「チャンミン、そこにも1個落ちてるぞ」
「どこ?」
「ここ」
ユノは泉の石垣脇に落ちた種を拾おうと、チャンミンの背後から手を伸ばした。
その時。
膨張して固くなったそれが、チャンミンの尻の割れ目にヒットした。
チャンミンの凹から分泌される粘液が最高の潤滑油となっていた。
ユノの凸は、狭い穴でも挿入するのに最適な形状をしていた。
二人の凹凸が見事にはまった。
「はうっ!」
「あん!!」
二人の間に恋が生まれた瞬間だった。
これは狙ったものではなく、完全に不可抗力だった。
穴を埋めて欲しいチャンミンと、棒を鎮めて欲しいユノ。
二人の願いは同時に叶えられた。
(すっげぇ、気持ちいぃ!!)
生まれて初めての、全身を貫く凄まじい快感。
この粘膜は、温かく、適度な弾力と湿り気を持ち、感覚は鋭敏だ。
(ああ、ここはHeavenか?)
(お尻って気持ちがいいんだ...知らなかった)
気持ちいい!
チャンミンを、ユノを幸福にしてあげたい!
気持ちよくしてあげたい!
自分も気持ちよくなりたい!
ユノがチャンミンを見る時の感情やその逆も然り、友情や兄弟愛に恋愛感情が加わった。
合体した次は、動かしたくなる。
チャンミンは尻をユノに摺り寄せた。
ユノはチャンミンの腰を掴んだ。
(ヤバイヤバイ、すげぇ気持ちがいい!!)
強烈、のひと言では表現しきれない、狂暴で激烈な気持ちよさに支配され、腰の動きは加速する。
(チャンミンの中が俺のこいつに吸い付いてくる。
うねうねしてる!)
「んくっ!」
不意に締め付けられることもあり、ユノは歯を食いしばって堪えた。
(チャンミンの尻の中に、何か別の生き物が棲みついているかのようだ。
ぬるぬる滑りがよくて、いくらでも出し入れできる)
狂ったように互いの腰はぶつかり合い、飛び散る汗で辺りはバターの実の香りで満ちていた。
二人はバターの実の香りに酔い、接合部がたてる水っぽい音に煽られた。
かがんだチャンミンの後ろから襲う体位に飽きてきた。
ユノはバターの木の根元の茂みにチャンミンを仰向けに寝かせた。
チャンミンはユノと繋がりやすくするよう、自ら大股を広げた。
一度抜かれて出来た空洞が、再びユノのもので埋められて、チャンミンは幸せいっぱいだった。
「あっは...あっ」
(ユノのおちんちんが僕のお尻の中に...!
...しゃぁわせ)
喘ぎ声を知らなかった二人は最初、苦し気なのに幸福そうな声に戸惑っていた。
18年間日常生活を送る上で、発したことも耳にしたこともない、不思議な声だ。
「ユノっ、ああん、あん...あん、あん」
その声をもっと聞きたくて、ユノの腰の動きは巧みさを増した。
(俺のアソコがチャンミンの尻の中に!
いいのかなぁ?
チャンミンのアレが出る所に、俺のアレが出るものを突っ込んでいる。
いいのかなぁ?)
「っ...!」
激痛の理由は、チャンミンに肩を噛まれたからだ。
(これまでもふざけたチャンミンに噛まれたことは何度もあって、その都度喧嘩になっていたが...今のは全然、腹が立たない。
むしろ、噛まずにはいられないほど気持ちがよい証明になっている。
よ~し、まだまだ頑張るよ)
「あっ、あっ、あっ、あっ...」
ユノのアソコはチャンミンの喘ぎのスタッカートで、1.2倍膨張した。
(チャンミンの声...カワユス)
ガツガツと奥を突かれても「あん」、手前を擦られても「あん」
チャンミンにとって、ユノのアソコが与えるすべてが快感だった。
(僕らがやってること...交尾みたいだ!)
