「好き...」
(チャンミン、可愛い!)
「気持ちいい?」
チャンミンは頷く。
(気持ちいいかどうかは、さておき、一生懸命なユノは、確かに可愛い!
甘えん坊の可愛いあの子が、『男』に豹変してるところにやられちゃう...かも)
「僕も...好き」
(おー!
そんな可愛いこと言わないで。
感動しちゃうだろ)
ユノは全身汗だくで、額から首から汗がポタポタとチャンミンの上に落ちる。
(わ...。
汗かき過ぎだろ!?)
(ん?
ん?
んー!?
ヤバイ。
ダムが決壊しそう...かも...!
3億匹のユノが噴出しそう...です...!)
「チャ、チャンミン!」
「?」
(わー!
俺のを締め付けないで!
駄目!
そんなに刺激しないで!
ヤバい!
あうっ!
ヤバい!
大変だ!
お、俺のが...噴出しそうです...!)
「イキ...そう...」
「えっ!?
もう!?」
「!!!」
(しまったー!
言っちゃいけない一言だった!!
1分もたっていないんじゃない!?
早○でも、初めてだから仕方ないよね。
あんなに激しく動いてたんだもの)
「ごめ...ん。
我慢でき...ない...」
(だってチャンミン、気持ちいいんだもの。
チャンミンが好きすぎて、もうイキそうなんだ。
早くてごめん!
昨日のうちに、一発出しておけばよかった!)
「チャンミン!」
ユノは顔をゆがめてチャンミンに囁く。
「1回...出して、いい?
2回戦で...頑張る...」
「いいよ。
出していいよ」
(仕方ないよね。
初めてだから、コントロールきかないんだよね)
(チャンミン...気持ちがいい)
ユノのピストン運動が激しくなる。
「好きっ
好きっ
好きぃっ...はうっっ!!!!」
「はあ~~~~」
ユノは、グタッと仰向けのチャンミンの上に崩れ落ちた。
「はあはあはあはあはあはあ...」
チャンミンの肩に頬をつけ、荒々しく呼吸するユノの頭を、チャンミンは抱きしめる。
どくどくという首筋の血管も、燃えるように火照った肌も、汗の匂いも、チャンミンをくらくらさせた。
(この子ったら、
幼い言動と、甘えん坊な性格で、れっきとした大人の男だってことを、ついつい忘れちゃうんだけど。
今夜は、ちゃんと『男』を感じたよ。
いろいろと残念なところはあったけど、あんなに何度も「好き」って言うんだから。
感動しちゃうだろ)
「早くて...ごめん。
チャンミン...はあはあ。
うまく出来なくて...はあはあ。
...ごめん」
「ううん」
チャンミンは汗に濡れたユノの前髪をかき上げてやった。
「すごく、よかったよ」
「ホント!?」
ユノはパッと、チャンミンの肩から顔を上げた。
ユノの目がキラキラ輝いているのは、暗闇の中でもチャンミンにはわかった。
チャンミンは、ユノの頭をギュッと抱きしめる。
(可愛い、ユノが可愛い)
息が整うと、ユノはチャンミンの上からむくりと起き上がった。
ユノはチャンミンの中からそろりと引き抜いて、外したものを目線にかかげる。
(よく見えない)
外灯がとどく窓まで移動して、まじまじとそれを見る。
「ユノ!!」
(この子ったら、何やってるんだ!!)
「意外にちょっとしか、出ないものなんだね...」
「!!」
(ちょっとどころじゃないよ!
なんて量なんだ!)
「2日ぶりだったから、少ないなぁ」
(はあ!?
ふ、2日ぶりで「その量」!?
(生産能力凄まじい...
多過ぎだよ!)
ユノはふふんと笑うと、チャンミンにタックルして押し倒した。
「ユノ!?」
「チャンミン!
お待たせ」
「へ?」
ユノはチャンミンの額にキスした。
「やだなぁ、2回戦」
「もう!?」
「うん!
準備OK!」
「チャンミン、未だイッてないだろ?
