11.シャンプー-TIME第1章-

 

~チャンミン~

 

 

髪だけ濡らすつもりだったけど、

ついでだからと、シャワーを浴びることにした。

今日2回目のシャワーだ。

シャンプーボトルを手にして、しばし考える僕。

ごくごく普通の、どこででも買える、安価なものだ。

シヅクから香ったシトラスの香りを、思い出す。

(あの香りは...シャンプー?

それとも香水だろうか?

いい匂いだったな...)

僕は、シャンプーをたっぷり泡立てて、頭をごしごし洗った。

僕のシャンプーは、普通の石鹸の香り。

泡だらけの髪をすすいだ後、シャワールームを出た。

湯気で曇った鏡を、手の平で拭くと、鏡に映る自分と目が合う。

髪はびしょ濡れで、上気した頬は熱いシャワーのおかげ。

(眉...目...鼻...口...)

顔のパーツをひとつひとつ、触れながら点検する。

こんなにまじまじと自分の顔を観察するのは、初めてだ。

​僕って、こんな顔してたっけ?

僕は29歳。

顔を右、左と向けてみる。

ごくごく普通の、顔。

両手を両頬に当てる。

29歳って、そこそこの年齢だよなぁ。

ん...?...29歳...?

途端、ぐらりと視界が回る奇妙な感覚に襲われた。

「あっ...」

シャンシャンと耳鳴りもする。

立ちくらみか?

視界がぐるりと回る。

洗面台に両手をついて、目をぎゅっと閉じて耐える。

はぁ...びっくりした。

1分後には、元に戻った。

何だったんだ、今のは?

​「はぁ...。」

「さてと」

​髪を乾かさないと。

​寝ぐせがついたら困るから。

壁にかけたドライヤーを手に取りコードをコンセントに刺す。

「ん?」

僕の背後の空気が、すぅっと動く感じがした。

瞬間、

「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

大絶叫。

僕は​腰を抜かしてしまった。

​「うわっ!!」

 

 

TIME第1章