(19)19歳-初夜-

 

 

抱き合う俺たちは何一つ身につけておらず、互いの興奮したものを下腹に挟んでいた。

 

キスはさんざんしつくした。

 

唇は腫れ、唾液にまみれた顎と頬を擦りつけ過ぎてヒリヒリした。

 

舌の根っこが疲れている。

 

チャンミンの手が伸びてきて、俺の張り裂けそうになったものをおずおずと握った。

 

「...んっ」

 

そこは全感覚が集中しているところ。

 

チャンミンのタッチは小鳥を撫ぜるがごとくで物足りなく、彼の手に加勢した。

 

「もうちょっと...強くていい」

 

「ごめんな...さ」

 

チャンミンはいつものクセで謝ったりするから、黙らせたくて再び口を塞ぐことになる。

 

キスで中断してばかりだ。

 

これでは、前に進めない。

 

俺のものを扱くチャンミンの手を除け、俺はチャンミンのものを握った。

 

「ひっ...!」

 

チャンミンは針を刺されたかのように、背中を痙攣させた。

 

「やっ...ダメ、そこは!」

 

透明な液体が、チャンミンの先から俺の指へと糸を引いていた。

 

「すご...」

 

...先走りだ。

 

人間と同じじゃないか!

 

「やだ、もうやだ。

止めてっ!

 

激しく手を上下した。

 

「本当に『止めて』って思ってる?」

 

「あっ...あぁ...っ」

 

容赦なく扱いた。

 

これまで数えきれないほど、チャンミンを想って手淫してきたように、チャンミンのものを扱いた。

 

俺のものを握っていたはずのチャンミンの片手は、俺の一の腕に縋りついていた。

 

根っこを掴まれ、チャンミンは顔をしかめて悶えている。

 

その姿をもっと見たくて、扱く手のピッチが上がる。

 

「は...ん...んっ...っ...」

 

好きな奴を優しく...17のガキがムードを求めるとは、最初から無理な話だったんだ。

 

チャンミンの先端からこぼれ出た透明な液で、滑りがよくなっていた。

 

「ユノっ...だめ...ダメ...。

あっ...はぁ、はぁ...はっ...」

 

ぬるぬると。

 

くちゅくちゅいう音がいやらしかった。

 

「すごい濡れてる」

 

のけぞっていたチャンミンは、俺の指摘に自身の股間を確かめるなり、そっぽを向いてしまった。

 

「知らない...です。

こんな風になるなんてっ...知りません!」

 

握ったものが熱くて固い。

 

「そこはっ...駄目です。

変になりそう...で...す」

 

チャンミンは俺の手を除けようと、俺の手首をつかむ。

 

掴んでいるくせに、その力は大したことなくて、もっと触って欲しいのが本心なのだとバレてしまう。

 

俺のしつこいキスに呼吸が苦しくなり、顔を振って俺から逃れるくせに、数秒も経たないうちに自ら俺の顔を引き寄せ、先ほどよりも激しく俺の口を塞ぐ。

 

控えめなのか、どん欲なのか分からない。

 

チャンミンの先端からとめどなく湧き出るもので、もっと滑りがよくなった。

 

扱くてをもっともっと加速した。

 

俺自身の快楽は二の次だ。

 

本人曰く、『イッた』ことがないという。

 

「やぁ、やだっ!

変、変。

苦しい!」

 

チャンミンは、悲鳴を上げていた。

 

「っああっ、やぁ...はっ...やめっ、やめてぇ!」

 

チャンミンは激しく首を振った。

 

「やめない!」

 

俺は容赦しない。

 

一の腕をつかむチャンミンの指が痛い。

 

「ダメっ、怖い!

怖い!

怖い!

破裂しそう!」

 

「チャンミン、それがイクってやつだよ」

 

チャンミンの下腹が波打った。

 

 

「はあはあはあ...」

 

チャンミンの丸めた背中が速いピッチで上下している。

 

「すみ...ません。

びっくりしてしまって...」

 

チャンミンは息が整うと身体を起こし、自身が放ったものを観察し出した。

 

「凄い...。

凄いですね」

 

そう言って、俺の一の腕に飛び散った白濁したものを、人差し指ですくい取った。

 

「これが、それなんですね。

初めて見ました」

 

チャンミンはすくい取ったものの匂いを嗅ぎ、2本の指を擦り合わせ、その間で糸をひいたものを赤い舌で舐めとった。

 

「チャンミン!」

 

まるでドレッシングの味見をしているようだ。

 

見ている俺の方が恥ずかしくなった。

 

「変な味がします。

僕、まるで人間のようですね」

 

チャンミンは恍惚の表情で、「嬉しいです」を繰り返した。

 

それから、耳を疑うことを口にした。

 

「ユノ」

 

「ん?」

 

「次は?

続きはするのでしょう?」

 

「続きって?」

 

チャンミンは四つん這いになり、俺のもとまでにじりよってきた。

 

「僕はイクことができました。

次に...次に進みますよね、これから?」

 

「...え...」

 

「ユノと僕は今夜...ひとつに...。

レストランの時間にはもう間に合いませんから、今からです。

ユノはこれからするつもりでいたのでしょう?

だからっ...」

 

チャンミンは俺の肩をつかむと、俺を押し倒した。

 

「チャンミン...?」

 

急に積極的になったチャンミンに、俺はタジタジだ。

 

経験のない俺だって知っている、そこは受け入れるために出来ていない。

 

賢いチャンミンでも、同性同士の行為についての知識は不足しているようだった。

 

今夜中に繋がることができるとは、思ってもいなかった

 

チャンミンのそこを舌と指でほぐす、それだけで済ますつもりでいた。

 

「すぐには入らないんだって。

無理にやったら切れてしまう。

だって、チャンミンの身体は人間と同じだろ?」

 

チャンミンは性奴として造られたアンドロイドではない。

 

『人間』として造られたアンドロイドなんだ。

 

「少しずつ広げていって、時間はかかるけれど...指でするんだ」

 

「そうなのですか?...」

 

俺はゴムの箱とチューブをベッドサイドから取ると、封を開けた。

 

「俺によく見えるように。

猫みたいになって」

 

「猫...ですか?」

 

俺は人差し指にゴムを指サックのようにはめ、そこにクリームをたっぷりと付けた。

 

「うん。

脚も折りたたんで、丸くなった猫になって」

 

チャンミンは俺の指示通り、猫のようにうずくまった。

 

 

(つづく)

 

 

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