義弟(55)R18

 

 

~ユノ34歳~

 

 

「どうして怒らないんですかっ!

嫌いにならないんですかっ!」

 

ぼろぼろと涙をこぼして俺の胸を叩き、崩れ落ちるように顔を伏せってしまったチャンミン。

 

駄々っ子のようだった。

 

怒鳴って泣いて...こんなチャンミンの姿を初めてみた。

 

これまでのチャンミンは、無茶なお願いをする子ではなかった。

 

本来なら俺とチャンミンは親戚同士で男同士、こそこそと会う必要はない。

 

分かっているが、一度恋愛関係になってしまうと、後ろめたい気分に襲われてしまう。

 

俺たちは自由に大っぴらに会ってはいけないという意識が働いた。

 

会うのは週に一度、バイトのある日だけ、と暗黙のルールができあがった。

 

チャンミンは聞き分けよく、そのルールを守り続けた。

 

「週に1度じゃ足りない。もっと会いたい」なんて不満をひと言も漏らさなかった。

 

我慢していたんだろうな...可哀そうなことをした。

 

罪の意識も時が経つうちに麻痺してきて、互いの...特に俺の...立場はそのまま維持して、週に一度会い続ける関係を続けてゆけたら...狡くて都合のいい考えもあった。

 

ところが、そうも言っていられなくなってきた。

 

なぜなら、本気になってしまったから。

 

俺も会いたかった、週に一度なんて...全然、足りなかったのだ。

 

チャンミンに本気になっている俺にとって、この一件は衝撃が大き過ぎた。

 

うすうすとそうではないかと疑っていたことが、事実となってしまった。

 

 

 

 

背中を震わせまるめて泣いている。

 

俺はどうしたらいいんだ。

 

「訳わかんないよ!

義兄さんは...おかしいよ!」

 

怒鳴って叱りつければよかったのだろうか?

 

チャンミンにはこれっぽっちも怒りが湧いてこない自分。

 

腹がたたない俺は、頭がおかしいのだろうか。

 

叱りつけるって...何を叱りつければいいんだ?

 

俺という存在がいながら、他の男と...よりによってX氏と性交渉をもっていたことにか?

 

チャンミンがしてきたことは、社会的にも道徳的にも褒められたことじゃない。

 

随分軽はずみなことをしてくれた、と思う。

 

しかし、責められるべきは大人であるX氏の方であり、子供のチャンミンには無い。

 

俺も同罪なのだ。

 

俺には妻がいる。

 

妻Bを夫として抱いていながら、同時進行でチャンミンも抱いていた。

 

俺はチャンミンを責められない。

 

俺の方こそ...もしかしたらX氏以上に、チャンミンに酷いことをしているのだから。

 

俺もX氏と同じ穴の狢だ。

 

俺は子供に手を出している。

 

俺は妻がいる身でチャンミンと関係を持っている。

 

なんてことを続けてきたんだ、俺という人間は。

 

 

 

 

「義兄さんっ...!

今すぐ僕とヤッてくださいよ」

 

「......」

 

俺はためらっていた。

 

今、チャンミンを抱くべきなのだろう。

 

チャンミンは今、俺の気持ちを確かめたいのだ。

 

でも...。

 

チャンミンは、別の男と寝ていた。

 

1年も前から。

 

俺とチャンミンに、肉体関係を持ち始めた頃じゃないか。

 

...なんてことしてくれたんだよ。

 

チャンミンの身を案じて探し回った俺、X氏の余裕の表情、チャンミンの涙、疑惑が真実に変わってしまった衝撃。

 

自己嫌悪に浸っていたのが、これらの衝撃から冷静さを取り戻すにつれ、俺の心を襲ったのが嫉妬だった。

 

あの細い身体が、X氏の大きな身体に組み敷かれ、あの太い腕で上に下に横にと自在に操られる光景が浮かんだ。

 

例え意に沿わないセックスだったにせよ、刺激されれば反応してしまうのが男の身体。

 

X氏に攻められ、快感の表情を浮かべるチャンミン。

 

1年もの間。

 

俺と抱き合った後に、X氏に抱かれた日もあったに違いない。

 

まるで鋭利な刃物で胸を刺されたかのように、あまりの激痛に息が詰まる。

 

この傷口が塞がる時は訪れない、いつまでもじくじくと痛み続けるだろう。

 

チャンミンはX氏と会っていた...つい数時間前まで、彼はX氏の部屋にいた。

 

「...義兄さんっ...お願いです」

 

泣きわめいて興奮したせいで、チャンミンの頬が紅潮していた。

 

