(29)ぴっかぴか

 

 

~ユノ~

 

なぜ、こんな状況になっているんだ?

 

なぜ俺は、美しすぎるゲイボーイと一緒に風呂に入っているんだ!?

 

チャンミンは湯船につかり、俺は洗い場で身体を洗っていた。

 

チャンミンは俺から目を反らさない。

 

「......」

 

落ち着かない俺はシャンプーボトルやタイルの柄模様を、さも興味深げに観察しながら、ボディブラシ(柄のついた、外国映画で登場してくるみたいなアレだ)を動かしていた。

 

今この時、チャンミンの照準が俺の身体のどこにロックオンしているのか...シャンプーの濯ぎ中で目をつむっていても分かるんだからな。

 

俺のシモの毛が何色なのか、興味津々だったからな。

 

そういう俺の方だって、チャンミンの身体をちらちらと見てしまった。

 

肌の色は俺よりも色黒なのに、あそこの色素が薄いところがエロい。

 

チャンミンもチェリーだと言ってたからなぁ。

(つまり未使用)

 

男同士の場合、そっち側とあっち側と分かれているらしく、その両方、というタイプもあるのだとか。

(チャンミン救出に向かう電車の中で、ネット検索で仕入れた情報による。検索窓に羅列された単語に信じられない気分になった)

 

気取ったレストラン。

 

レタスとキャベツしか知らない俺にとって、初めて見る色と形の葉っぱのサラダは、緊張を強いられるメニューだった。

 

彼女は(ひとつ前の恋人)、珍しくもなんともないわといった風に、フォークに刺した葉っぱを口に運んでいる。

 

俺はと言えば、クセのある香味や苦味のある葉っぱに、「大して美味いものじゃないな」と思った。

 

食事の後、俺の部屋でDVDを観る予定になっていた。

 

彼女はきっと、アレするつもりでいるだろう。

 

俺は...どうさりげなく、エッチをせずに乗り切れるかで頭を占めていた。

 

ハグやキス、それから、女の子のアソコに触るくらいはできるけれど、俺自身がパンツを脱ぐのはちょっと...。

 

香味が強く、近所のスーパーでは手に入らず、珍しい葉っぱは...クセがあり過ぎて、そうバクバクと食べられるものじゃない。

 

...チャンミンみたいだなと思った。

 

先ほど、俺と入れ替わりでチャンミンが湯船につかった時のことだ。

 

湯船の縁をまたぐチャンミンの腰つきが、丸みを帯びているように見えてしまうのは、俺の偏見か?

 

あのタクシー運ちゃん元彼に、組み敷かれているチャンミンの姿まで妄想してしまった。

 

そっち側になる男は女の子になりたいんだろうか?と真っ先に思ってしまったのも、偏見なんだろうか?

 

...ふむ、そうだろうな。

 

 


 

 

~チャンミン~

 

ユノの身体は素晴らしかった。

 

洋服を着ていると分かりにくいけれど、裸になるとよくわかる。

 

盛り上がったお尻や、頑丈そうな腰は力強い振りが期待できる。

 

昨夜のレストランで、僕が想像した以上の身体つきだった。

 

お腹から太ももへと流れる筋、腸腰筋...名付けてエロ筋!

 

細身な身体なのにくっきり存在するそれに、僕のあそこの奥がウズウズしだした。

 

前の方もムズムズしてきたから焦った。反応したところを見せたりなんかしたら、ユノの信頼を失いかねない。

 

...既に失いかけてるかもしれないのが、今の懸念事項だったりするけど...。

 

たった1日で、僕の生態を立て続けに披露してきたから、そろそろユノのキャパを越えてしまうだろう。

 

僕は頭を切り替えるために、ユノの童貞主義に切り込んでみることにした。

 

「...僕、どうも理解できないんだけどさ。

この子だと決めた子となら、童貞を捧げてもいい、と思ってるんでしょ?

どうして?

ホントは何かあったんでしょ?」

 

「......」

 

身体を洗うユノの手が止まった。

 

「多分...俺は、セックスが嫌いなのかもしれない」

 

「え?」

 

「経験したこともないのに、嫌いも何もないけどな。

嫌悪してるところがあるかもしれない」

 

予想外の回答に、僕は驚いた。

 

 

(つづく)

 

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