義弟(19)R18

 

~チャンミン16歳~

 

義兄さんに押されるまま僕は後ずさりした。

アトリエのソファに背中から倒れ落ちると、義兄さんに組み敷かれる。

顔の向きを何度も変えて、義兄さんの舌が僕の口内中をねっとりと舐め上げる。

 

「んっ...んっ」

 

幸せだ、と思った。

義兄さんが僕を欲しがっている。

姉さんへの罪悪感で、僕とのことを思いとどまられたら困る、と恐れていた。

でも、結婚しているかどうかなんて関係ない、と言ってもらえた。

それくらい僕のことが欲しいんだ。

義兄さんの唇は僕の耳へと移り、耳の中をぺろぺろと舐めたりするから、ぞわっとした痺れが下に向かって走っていく。

義兄さんの熱い吐息がかかる度、もっとぞくぞくした。

あっという間にトレーナーを脱がされた。

初春の肌寒い空気にさらされたけれど、火照った僕の肌にはちょうどいいくらい...いや、暑いくらいだ。

僕の耳を咥えていた唇は、次いで首筋へと落とされ、舌先を肌につけたまま下へ下へと移動する。

 

「っあぁ...」

 

乳首を舌全体でねぶられた。

義兄さんの口の中で、僕の乳首がつんと勃ってきたのが分かる。

 

「っあ...あ...あっ...」

 

今度はちろちろと、乳首の先だけが攻められて、かと思うと、強く吸われた。

 

「ああっ...!」

 

のけぞる胸を義兄さんの熱い手で押さえつけられた。

 

「大人しくしてろ」

 

「だって...ああぁっ!」

 

初めて出す声が、高くかすれていて、いやらしい動画の中の女の人みたいな声だった。

僕は今、女の子になっている。

午後8時の静かなアトリエ。

ちゅうちゅうと僕の肌を吸う音。

僕の上になった義兄さんは、僕がびくびくと身体を震わしたってびくともしない。

義兄さんの逞しい固い身体に押さえつけられて、ぞくりとした快感に襲われた。

 

「チャンミンは、感じやすいんだな」

 

「っだって...」

 

女の人みたいに...Mみたいに...なんの膨らみもない僕の胸を、義兄さんは美味しそうに舐めているんだもの。

義兄さんは身体を起こすと、腕をクロスさせて着ていたニットを脱いだ。

想像通り、デッサン用の彫刻みたいに逞しいのに、泣きたくなるほど綺麗で。

こんな素晴らしい身体と肌と肌とを合わせられる僕は、幸せだと思った。

それに引き換え僕の身体ときたら...。

義兄さんにはさんざん裸をさらしてきたのに、急に恥ずかしくなって両手で胸を隠した。

 

「どうした?」

 

僕の反応を見ようと覗き込んだ義兄さんと目を合わせられなくて、彼の下の方に視線を移した。

義兄さんの白いパンツのあの箇所が、興奮の塊で押し上げられていた。

細身のパンツだから、よく分かる。

 

「分かった?俺の方も、こういう状態なわけ」

 

きゅうっと股間が緊張してきた。

腕を伸ばして、そっと指先で触れると、義兄さんの腰がぴくっと揺れた。

固い...。

嬉しくて、手の平で包み込んでみた。

大きい...。

何度もこの手を上下させた。

その度、義兄さんの喉奥から、低いうめきが漏れた。

嬉しい。

義兄さんのパンツのボタンを外そうとしたら、

 

「あっ!」

 

早業で僕のパンツのボタンが外され、ファスナーも引き下ろされた。

 

「待って...義兄さんっ...!」

 

「待たない」

 

下着の上からがしっと義兄さんの手で包み込まれた。

 

「あぅっ...!」

 

車の中での厚い生地の上からのものとは、全然違う。

薄い下着の生地ごしに、義兄さんの手の平の熱が伝わってくる。

義兄さんの下着はボクサータイプのものじゃない小さなもの。

自分の股間を見下ろすと、布面積が狭いせいで股繰りから僕のものの先が顔を出していた。

もの凄く恥ずかしい光景で、それなのに猛烈に興奮した。

僕は変態なのかもしれない。

そうっと見上げると、義兄さんの眼がらんらんと光っていた。

ポーズをとる僕とキャンバスとを交互に行き来する義兄さんの眼差しも、作品作りに没頭した熱いものだけれど、今のは違う。

喜怒哀楽のどれでもない表情で、怖いくらい真顔なんだ。

僕の視界は義兄さんだけ。

多分、義兄さんも同じだと思う。

セックスに関してはヒヨコ同然の僕でも、義兄さんは今、僕を求めているって伝わってきたから。

義兄さんの色白の頬が、ほんのりピンク色に染まっていた。

仰向けだったのを横向きにされ、僕は義兄さんと向かい合わせになった。

 

「ひんっ...!」

 

義兄さんの手に直接握られて、それだけで達しそうになった。

どうしよう...気持ちが良すぎる...。

 

「やっ...ダメ...あっ...」

 

下着の上から遠慮なく、強めにしごかれる。

Mがしてくれた優しく繊細なタッチのものとは、比べ物にならない。

裏筋と尿道口のあたりを親指で刺激しながらのしごきは、たまらない。

義兄さんは、男とこういうことをするのは、初めてなんだろうか。

慣れた手つきだから、もしかして...。

加えて、身体を動かすごとにさらさら滑る肌同士が、気持ちがよかった。

手の動きは加速し、それに合わせて僕は喘ぐだけ。

義兄さんのものに伸ばしていた手なんか、とっくに宙に浮いてしまい、無意味に揺れている。

「駄目っ...駄目です...それ以上は...あっ」

 

このままだと、下着をつけたまま射精をしてしまう。

 

下着を汚してしまう。

僕が「駄目」と言う程、義兄さんの攻めは容赦なくなる。

先端からとめどなく溢れるものが、くちゅくちゅといやらしい音を立てている。

 

「気持ちいか?」

 

義兄さんのここまで低い声...初めて聞いた。

男らしい義兄さんに、されるがままに扱われている自分に興奮した。

後頭部に回された手で引き寄せられ、僕の唇全部、義兄さんのもので覆われた。

快楽に浸りきっていた僕は、舌を伸ばす余裕がない。

開けっ放しの口に、ぐいぐいと義兄さん舌が出し入れする。

まるで義兄さんに貫かれているみたいな錯覚に陥って、それにも興奮した。

目の前がちかちかしてきて、視野が狭くなった。

がくがくっと腹底が跳ねた。

 

「ああぁ...っ...!」

 

義兄さんの口の中で、絶頂の声を上げる。

苦しくって、首を振って義兄さんの唇から逃げた。

 

「...っあ...っ...あっ...」

 

最後まで放出しきるまで、僕の背は痙攣を繰り返した。

 

「はあはあはあはあ...」

 

虚脱感が凄まじい。

僕は目を閉じ、酸素を求めて荒い呼吸を繰り返す。

義兄さんの手の中でまた、達してしまった。

義兄さんの肩に頭を預けて、息が整うまでじっとしていた。

なぜか切なさに襲われて、僕は義兄さんに頬を寄せた。

ところが、ついと顔を反らされて、僕の唇は行き場を失う。

情けない表情に気付いて、義兄さんは僕の髪をくしゃりと撫ぜてこう言った。

 

「今日はここまでだ」と。

 

 

(つづく)