次は俺がイかせてあげるからな」
「待って!」
「待てない」
「僕を少しだけ、休ませて」
「えー」
ユノは頬を膨らませる。
「ちょっとだけ、ね?」
「仕方ないなぁ。
ぎゅー」
「痛い痛い!」
「チャンミン、大好き」
「僕もユノが、大好き」
「お尻...大丈夫?」
「んー...大丈夫だよ」
(ユノが激しすぎて、あそこがちょっとひりひりする...とは言いにくい)
・
「...そろそろ...いい?」
「まーだ」
・
「まだ、駄目?」
「まだ」
・
「もういいだろ?」
「うーん...(仕方ないなぁ)いいよ」
若いって...素晴らしい。
(チャンミン...)
(ユノ...)
カーテンの隙間から差し込む外灯の弱い光に、2人の男のシルエットが浮かぶ。
横たわった男の上に、もうひとりの男がのしかかる...。
「お母さーん!」
「おじちゃんがいないよ!」
「!!!!」
「!!!!」
「トイレじゃないの?」
「トイレにもいないんだ!」
「どうしよう...。
お義父さんたちはもう、公民館へ行っちゃったのよ」
「おじちゃーん!」
「おじちゃーん!
お祭りだよー!」
「!」
「!」
階下から聞こえるのは、甥っ子ケンタとソウタ、兄嫁ヒトミの声。
スマホを確認すると...3時半!
はじかれるように2人は離れた。
「大変!」
「祭り!」
ここに来た本来の目的を、すっかり見失っていた2人だった。
御旅(おたび)行列の出発は午前6時。
公民館では衣装の着付けが、既に始まっているはずだ。
子供部屋で寝ているはずのユノの布団が空で、家の者が捜していた。
「大変だ!」
電気のスイッチを入れると、あまりのまぶしさに目がくらむ。
「!!」
「!!」
それから全裸なのに気付いて、しゃがみこんだ。
露わになった室内のすべてが生々しい光景だ。
脱ぎ散らかされたパジャマ、Tシャツ、部屋の隅に放り投げられた下着。
床にひきずり下ろされた掛布団。
封の開いた蛍光グリーンの小袋がいくつかと、使用済みのくたっとしたものも。
(ううっ...エロい光景だ)
「チャンミ~ン!」
母セイコが階段下からチャンミンを呼んでいる。
「何―?」
ふすまから顔だけを出して、チャンミンは応じる。
「ユノ君、いないんだけどー?」
「えー?
こっちにはいないよー!」
「!?」
「チャンミン!」
(どうしてそこで嘘つくんだ!
事態が面倒になっちゃうって分からないのか)
ぶすっと膨れるユノ。
「早く、服を着て!」
「無理!」
ユノは、ブンブンと首を振っている。
「どうして!?」
チャンミンはユノが指さすところを見ると、
「!!」
「(元気な状態じゃ)外せない!」
(こんな状況なのに、どうして元気いっぱいなんだよ)
「ほら、端をくるくるってして...」
「いででっ!」
「ごめんね。
あと少し...取れた!」
「最後までヤろうよ。
途中でお終いは、生き地獄だ。
身体に悪い。
俺に5分頂戴!」
「馬鹿!
出来るわけないしょうが!
早く!
早く、服を着て!」
「ちぇっ、ちぇっ、ちぇっ!」
仏頂面のユノは、脱ぎ散らかしたTシャツを拾うと渋々袖を通す。
頬を膨らませた顔が、ドングリを頬袋いっぱいに詰め込んだリスのようで、可愛らしいと思うチャンミン。
(いつものユノに戻った)
「続きは『今夜』に、ね?」
「おー!」
ユノはまたたく間に機嫌を直す。
「俺はチャンミンの部屋にいないってことになってるんだろ?
『ユノ君は僕の部屋にいまーす』って、認めればよかったのに...」
「そんなこと言えるわけないじゃないか!
何やってたか、バレバレじゃないか!」
「『何』をやってたんでしょうねぇ、俺たちは?
ふふふ」
「ユノの馬鹿!」
真っ赤になったチャンミンは、パジャマのボタンを一番上まできっちり留める。
「僕が皆を引き付けておくから、見つからないように、ね?
さっさと下に降りて来るんだよ」
「はいはい、分かりました。
...あれ?
俺のパンツはどこかな...?
『チャンミン先生が脱がした』俺のパンツは、どこかな?」
「ここ!」
チャンミンは、床に敷いた掛布団の下から、ユノのボクサーパンツを見つけると、彼に投げて寄こした。
「ユノ~!
どこにいる~?」
と大声で階下に声をかけながら、部屋を出て行ってしまった。
後に残されたユノは、ふうっと大きくため息をついた。
(つづく)