<3月某日>
H回数:2,027回(正常位でフィニッシュ)
晴れ。
ユノ、休日。
3月も間もなく終わり。
どことなく物足りない、心に隙間がある感じ。
何かを忘れているかのような、もどかしい感じ。
その理由が分からない。
春という季節がいけないのだろうか。
・
9:00
雪どけ後、濡れて地面にへばりついた枯れ草と落ち葉を掃除する。
(僕らは小さな中庭のある、小さな家に住んでいる)
ユノはホームセンターへ出かけている。
(中庭にタイル張りの流し台がある。
夏はここでスイカや缶ジュースを冷やしている。
ヒビが入り、タイルがはがれかけている箇所があり、
修繕するための資材を買うためだ)
ぽかぽかと温かい縁側で日記帳を広げる。
お湯を沸かして、ユノの帰りを待つ。
庭木の根元の土がぽこりと盛り上がっている。
何だろう?と、沓脱石の上にあるつっかけを履いて、中庭に下りた。
土を除けてみると、下に早緑の瑞々しいものがのぞいていた。
これは、球根植物の芽だ。
昨年の春には無かったもので、球根を植え付けた覚えがないから、これはユノの仕業だと思う。
僕を驚かせるつもりだったんだろうな。
「春だねぇ...」
知らず知らずのうちに、言葉が漏れていた。
・
10:30
ユノ帰宅。
ユノ、鈴カステラを買ってきてくれる。
スーパーマーケットの店先に、販売車が来ていたのだそう。
ユノから突然、びっくりするような提案があった。
この家を買いたい、のだそう。
転勤の多いユノに合わせて、あちこち転々と住まいを変えてきた。
そろそろ、ひとつの所で腰を据えたいのだそう。
僕は住まいがどこになろうと、仕事ができるが、ユノの場合は、会社の命令に従わないといけない。
「会社は?
転勤しろ、と言われたらどうするの?」
配偶者として当然の質問を投げかけたら、ユノは
「辞める」と答えた。
「辞める!?」
次の仕事は見つかるのか?
長く勤めてきた会社を辞めるとは勿体ない。
家を買うお金が必要なのに、無職になるわけにはいかないでしょう?
生活費はどうするの?
ユノにぶつけたい言葉がいっぱい浮かんできたけれど、僕はぐっと飲み込んだ。
・
ユノに甘えっぱなしの自分に気づいたのだ。
僕の頑張り時だと。
もっと売れるBL小説を書けばいいんだ!
鈴カステラは喉に詰まりやすいから、冷たい牛乳で流し込むように食べるのがおススメだ。