あなたのものになりたい(13)

 

 

~チャンミン~

 

 

お兄さんの濃い匂いが、僕の興奮をかきたてた。

 

喉奥で締め付けると、お兄さんは喉奥から低い呻きを漏らす。

 

「美味いか?」

 

お兄さんに問われて、上下に振っていた頭を止め、「はい...はいっ」と答えた。

 

命令されて、僕の股間の一点がきゅうっと引き締まった。

 

先端まで抜いて、よだれで滑りがよくなったお兄さんのを素早くしごいた。

 

目の前の赤黒く膨れたものが、数えきれないほど見てきたものたちのひとつにしか見えないことに。

 

ぞっとした。

 

お兄さんをお客のひとりだと思っちゃだめだ。

 

ああ、僕はケガレている。

 

鼻の奥がつんと痛くなった。

 

ぎゅっと目をつむった。

 

お兄さんのものはもっともっと、シンセイなもののはずなのに...。

 

僕の腰がぐっと引き落とされた。

 

「んあっ...!」

 

熱く柔らかいものが、僕の後ろで踊っている。

 

「ダメっ!

そこはダメです」

 

僕は振り向いて、お兄さんにお願いした。

 

僕のお尻の下にお兄さんの綺麗な顔がある。

 

「汚いからっ、ダメ!

ダメダメ!」

 

浮かしかけた腰は、もの凄い力で引き戻された。

 

お兄さんがケガレてしまう。

 

ダメだと言ってるくせに、後ろをねっとりと舐められて、僕の股は震える。

 

「お兄さんはっ...動かないでくださいっ!

今は、僕の番です」

 

「んあっ!」

 

悲鳴をあげたのは、お兄さんにお尻を叩かれたからだ。

 

「黙ってしゃぶってろ」

 

命令されて僕は咥え直した。

 

お兄さんは気づいているみたいだ。

 

僕はエムッけがあるんだって。

 

仁王立ちした客たちを見上げる僕は、怖くて震えているのに、エムっけのある者は怖いのが好きらしいのだ。

 

そう教えてくれたのはクソ店長で「お前はエムっけがあるから、人気なんだ」と言っていた。

 

また叩かれた。

 

でもね、痛いけど痛くないんだ。

 

お客たちのほとんどは、力の加減を知らない。

 

「ひっ...!」

 

パチンと音が派手だけで、叩かれたところがパッと熱くなるだけで、その痛みも長続きしない。

 

お兄さんは叩くのが上手い...当たり前だよね。

 

お兄さんも『犬』だったんだ...ポジションは僕とは逆の。

 

気持ちがいい。

 

お兄さんにぺろぺろされて、僕のケガレタところが、清められていく。

 

「口が開いているぞ。

...欲しいのか?」

 

「はい、お兄さんの...欲しい」

 

挿れて欲しい。

 

指とかベロじゃなくて、お兄さんのおちんちんを挿れて欲しい。

 

僕の下からお兄さんは抜き出ると、四つん這いになったままの僕の肩を押した。

 

振り向いて、斜め上を向いたその大きさに、僕の喉はごくりと鳴る。

 

僕のあそこはいつでも用意が出来ている。

 

今日は絶対に、抱かれるつもりだった。

 

お兄さんが首を横に振っても、泣いてせがんでしがみついて、お願いするつもりだった。

 

 

花壇に生えた雑草を抜く僕の背中は、お兄さんの視線を浴びていた。

 

ふり返らなくてもバレバレだった。

 

お兄さんも僕を欲しがっている。

 

そして、お金を払ってえっちをしたことを、僕に対して「悪いなぁ」って思ってる。

 

 

お兄さんと夜の散歩(夜の街を歩くのが好きなんだって)をするのが日課だった。

 

あの店がある通りには近づかないのは、お兄さんの優しさだ。

 

僕はと言えば、実は平気だった。

 

僕には『今』があるから。

 

お兄さんと一緒なら、僕には怖いものはないのだ。

 

先を歩くお兄さんの背中にしがみついてふざけた日のことだ。

 

僕の腕の中でくるっと回って抱きしめてくれるんじゃなくて、代わりに僕をおんぶする。

 

お兄さんの首筋にキスをする。

 

赤い痕がつくほど、ちゅうっと吸った。

 

「いったいなぁ」

 

お兄さんは首に巻きついた僕の腕をふりほどくと、駆けて行ってしまった。

 

「待って!」

 

僕はお兄さんを追いかける。

 

時は真夜中で、人通りの全くないここはオフィス街。

 

「お兄さん!」

 

僕らの足音と、お兄さんを呼ぶ僕の声だけが響く。

 

それらの音も、高くそびえるビルに吸い込まれていく。

 

お兄さんを追いかける。

 

あの日より僕は丈夫になった

 

それでも、お兄さんの方がうんと丈夫で足が速い。

 

「やだっ...待って!」

 

あの夜のことを思い出した。

 

「待って!」

 

お兄さんを追いかけた。

 

僕の首の下で、宝石がちりちりと揺れている。

 

「お兄さ~ん!!

おにっ...おにいっ...!」

 

泣きべそをかいた僕の呼び声に、お兄さんは駆け足を止めて引き返してくる。

 

「チャンミンっ!」

 

僕は両膝に手をつき屈んで、はあはあと息を吸って吐いた。

 

その背を、お兄さんはさすってくれる。

 

「ごめん...ごめんな?」

 

「お兄さん...僕を置いていかないで」

 

「行かない。

絶対に、置いて行かないよ」

 

「置いていかないで。

どこにも行かないで」

 

「行かないよ。

今のは冗談だよ。

チャンミンと遊んでいただけだ」

 

「それならいいですけど...」

 

ふくれっ面になった僕は、こぶしで涙を拭った。

 

「本当だよ。

絶対にチャンミンを1人にしないよ」

 

繰り返しそう言って、お兄さんは僕を抱きしめてくれたのだ。

 

僕はお兄さんのものになりたい。

 

お兄さんのショユーブツになりたい。

 

それくらい、お兄さんが大好きなんだ。

 

お兄さんが大好きだって気持ちを、どう伝えたらいいのだろう。

 

僕はお兄さんに恩返ししたいんだ。

 

インターネットで注文したとしても、お兄さんがお金を払うんだから、それはプレゼントにならないのだ。

 

僕はお金を持っていない。

 

台所にある機械は難しすぎて、ご飯もうまく作れない。

 

僕があげられるのはこの穴だけなんだ。

 

 

お兄さんは突き出した僕のお尻を左右に割った。

 

むき出しになったそこに先っぽを押し当て、腰を沈めてゆく。

 

僕のそこは、お兄さんのおちんちんをごくりごくりと飲み込んでゆく。

 

その後はもう...意識が飛んでしまってよく覚えていない。

 

バチンバチンとお兄さんの腰と僕のお尻が叩きつける音に合わせて、お兄さんのハートが僕の中に打ち込まれる。

 

時折僕のお尻を平手打ちする。

 

お尻を叩かれるたび、僕は猫みたいな啼き声をあげる。

 

お尻を叩かれるたび、中が締まってお兄さんは呻いた。

 

挿れ先ない僕のおちんちんは、汁を垂らして揺れるだけ。

 

助けを求めるように伸ばした右手。

 

シーツを握りしめた。

 

ここはビニール製のベッドの上じゃない。

 

涙が出るほど幸せだと思った。

 

 

(つづく)

 

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