼は色素薄い系で綺麗な顔をしていて、いかにもウケな見た目(偏見)だが、実はアニマルなタチなのだ(私設定)

 

我がクラスはイケメン率が高い。

 

 

 

最前列の生徒に、適当に分けたプリント用紙を配った。

 

用紙は後ろの席へとまわってゆき、最後列の者たちが、足りる足らないを調整する。

 

前席の生徒...B君...の手から受け取り損ねた用紙が床に落ちる。

 

「あっ...」

 

あら大変、と後席のチャンミン氏は、床にはらりと散った用紙を拾おうと席を立ちしゃがみ込む。

 

「あっ...!」

 

チャンミン氏の手とB君の手が触れ合った。

 

チャンミン氏は顔を真っ赤にさせて、手を引っ込めた。

 

「ご、ごめん...」

 

B君は、「手が触れただけなのに...」と、初心なチャンミン氏を新鮮な思いで見る。

 

「あっちにも落ちてる」

 

机の向こう側に落ちた用紙を拾おうと、チャンミン氏が机の下にもぐり込んだ時、同様のことを考えていたB君とチャンミン氏の額同士がごっつんこする。

 

「ごめんっ」

 

二人の顔は吐息がかかるほどの距離。

 

「......」

 

直後、ガタン、と椅子がたてた鋭い音。

 

音の主は険しい表情のユノ氏だった。

 

「......」

 

ユノ氏は無言のまま残りの用紙を拾い上げると、チャンミン氏に押し付けた。

 

チャンミン氏をぎろりと睨みつけることも忘れなかった。

 

チャンミン氏の顔はより真っ赤になり、「ごめん...だって...」ともごもごつぶやいた。

 

お気の毒にチャンミン氏。

 

この後、ユノ氏はチャンミン氏を屋上への階段に引っ張っていくと、嫉妬の怒りをぶつけるようなアレをするのだ。

 

 

B君よ、君の失恋は最初から決まっていたのだ。

 

もし私がBL作家ならば、B君主役のスピンオフの連載を開始する。

 

 

 

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