(41)虹色★病棟

 

 

僕とユノの唾液で濡れた指が僕の後ろに回された。

ユノの腕の中で、僕は身動ぎひとつ出来ずにいた。

自分の指以外は初めて。

婚約者...僕の元から逃げていった...を相手にしていた時とでは、逆の立場になる。

今夜『抱く』側から『抱かれる』側に逆転する。

ユノは固く握られた僕のこぶしに気づくと、「大丈夫、任せて」と言って、僕の背中を叩いた。

 

「ふぅ...(緊張するなぁ)」

 

僕らには身長差がほとんどないため、互いの太くなったものが重なり合っている。

 

(熱い...とても)

 

確かめてはいないけれど...確実に僕のものより多くて太い。

 

(入るかな。

生身の男のものを受け入れたことがないから...不安だな)

 

「触っていないのに、チャンミンのそこ...」

 

「嘘!?」

 

ワンピースをまくしあげ、パンティの前に触れて確かめた。

しっとりと湿り気を帯びていた。

 

「ワンピース着てる子が勃起してるって...すごいギャップ」

 

「......」

 

「女の子って勃起するんだっけ?」と、ユノは僕の耳元で囁いた。

 

「...からかわないでよ...っ」

 

僕はぷい、と赤面した顔を背けた。

煽り言葉が恥ずかしいのに、悦んでいることがバレているようだ。

勃起以外にも僕の身体には変化が生じていて、身体の芯からかっかと熱気が噴き出ていた。

ワンピースを着ているのに、あそこを勃たせてしまうはしたない自分に興奮を覚えていたから。

ワンピースとからめて、もっと辱めて欲しいなぁ、と望んでみたりして。

でも、関節はギクシャク、筋肉はカチカチに硬直していた。

 

「チャンミンの心臓、ドキドキしている」

 

胸に耳をくっつけてみなくても、重ね合わせた胸を通して心臓の鼓動が伝わってきた。

 

「...うん。

ユノもドキドキしてる」

 

僕の頭は進展の早さについてこられていないのに、身体は準備を着々と進めているようだ。

 

「こっちに来て」

 

ユノは僕から身体を離すと、先にベッドヘッドにもたれて座った。

僕の手はユノの方へと力任せに引っ張られ、その勢いで僕は彼の太ももを抱きしめるようにうずくまる格好となった。

 

「...ユノ、え?」

 

この姿勢から、これから何をなされるか想像できてしまう僕。

 

「!」

 

パンティを脇にずらされれたのだ。

僕はユノの太ももにしがみついた。

ユノはもう一度しゃぶって潤いを足した指を、うずくまることで露わになった僕の穴に突き立てた。

自分以外の指が僕の中を掘ろうとしている...。

 

「あ...あ、あ、うう...」

 

抜きさしを繰り返し、ひねりも加えながら、ユノの中指は僕の穴へと埋められていく。

 

ねちっ...ねち。

 

これは、手袋をはめている指を引き抜く音だ。

僕の指で開発済だった中は、ユノの愛撫に即反応した。

 

「あっ、はっ、あっ」

 

入り口と腸壁がユノの愛撫をねだるかのように、きゅうきゅうとうねっているのが分かる。

ユノの残りの4本の指は、僕の両尻をがしっと掴んでいる。

僕のよだれがユノのパジャマを濡らしている。

 

「はっ...は...あぅ...あ...」

 

どんな気分だって?

いい、最高に気持ちがいいよ。

過去の結婚相手を存分に愛撫してきた指で、僕の秘部は荒されている。

慣れた指は、たちどころに快感スポットを探り当てるのだ。

 

「はっ...や、や、やぁ...やだぁ...」

 

ここでようやく、濡れてびちょびちょになったパンティを脱がされた。

僕の小ぶりなアソコはユノの施しによって大きく育ち、狭い布面積ではおさまりきらなくなっていた。

股ぐりから亀頭が顔を出していた。

 

「そこ、いい、いい、いい」

 

ぐちゅぐちゅいう音に興奮した。

指の動きだけじゃ物足りなくなり、自らの腰も回転しだした。

それに合わせて、僕のアソコも揺れている。

 

「チャンミン、気付いてる?

お前の穴...指三本くらえ込んでる」

 

「嘘...!?

だって、だってだって...あ、あ、あ、あ。

いい、いいっ」

 

ユノの言い方がえっち過ぎて恥ずかしくて、僕は彼の太ももに顔を伏せた。

ユノの三本の指が僕の中でバラバラと遊ぶ。

肉体の内部を他人に刺激されると、こうも感じることができるなんて!

自分の指とは比較できないほどの強烈な快感だった。

 

「チャンミン...気持ちいい?」

 

「うん、うん、気持ち...いい」

 

ちゅぷちゅぷいうねばついた音。

 

「気持ちがっ...いいよぉ」

 

ユノの指が汚れないか不安になってみては、彼の指は手袋で保護されていることを思い出して

 

「ああぁ!

だめっ、そんなっ、だめっ...あー、あーー!」

 

独りで慰める時の僕はこうだった。

受け側だった婚約者に押し倒される僕、不特定の誰かミスターXに激しく突かれる僕。

これらの想像と一緒に、目もくらむ快感を与えてくれるそこを刺激する。

前のしごきも合わさると、短時間でイクことができた。

中の構造を知り尽くしているユノは、僕の敏感な箇所をしつこく刺激するのだ。

体温と質量を持ち、「好きだ」と囁いてくれる生身の男に弄ばれるのは初めてだ。

ピストン運動も速度を増し、くちゃくちゃ音も激しくなってきた。

潤いが足りなくなると、口を開けた僕の穴に直接、ユノの唾液が落とされた。

 

「ここ...。

チャンミンの...いいところだろ?」

 

「うんっ...うん?

あ~~ダメダメ、あっ、ああ~~~」

 

ぐりぐり擦られて、僕は悲鳴をあげた。

僕ばっかり...僕ばっかり。

攻められ続けるのに慣れていない。

ユノにも気持ちよくなって欲しい。

濃厚な匂いを放つものが、僕のすぐそこにある。

息も絶え絶えな僕は手を伸ばし、ウエストに指をかけた。

驚いて出し入れを止めたユノに構わず、彼の下着からそれを引きずり出した。

僕の頬をかすめたそれを、すかさず頬張った。

 

(つづく)