石垣に腰掛けたユノの上で、身を弾ませながらチャンミンは思った。
村民は共同で、トメキチとトメコという雌雄の犬を飼っている。
チャンミンは彼らの営みを...トメコの上にのしかかったトメキチが腰を振っている...を何度か目撃したことがあった。
大人に訊くと「あれは、交尾だ」と答えてくれた。
だが、「交尾」とは何なのか、「大人になれば、おのずとわかる」と言って教えてくれなかったのだ。
(僕らのこれは...交尾だ!!)
ユノの手がチャンミンの前に回された。
「!!!」
ユノは触れたものに驚愕した。
(チャンミンのアソコが腫れてる!!)
チャンミンは後ろの快感にのめり込んでいて、前の変化に気づけずにいた。
・
この後彼らは、各々の生殖器官の先からでる白い粘液に驚愕し、「病ではないか」と不安になるだろう。
それを放出したのち、膨張していた生殖器官が元のサイズに戻ることに安心し、射精のタイミングをつかむだろう。
肉体の変化に大騒ぎし、経験したことのない感覚に戸惑っていた。
肉体にもたらされる快楽に溺れてしまうのは、身体を重ね合わす者がユノであり、チャンミンであるからこそ。
もともと仲のよい二人だった。
恋心を全く知らなかった。
なぜなら性欲も知らなかったから。
二人は肉体同士が繋がった時にはじめて、恋心を知ったのだ。
・
禁断の実とは、大人への扉を開ける鍵でもあった。
禁止されるほどに食べてみたくなる心理をうまくついている。
(中には一生口にしない者もいないことはないが、彼、彼女なりに幸福に生きていればそれでよいのだ。恋愛や子を持つことが全てではない。こういう点で、この村は大らかである)
母体として未熟なうちに食すのは相応しくないため、禁止事項に「特に女は食べてはならない」とあったのだ。
食するとあの箇所が潤い、男を受け入れられるようになる...つまり「オンナ」になる。
男に関しては、早かろうが遅かろうが大きな問題にはならない。
早々と恋や性に目覚めても、肝心なお相手は準備の整った女性のみだからだ。
男女がその場で同時に食した時...二人とも準備OK。
高揚した気持ちと火照る身体を持て余せず、その場でコトに及んでしまうカップルもいる。
今回のユノとチャンミンの場合は、例外中の例外だった。
ユノが思った通り、禁断の実とは罪の意識を感じながら食すものであるから、1齧りや1個が相当だ。
ところが、食いしん坊のチャンミンはあり得ない量...6個完食していた。
決して、心行くまで腹いっぱい食すものではないのだ。
バターの実の効果は強い。
摂取し過ぎたことで、チャンミンの凹の箇所から潤滑液が湧き出てしまい、そこはメス化してしまったのだ。
・
あの後の二人はどうなったか?
ご想像通り、ユノとチャンミンは三日三晩、繋がりっぱなしだった。
翌朝、水汲み場に落ちた6個の種に、大人たちは事情を察した。
村民で不在なのはユノとチャンミンのみ。
ところが、ユノとチャンミンは男同士である。
6個も食した村民は、村の歴史上初のことだった。
3個ずつだったとしても、多すぎだ。
(例えるなら、凄汁とモンスターのカクテルを3リットル一気飲みしたくらい)
「...あいつらがくっついても仕方がないな。
生まれた時から仲がよかったから」
「どちらがメス側になったのでしょう?」
「ユノじゃないですかね?
優しい顔をしているし、気配りも出来るし」
「あのユノが馬鹿食いはしないだろう。
どうせ、好奇心旺盛なチャンミンが、ユノを共犯にしようと引っ張っていったんだろうよ」
「そう考えるのが妥当ですね」
「帰りは明後日頃ですね。
擦り剝ける程交尾してから帰ってきますね」
バターの実は春に実る。
厳冬の季節に誕生する赤ん坊が多い。
(おしまい)
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