(21)奥さま手帖

 

<1月某日>

 

6:30起床。

私とチャンミンの二人分の体温でぬくもった布団。

極楽のここから出るのに勇気がいる。

「むにゃむにゃ」と寝ているフリをするチャンミン。

どちらがストーブのスイッチを入れるのか?

その役目は昨日まで7日連続で私だった。

すまぬチャンミン。

「う~ん」と唸りながら大きく寝返りをうち、チャンミンをお尻で押す。

チャンミン、どたーんと派手な音を立ててベッドから落ちた。

 

 

チャンミン、ぷりぷり腹をたてている。

それでも、ちゃんと弁当を用意してくれるのだ。

正面からハグを1回、おでこにキス1回。

頭をがしがし撫ぜて、もう一回ハグして、「行ってきます」

チャンミンご機嫌斜めな日は、省略せずに「行ってきます」をする。

 

 

レッサーパンダについて、納得がいかないので、

夕飯後、チャンミンととことん議論を交わすことにした。

 

「これのどこがレッサーパンダなんだ?」

 

チャンミン

「耳と鼻が尖ってるし、ヒゲも生えているでしょ?」

 

「ネコも犬もキツネも同じじゃないか」

 

チャンミン

「じゃあ、ユノが描いてみたら?

調べたら駄目だよ?

記憶をたよりにレッサーパンダを描いてみてよ?」

 

ユノ的、レッサーパンダ的なるものを描くことになった。

 

「パンダというから目の周りは黒かったはずだ。

耳は尖っている。

...どうだ?」

 

チャンミン

「...タヌキじゃん」

 

「タヌキじゃない!

その証拠に、尻尾がしましまになっているだろう?」

 

チャンミン

「何かが違うんだよね~。

レッサーパンダってこんなだっけ?

ユノって絵を描くの好きでしょ?

もうひとこえ、頑張ってみてよ」

 

「う~ん...」

 

記憶を絞って、本気を出してみた。

 

「どう?」

 

 

チャンミン

「...ラスカルじゃん」

 

「ああ。

ラスカルってレッサーパンダだったよな?」

 

チャンミン

「ラスカルはアライグマだよ」

「え~~~」

 

チャンミン

「ギブアップ?」

 

「うん、ギブアップ」

 

チャンミン

「次は正解を見ながらレッサーパンダを描いてみて?」

 

「うん」

 

チャンミン

「ラスカルのままじゃん」

 

「レッサーパンダの特徴を盛り込んでみたけれど、

どうしてもタヌキ感が抜けてくれないんだ」

 

チャンミン

「ほらね、難しいでしょ?

お手本を見ながら描いても、この仕上がりだよ?

僕なんて、動物園で見ただけの記憶で描いたんだ」

 

「動物園?」

 

チャンミン

「列車まで時間があったから、動物園に行ってみたんだ。

そこで見たレッサーパンダが可愛くてねぇ。

あのイラストにヒントは無かったってユノは言ってたけど、

実際はちょっぴりヒントになってたんだ」

 

「なるほどね~。

前日に届いたカニの名産地。

その最寄りの動物園には、ウィンクをするレッサーパンダ、マモル君がいる」

 

チャンミン

「そういうこと」

 

「あのイラストがレッサーパンダだと分かったとしたら、の話だね」

 

チャンミン

「そういうこと。

ヒントにすらなっていなかったから、やっぱりあのイラストは無意味だったんだよ」

 

※チャンミンの前で描いてみせた3枚のイラストは、日記帖に貼っておくことにした。

 

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