ユノに尋ねなくても生温かいものが自身の内股を濡らしていることに、チャンミンはようやく気付いた。
「何!?
何これ!?
ぬるぬるがいっぱい出てきてるよ」
(おもらし!?
僕が最後にお漏らしをしたのは確か...え~っと...7歳の時だ。
家族にバレないよう日の出前に、ユノが濡れた敷布を洗ってくれたんだ。
18歳にもなってお漏らしなんて...恥ずかしい!
でも、このぬるぬるはおちんちんからじゃなくて、お尻から出ている...!)
自身の肉体から得体のしれないものが湧き出てきている...恐怖だった。
「ムズムズする」と大騒ぎしていたチャンミンが、ぴたりと黙り込んでしまったため、心配したユノはこう言ってチャンミンを慰めた。
「バターの実はきっと、食べたらすぐに尻から出てくるんだよ。
これはバターの実の汁だ。
チャンミンは山ほど食べたから、いっぱい汁が出るんだよ」
「...なるほど」
慰めるユノだったが、今度は彼の身体にも変化が現れてきていた。
下腹の辺りが重ったるいものが渦巻いている。
チャンミンのいう「ムズムズ」とは、尻の奥がうずく違和感だ。
こりこりと固く引き締まり、内臓はうねり、ジンジンと火照っていた。
さらに尻の穴はパクパクと痙攣し、その口が開く度、とろとろと粘液が溢れ出た。
(不快感...というより、栓をして欲しい!
何かで塞いで欲しい!)
「今度は穴の中を探ってみるよ。
穴の中にデキモノができているかもしれないから」
朝になれば、禁じられた実を食べたことのお咎めを受けることは確実だ。
どうせ叱責をくらうことになるのだ、症状だけは把握しておきたかった。
「うん...ぐずっ...ぐすっ...」
(僕の身体が変になっちゃった!)
身をかがめたチャンミンの尻に対面するよう、ユノは膝まずいた。
(なんだ...この匂いは。
20年物のバター酒のような匂いだ...。
酔っ払いそうだ)
頭の芯が痺れそうになるのを堪えた。
(このぬるぬるが放つ空気や、チャンミンの吐く息が原因だ。
食べてもいない俺まで中毒になりそうだ。
おそるべしバターの実。
禁断の実とは1齧りか多くて1個だろうに。
馬鹿食いしたチャンミンが悪い)
尻の谷間は濃い影ですっかり隠されている。
穴の箇所が不明で、ユノの指はチャンミンの口に周囲をくるくる探ることになる。
「ひゃ、ひゃ...くすぐったい」
「ここ...かな?」
探り当てた窪みに、ユノは指を立てる...。
(なんだ!?)
「あ...あ、あ...あ...」
生まれて初めて聞く、苦痛の声とは違うチャンミンの掠れ声に、ユノは驚く。
(チャンミンが変な声を出している)
「もうちょっと入れるね?」
力を込めなくてもユノの指は、つるりと中へ飲み込まれていった。
大量に湧き出た粘液が潤滑油の代わりを果たしたのだ。
(すご...)
加えてチャンミンの腸壁が内へ内へとうねったからでもある。
ユノの指は腸壁に捉えられ、きゅうきゅうと締め付けられている。
中の感触は温かくて柔らかく、やわらかい。
(永遠に指を埋めていたくなる...)
痺れは先ほどより強くなり、ユノの頭から下腹の方へとじわじわと浸食していった。
(バター酒を樽いっぱい飲んだかのように、酔っぱらってきた。
ふわふわする...)
はっとする。
(チャンミンの中の具合を確かめるのが、目的だったろうが!)
「動かしてみるね?」
ユノは指を引き、入り口の辺りをまさぐり始めた。
「ひゃあん!」
わずかな指の動きでも、チャンミンは敏感に反応した。
「えっ!?
痛かった?」
「ううん、平気っ...」
ユノの指は一向に、吹き出物らしき突起を探り当てることはなかった。
「デキモノもブツブツも何も出来ていないぞ。
もうちょっと、触っているからな?」
ユノは指先をぐるりと回転させた。
「あっはぁん!」
「しー!」
チャンミンが発してしまった声は、静寂の村によく響いた。
(お尻の中がもっとウズウズした。
気持ちがいい!
ぞくぞくする!)
そして、チャンミンは心の底で懇願する。
(もっと擦って欲しい!
指を動かして欲しい!!)
「俺の予想だと、ぬるぬるはバターの実の汁だ」
指を引き抜く時もチャンミンは雄叫びをあげてしまい、ユノに尻を叩かれてしまう。
ユノは人差し指にまとわりついた粘液をしゃぶった。
「...やっぱり、バターの実みたいな味がする」
「食べてないじゃん」
「匂いから連想される味だよ。
...うむ...美味いな、これ?」
「でしょ?
ユノも食べてみなよ」
「嫌だ。
尻の穴から汁が出るなんて...御免だ」
ユノは両腕で自身を抱きしめ、身を震わせた。
排泄器官である穴の中をいじられると、強烈な快感を得られることを、チャンミンはユノに告白できずにいた。
ユノはチャンミンの異常事態に集中していた。
バターの実の食べ過ぎで、その果汁が尻から漏れ出てしまったと結論づけられ、安心したユノは、二の次にしていた自身の身体の変化を認識するようになった。
チャンミンから漂う香りに酔って、頭から下腹に向けて痺れを感じていたこと。
そして...。
今宵は文字が読める程の月光が注いでおり、2人の足元の影も濃い。
チャンミンの目はユノのある1点に釘付けになっていた。
「ユノ...大変だ!」
「何が?」
「ユノのそこ...」
「そこ?」
「ユノのおちんちんが腫れてる!」
「なんだって!?」
チャンミンが指さす先...自身のへその下あたりを見下ろした。
「!!!!」
両太ももの付け根にくったり下がっていたものが、今や斜め上を向いていた。
大きさも3倍とまでは言わないが、明らかに質量を増していた。
「ホントだ!」
慌てたユノは、膨張した箇所に触れてみる。
「はうっ...!」
今度は地から天へと逆向きに痺れが駆け抜けた。
(なんだ...この感じ)
「ユノ...痛いの?
痛いよね?
こんなに腫れちゃってる」
張りつめたそれが痛々しく思えて、チャンミンは触れて確かめることができない。
「くそっ...じんじんする」
「虫に刺されたの?
それとも、僕のお尻の汁が付いたからかな?」
「分からない」
皮が張り裂けそうに腫れあがったそれは、身動きするとバネのように揺れ、重力に逆らって45度の角度を保っている。
「尻から汁が出て、前が腫れあがり...こんなこと村の誰にも相談できない。
朝になる前になんとかおさめないと!」
「うん!」
二人は顔を見合わせ頷き合った。
(つづく)
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