~旦那さん手帖~
<12月某日>
目覚めたら、奥さんがいなくなっていた。
ダイニングテーブルにメモがあった。
血の気がひいた。
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「疲れた」だと!?
「迷子」だと!?
重症だ...。
チャンミンが相当なスランプに陥っていることに、私は気づけていなかったのだ。
昨夜、クリスマスプレゼントの話題で
「エネマグラ」と答えた私の能天気さといったら!
「チャンミンが健やかでいてくれたら、私は何もいらないよ」と答えるべきだったのだ。
ぷらりきままなひとり旅。
煮詰まった頭をクールダウンするために、
アイデアでいっぱいな頭を整理整頓するために、
かさっかさに干からびた頭に潤いを足すために、
私の奥さんは旅に出かけたのだ。
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そのまま従ったら駄目なヤツだ!
過去の経験上、すぐに追いかけたらいけない。
数日間、好きに泳がせておいてから、捕まえにいくのがよいのだ。
ひとりになりたい気持ちは確かにあるのだろうから。
どこかにヒントがあるはずだ。
チャンミンの仕事机に、ガイドブックが置いてあった。
ご丁寧に付箋が貼ってある。
了解。
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うん、わかったよ。
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うん。
ちゃんと食べるからな。
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当たり前だろ!
この辺りで、涙のせいで文字が読みにくくなっている。
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大号泣!
チャンミ~ン!