(36)奥さま手帖-4月-

 

<4月某日>

 

H回数:2,031回

(昨夜、お風呂の中で。

浴室って声が響くから、興奮してしまう)

 

・ゴミの日

5:00・・・起床

好きな朝番組が4月からリニューアルされ、まだ見慣れない。

 

7:00・・・ユノ出社

9:00~12:00・・・仕事

 

今年度の役員さん(駄菓子屋を営んでいる方)が町内会会費を集金にまわってみえる。

「春めいてきましたねー、暖かいですねー」

「誰それさんの息子さんがどこそこに就職した」とか、世間話をする。

来週末に、町内のどぶさらいを行うからと、集合時間や時間割、役割分担の表を貰う。

 

昨年秋とは逆だった。

僕がどぶさらいの実行部隊、ユノが炊き出し係。

ユノに頼りっぱなしだった僕が頑張る時だ。

 

 

13:00~17:00・・・仕事

17:00~・・・夕飯の準備

 

冷蔵庫の残り野菜で、ミネストローネスープを作る(ひと晩寝かせる)

ことこと煮える音を聴きながら、お茶を飲む。

考え事にふける。

 

ユノはこの家を買いたい、と言っている。

築年数も経っているし、建具も時代遅れだし、狭いけれど、この家が好きだ。

くつろげるし、僕らの身の丈に相応だ。

中庭に一目ぼれして即、借りることに決めたんだった。

この家がユノと僕のものになる...。

 

僕も頑張って稼がねば。

スランプのたびに、ユノに迷惑をかけているわけにはいかなくなった。

 

 

<ユノ帰宅>

一日の労働を終えたユノのうなじの匂いを嗅ぐのが好きだ。

帰宅したユノの背中にへばりつく。

 

20:00・・・夕飯

・春キャベツをコンソメスープで煮たもの

・マグロのユッケ風

・ご飯

・梅酒(役員さんからのいただきもの)

 

ヘルシーすぎるメニューだったからか、ユノ、ウィンナーを焼いて食べていた。

春キャベツはまだまだある。

僕はものを大量に手に入れてしまう癖がある。

明日は何のメニューにしようかな。

 

 

<就寝前のひととき>

お疲れさんのユノの肩を揉む。

 

ユノとの会話。

「この前、BLの王道を押さえた作品がいいんじゃない?って会話したよね?

読んだ人がハッピーになれるようなやつ。

そのアイデア出しをユノとしたいんだ。

付き合ってくれる?」

 

ユノ

「あれから俺も考えていたんだ。

チャンミンが新しいジャンルに挑戦することに大賛成だ。

言っておくけど、これまでのチャンミンの作品が好きだからな」

 

「ありがと。

萌えポイントは、立場の差だと思うんだ。

上司と部下。

先輩と後輩。

医者と患者。

人間とその他動物」

 

ユノ

「動物!?」

 

「あるらしいよ。

あとは、人間とこの世のものではない者。

例えば、幽霊や天使、悪魔。

王様と召使」

 

ユノ

「王様と召使かぁ。

メイドものって...どうだろう?」

 

「お屋敷の坊ちゃんとメイドさん。

もちろん、メイドさんは男だ。

男の子なのに、可愛いメイド服を着ているの。

坊ちゃんの大事な物を壊してしまって、弁償したくても大金過ぎて払えない。

だから、労働でもって返済するんだ」

 

ユノ

「いいねぇ。

労働だけじゃなく、身体でも支払うんだろ?

フリフリのエプロンの下には、男の象徴。

そのギャップ、エロいねぇ」

 

「でしょ?

でさ、主従関係で始まった関係が、次第に坊ちゃんはメイドに心惹かれていって...」

 

 

ユノ

「いいじゃん。

それを次回作にしたら?」

 

「どうしようかなぁ。

あのね、もうひとつアイデアがあるんだ」

 

ユノ

「何なに?」

 

「それについては明日ね。

眠くてたまらないんだ」

 

ユノ

「今年のハロウィーンはメイドさんになってよ」

 

「...う、うん...いいよ」

 

半分以上眠りの世界に沈みかけていた僕は、ユノの言葉も遠くて、おざなりに返事をしたのだった。

 

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