チャンミンはシヅクの腕をつかんで、リビングまで引っ張っていく。
「チャ、チャンミン?」
(話があるって...愛の告白か!?)
(いきなり過ぎんか?)
シヅクをソファに座らせると、チャンミンはシヅクと向き合った。
(真面目な顔して...「好きです」とか言い出すんか?)
「シヅク!」
シヅクの胸は高まる。
「どうやって家に入ったんだよ?」
(あれ?)
「それは~...アハハ、チャンミンは知らなくていいことだよ」
「そういうわけにはいかない!」
「...つまりだな、あんたんちのセキュリティの甘さが原因だ」
チャンミンは、目を細めている。
(ヤバッ、チャンミン、怒ってる?)
「......」
(チャンミンが怒ってるとこ初めてかも...)
「あれくらい、私の手にかかれば、赤子の手を捻るかのよう...」
チャンミンがぼそりとつぶやく。
「不法侵入」
「...だよね」
「犯罪!」
「うん、その通り」
「お願いだから、『普通に』入ってきてよ」
「ごめんなさい」
素直に謝るシヅクに、チャンミンもこれ以上キツく言えなくなった。
しゅんと肩を落としたシヅクのピアスが、きらりと光る。
(めちゃくちゃ言い訳するかと思ってたのに...)
チャンミンは声のトーンを落とす。
「...謝ってくれたから、気が済んだからさ、
さぁ、仕切り直そう...って、えっ?」
シヅクが両手で顔を覆っている。
(泣いてる?)
「もう怒ってないから、ね、シヅク、ごめん」
「......」
シヅクは顔を覆ったまま、無言だ。
チャンミンは、すっかり動揺してしまって、ソファまですり寄って、シヅクの膝に手を置く。
「ごめん、シヅク!」
「......」
ソファに座るシヅクを見上げる。
「機嫌を直して、ほら、もう怒っていないから、な?」
「......」
シヅクの口角が、上がってきた。
「クククク...」
「え?」
「アハハハハハ!」
堪えきれず笑い出したシヅクに、チャンミンの口はポカンと開いたまま。
シヅクが自分をからかっていることに、気づくチャンミン。
「ちょっ、ひどいよ、シヅク!」
ふくれるチャンミンに、シヅクはチャンミンの肩をポンポン叩いた。
「シヅクさん、何のこれきし、簡単には泣かないんだな」
シヅクは、再び機嫌を悪くしたチャンミンを覗き込む。
「機嫌を直して、チャンミン、ね」
自分の言動に、すぐさま反応するチャンミンを可愛らしく思えて、シヅクは思わずチャンミンの頭をなぜていた。
「さぁ、一緒にご飯を食べようか。
腹が減ってるから機嫌が悪いんだね、僕ちんは?」
「子供扱いするな」
シヅクの手を払って立ち上がったチャンミンだったが、耳まで真っ赤だった。
シヅクに触れられて、ゾクゾクしていた、全身。
(だから、シヅクのスキンシップに弱いんだって!)
キッチンに向かいながら、チャンミンは、感情をあらわにした自分に驚いていた。
感情が、自分の胸内に激しく渦巻いていた。
胸の鼓動が早い。
(シヅクといると、新しい僕が次から次へと、発見される)
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