<1月某日>
6:30起床。
私とチャンミンの二人分の体温でぬくもった布団。
極楽のここから出るのに勇気がいる。
「むにゃむにゃ」と寝ているフリをするチャンミン。
どちらがストーブのスイッチを入れるのか?
その役目は昨日まで7日連続で私だった。
すまぬチャンミン。
「う~ん」と唸りながら大きく寝返りをうち、チャンミンをお尻で押す。
チャンミン、どたーんと派手な音を立ててベッドから落ちた。
・
チャンミン、ぷりぷり腹をたてている。
それでも、ちゃんと弁当を用意してくれるのだ。
正面からハグを1回、おでこにキス1回。
頭をがしがし撫ぜて、もう一回ハグして、「行ってきます」
チャンミンご機嫌斜めな日は、省略せずに「行ってきます」をする。
・
レッサーパンダについて、納得がいかないので、
夕飯後、チャンミンととことん議論を交わすことにした。
私
「これのどこがレッサーパンダなんだ?」
チャンミン
「耳と鼻が尖ってるし、ヒゲも生えているでしょ?」
私
「ネコも犬もキツネも同じじゃないか」
チャンミン
「じゃあ、ユノが描いてみたら?
調べたら駄目だよ?
記憶をたよりにレッサーパンダを描いてみてよ?」
ユノ的、レッサーパンダ的なるものを描くことになった。
私
「パンダというから目の周りは黒かったはずだ。
耳は尖っている。
...どうだ?」
チャンミン
「...タヌキじゃん」
私
「タヌキじゃない!
その証拠に、尻尾がしましまになっているだろう?」
チャンミン
「何かが違うんだよね~。
レッサーパンダってこんなだっけ?
ユノって絵を描くの好きでしょ?
もうひとこえ、頑張ってみてよ」
私
「う~ん...」
記憶を絞って、本気を出してみた。
私
「どう?」
チャンミン
「...ラスカルじゃん」
私
「ああ。
ラスカルってレッサーパンダだったよな?」
チャンミン
「ラスカルはアライグマだよ」
私
「え~~~」
チャンミン
「ギブアップ?」
私
「うん、ギブアップ」
チャンミン
「次は正解を見ながらレッサーパンダを描いてみて?」
私
「うん」
チャンミン
「ラスカルのままじゃん」
私
「レッサーパンダの特徴を盛り込んでみたけれど、
どうしてもタヌキ感が抜けてくれないんだ」
チャンミン
「ほらね、難しいでしょ?
お手本を見ながら描いても、この仕上がりだよ?
僕なんて、動物園で見ただけの記憶で描いたんだ」
私
「動物園?」
チャンミン
「列車まで時間があったから、動物園に行ってみたんだ。
そこで見たレッサーパンダが可愛くてねぇ。
あのイラストにヒントは無かったってユノは言ってたけど、
実際はちょっぴりヒントになってたんだ」
私
「なるほどね~。
前日に届いたカニの名産地。
その最寄りの動物園には、ウィンクをするレッサーパンダ、マモル君がいる」
チャンミン
「そういうこと」
私
「あのイラストがレッサーパンダだと分かったとしたら、の話だね」
チャンミン
「そういうこと。
ヒントにすらなっていなかったから、やっぱりあのイラストは無意味だったんだよ」
※チャンミンの前で描いてみせた3枚のイラストは、日記帖に貼っておくことにした。