21.ランチタイム2-TIME第1章-

~チャンミン~

 

​僕はカイ君と、昼食の為、ハウスを出て管理棟へ戻るところだった。

​カイ君は僕の隣で、カボチャの原種がどうだとか、熱く語っている。

ふと、回廊を見やると、シヅクとミーナがベンチで昼食をとっているのを見つけた。

(シヅク...)

短い黒髪と、白いトレーナー、黒のスリムパンツとレースアップブーツ。

(モノトーンが、少年のようなシヅクの雰囲気によく合っている)

鼓動が早くなった。

​今朝はシヅクのおふざけと、タキさんに邪魔されて、シヅクとちゃんと話ができなかった。

「ごめん、また後で話をきくよ、用を思い出した」

カイ君に断って、回廊に向かって走る。

近づいてくる僕に気づいたシヅクとミーナが、走る僕に注目している。

(恥ずかしいな)

「チャンミン、急いじゃって何かしら?」

ミーナが僕に尋ねたけど、僕は「どうも」とだけ頷いてみせてから、シヅクに向き直った。

シヅクは、もりもりとサンドイッチを食べている。

「シヅク!...あのっ...」

「どうしたどうした?」

シヅクは、口の中の物を飲み込んで言った。

「シヅク、それは食べないで」

「は?」

​「いいから、食べないで。ストップ」

「ちょっと!、これは今朝買ったばっかりだから、悪くなってないよ」

シヅクは、サンドイッチのパッケージの消費期限をチェックしているようだ。

​「もう半分は食べっちゃったよ」

「残りは食べないで」

「う、うん、意味わかんないけど、わかったよ」

「ちょっと待ってて」

僕は、ぽかんとしている二人を残して、事務所へ急ぐ。

(もう少しマシな言い方ができればよかったのに...!)

自分のロッカーを開けて、今朝用意しておいた袋を持って、再び二人の元に戻った。

(絶対、シヅクは喜んでくれる)

シズクは、食べるのをやめて、僕のことを待っていてくれていた。

「シヅク、これ...お礼です」

手にした袋をシヅクに渡した。

「お礼?よくわかんないけど、ありがと」

その時、僕の顔は多分、無表情だったかもしれないけど、内心ワクワクと楽しい気持ちだった。

「なんなのさ」

シヅクは袋の中を覗いている。

隣のミーナも、シヅクの手元を覗き込んだ。

「は?」

あんぐりと口を開けてるシヅク。

「チャンミン、あんた、これ一人で食べろってことか⁉」

「うん、そうだよ」

​「あのな、あんた、限度ってものを知らんのか⁉」

「だって、シヅク、肉まん食べたいって言ってたから。

​あの時は買ってあげられなかったし」

​昨夜、シヅクは迷ったら全種類買うって話してたから、僕は中華まんを全種類買ってきたのだ。

誰かに、お礼の品を用意する経験がない僕は、正解が分からない。

​シヅクは文句を言いつつも、嬉しそうだ。

僕も嬉しい。

​とっても。

 

TIME第1章