仰向けになった俺の上にまたがるチャンミン。

 

「...うっ...義兄さんっ...ごめんなさい」

 

俺の中に暴力的な何かが湧いた。

 

チャンミンの両頬を挟んで力づくで引き寄せ、唇を重ねた。

 

下唇を食んで吸った時、チャンミンの呻き声に、そういえば唇を怪我していたことを思い出した。

 

構わず俺はチャンミンの口をこじ開け、同時に伸ばした舌同士をからませた。

 

「...っ...ふっ...んっ...」

 

まだ多くの宿泊客が眠りについている時間帯、静寂の室内にちゅうちゅうと2つの舌が立てる水音が鮮明だ。

 

「...んんっ」

 

チャンミンの指が俺のそこを撫ぜた。

 

確かめたわけじゃないが、スウェットパンツの生地を押し上げ、くっきりと浮かんだそこを、チャンミンの指がなぞる。

 

「...んんっ」

 

竿をつかまれきつめにしごかれて、その度俺の腰は震える。

 

チャンミンのこの細い指が、X氏のものに触れていたのか。

 

むかぁっと身体が熱くなった。

 

スウェットパンツのウエストが引き落ろされて、俺のものが弾んで飛び出す。

 

チャンミンの愛撫を受ける前、キスの時点で股間が苦しくなっていた。

 

すかさずチャンミンはそれを頬張る。

 

かりの周囲をぐるりと舐め、とろりと唾液を垂らして塗り広げる。

 

根元をしごきながら、亀頭を吸い、舌先で尿道口をくすぐった後、頭を上下に振る。

 

「...ふっ...ううん...」

 

喉の奥から唸りが漏れる。

 

上目遣いのチャンミンと目が合う。

 

その眼は涙に潤んで、充血していた。

 

俺は天井を仰いで目をつむり、食いしばった歯の隙間から低い吐息。

 

破裂音を立てながら、必死に俺のものを奉仕するチャンミン。

 

腰の芯までぞくりと痺れた。

 

まぶたの裏で、閃光が発する。

 

「...習ったのか?」

 

「ぐっ...んぐっ...ちがっ...」

 

チャンミンの発言を封じるがごとく、腰を突き上げた。

 

チャンミンの後頭部を股間に押しつけ、えずくのも構わず腰を振る。

 

一瞬、我に返り、押さえつけていた手を除けた。

 

チャンミンは俺のものを咥えたまま、酸素を求めてあえいでいた。

 

勢いよく起き上がり、チャンミンの身体をひっくり返してうつ伏せに寝かした。

 

「あんなこと...絶対にもうしませんから...っあ...」

 

腰をつかんで、尻を突き出させる。

 

チャンミンの尻を割り、露わになったそこに、「ちう」と吸い付いた。

 

「...あんっ...」

 

チャンミンの甘いかすれ声に、いらっとした。

 

「義兄さっ...ダメっ!」

 

ぷくりと赤く熟れていた。

 

もう日付は変わってしまったが、一昨日の晩は激しく突き立ててしまったから、その名残か?

 

それとも、X氏との...?

 

切れて出血している様子はなく、ほっとした。

 

「痛いのか?」

 

「...ううん、痛くないっ...全然...平気っ...」

 

安心したそばから、チャンミンへの攻めを再開させた。

 

指1本分開いた口に、舌をねじこんだ。

 

ぎゅうぎゅうと締め付けられて、これ以上侵入できない。

 

舌と縁の隙間に指を差し込み、かぎ型に指を曲げた。

 

「...んあっ!!」

 

チャンミンの背中がびくびくっと痙攣した。

 

指の腹と曲げた関節でぐりぐりと刺激する。

 

同時に舌も躍らせる。

 

緩んだり締め付けたり、女のそこのようにうねっている。

 

チャンミンの喘ぎも、女のように甲高い。

 

17歳でこうも感じることができるものなのか。

 

ここはチャンミンの部屋で、そこを潤すものなど用意してきていない。

 

指を2本に増やした。

 

「あ、ああぁぁぁ」

 

チャンミンの腰がぶるっと震え、かすれた悲鳴をあげた。

 

「Xさんにも、こうされていたのか?」

 

「...されてないっ!

あの人...そこは舐めないっ...汚いからって...!」

 

その具体的な内容に、俺の体温はすっと下がり、直後に上昇した。

 

「さっきも抱かれていたのか?」

 

「......」

 

隠すように組んだ両腕の間に、顔面を埋めてしまった。

 

シーツを握りしめている。

 

俺は止められない。

 

優しくなんかできそうにない。

 

 

(つづく)

 

 

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