<1月某日>
H回数:2,004回
新年、あけましておめでとうHをした。
(年末年始と、僕ら揃って大風邪をひいてしまったため)
ユノの年末年始休暇も明日で終わりだというのに、
揃って体力がガタガタなため、アクロバティックなことは出来ないし、数もこなせない。
ねっとりスロウで、前戯にたっぷり時間をかけた濃いやつを一発。
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互いの身体については...ホクロの位置もすみずみまで知りつくしているけれど、
その色やサイズも日々変化するらしく、ユノのあの場所にあるホクロAの色味が薄くなっていた。
代わりにホクロBの色味が濃くなり、ひとまわり大きくなっていた。
「ホクロじゃなくて、シミじゃないの?」と、半分冗談で指摘してみたら、
ユノは、「鏡を持ってこい!」と真っ青になっていた。
僕らは今年でアラフォー世代になる。
幸い、禿げの気配はない。
ユノのルックスは揺るがない。
反面、僕は旅先で美味いものを食っちゃ寝していたせいで、下腹がマズいことになっている。
「シミ」「シワ」「たるみ」のワードにセンシティブになるお年頃なのだ。
「単なる色素沈着じゃないかなぁ?
摩擦がよくない、っていうし...?」
そう言って、鏡にうつるホクロを神妙な面持ちで観察するユノを慰めた。
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<手紙に同封したイラストについて>
ユノ
「あれは猫だ。
ヒントは手紙に書かれていたフレーズだ。
『落ち込んだりもしたけれど、僕は元気です』
あれは、映画××の名キャッチコピーだ。
映画××の主人公××は、猫を相棒にしているだろ?
チャンミンのことだから、ヒントはストレートなモノじゃないと予測してみた。
映画の舞台は外国だから、映画そのものがヒントじゃない。
主人公がもっているホウキ、ホウキの生産全国一の地だろうか?って...おい、笑うな!
このキャッチコピーを生んだコピーライター××の生誕の場所なのか?
ライター××は猫好きだったっけ?と調べてみたら、まさかの犬好き。
この映画が封切られた時、俺たちは未だ出会っていなかったから、これにまつわる思い出もない。
俺たちの間で、猫を飼いたいねぇと話題に出たこともない。
この猫に込められた意味は何なんだ!?
映画の猫は黒ネコだったじゃないか!?
イラストの猫は白ネコだ。
白ネコがモデルのゲームが関係しているのか!?
猫を描いたことに意味があるのでは?
ウケでいるのがイヤになって、攻めになりたくなったとか?
『今度からユノがネコになって』って...」
僕
「ユノ!!」
ユノ
「...ははは、今のはジョーク。
ひとり連想ゲームが始まってしまって、ますますわかんなくなっちゃってさ。
どうしてネコを描いたんだろう?と、首をひねるごとに俺の頭は霞にまかれてしまった。
便箋に炙り出しのこ細工が仕込まれてるんじゃないかって、
コンロの火にかざそうかと思ったくらいだ。
原点に立ち返って、チャンミンという男について考えてみた。
分かりやすいヒントを出すほど単純なヤツじゃないし、
複雑すぎて「アホか!わかるかよ!?」とキレたくなるヒントを出すほど、意地悪なヤツじゃない。
あの猫のイラストに込められた意味は...」
(ここでユノ、不敵な笑み。
悪そうな顔にぞくっとする)
ユノ
「...ナッシング。
ああでもないこうでもないとひねくりまわした結論が、これだ。
深く追求すべき事柄じゃないんだ。
だって答えなんてないんだから。
チャンミンのプチ家出...じゃなくてひとり放浪旅に、意味深なものはない。
な?
そうだろ?
物事のいちいちに「なぜ?」を求めていたら、シンドイよなぁ。
だって答えはひとつじゃないんだから。
「なぜ?」に追求するのが、小説の世界なんだろ?
出来事の1個1個に深~い意味を持たせるから、ストーリーが生まれるんだ」
ここでユノ、身体を起こしてあぐらをかく。
僕もそれに倣い、1枚の毛布にユノとくるまる。
・
ユノ
「チャンミンはスランプ状態だった。
ヒントを忍ばせられるほどの余力はなかったはずだ。
だから、ヒントなんてな~んにもなかった。
ヒントを忍ばせた絵を描きたくても、チャンミンは絵心がゼロだろ?」
僕
「まあね。
ちなみに、ネコじゃないよ。
あれはレッサーパンダなんだ」
ユノ
「どこが!?」
僕
「耳も鼻も尖っているし、ヒゲも生えている。
どう見てもレッサーパンダでしょ?」
ユノ
「アホか!
分かるかよ!?」
僕
「でしょうね(笑)」
・
つくづく思うのが、僕よりもユノの方が小説家になれるんじゃないか、ってことだ。
ユノだったら純愛ものを書きそうだ。
実生活ではどエロなのに、作品の中でのエロシーンは、叙情的な美しいものになりそうだ。
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中庭はすっぽりと雪に覆われている。
真昼間、縁側でするHは乙なモノである。