抱き合う俺たちは何一つ身につけておらず、互いの興奮したものを下腹に挟んでいた。
キスはさんざんしつくした。
唇は腫れ、唾液にまみれた顎と頬を擦りつけ過ぎてヒリヒリした。
舌の根っこが疲れている。
チャンミンの手が伸びてきて、俺の張り裂けそうになったものをおずおずと握った。
「...んっ」
そこは全感覚が集中しているところ。
チャンミンのタッチは小鳥を撫ぜるがごとくで物足りなく、彼の手に加勢した。
「もうちょっと...強くていい」
「ごめんな...さ」
チャンミンはいつものクセで謝ったりするから、黙らせたくて再び口を塞ぐことになる。
キスで中断してばかりだ。
これでは、前に進めない。
俺のものを扱くチャンミンの手を除け、俺はチャンミンのものを握った。
「ひっ...!」
チャンミンは針を刺されたかのように、背中を痙攣させた。
「やっ...ダメ、そこは!」
透明な液体が、チャンミンの先から俺の指へと糸を引いていた。
「すご...」
...先走りだ。
人間と同じじゃないか!
「やだ、もうやだ。
止めてっ!
激しく手を上下した。
「本当に『止めて』って思ってる?」
「あっ...あぁ...っ」
容赦なく扱いた。
これまで数えきれないほど、チャンミンを想って手淫してきたように、チャンミンのものを扱いた。
俺のものを握っていたはずのチャンミンの片手は、俺の一の腕に縋りついていた。
根っこを掴まれ、チャンミンは顔をしかめて悶えている。
その姿をもっと見たくて、扱く手のピッチが上がる。
「は...ん...んっ...っ...」
好きな奴を優しく...17のガキがムードを求めるとは、最初から無理な話だったんだ。
チャンミンの先端からこぼれ出た透明な液で、滑りがよくなっていた。
「ユノっ...だめ...ダメ...。
あっ...はぁ、はぁ...はっ...」
ぬるぬると。
くちゅくちゅいう音がいやらしかった。
「すごい濡れてる」
のけぞっていたチャンミンは、俺の指摘に自身の股間を確かめるなり、そっぽを向いてしまった。
「知らない...です。
こんな風になるなんてっ...知りません!」
握ったものが熱くて固い。
「そこはっ...駄目です。
変になりそう...で...す」
チャンミンは俺の手を除けようと、俺の手首をつかむ。
掴んでいるくせに、その力は大したことなくて、もっと触って欲しいのが本心なのだとバレてしまう。
俺のしつこいキスに呼吸が苦しくなり、顔を振って俺から逃れるくせに、数秒も経たないうちに自ら俺の顔を引き寄せ、先ほどよりも激しく俺の口を塞ぐ。
控えめなのか、どん欲なのか分からない。
チャンミンの先端からとめどなく湧き出るもので、もっと滑りがよくなった。
扱くてをもっともっと加速した。
俺自身の快楽は二の次だ。
本人曰く、『イッた』ことがないという。
「やぁ、やだっ!
変、変。
苦しい!」
チャンミンは、悲鳴を上げていた。
「っああっ、やぁ...はっ...やめっ、やめてぇ!」
チャンミンは激しく首を振った。
「やめない!」
俺は容赦しない。
一の腕をつかむチャンミンの指が痛い。
「ダメっ、怖い!
怖い!
怖い!
破裂しそう!」
「チャンミン、それがイクってやつだよ」
チャンミンの下腹が波打った。
・
「はあはあはあ...」
チャンミンの丸めた背中が速いピッチで上下している。
「すみ...ません。
びっくりしてしまって...」
チャンミンは息が整うと身体を起こし、自身が放ったものを観察し出した。
「凄い...。
凄いですね」
そう言って、俺の一の腕に飛び散った白濁したものを、人差し指ですくい取った。
「これが、それなんですね。
初めて見ました」
チャンミンはすくい取ったものの匂いを嗅ぎ、2本の指を擦り合わせ、その間で糸をひいたものを赤い舌で舐めとった。
「チャンミン!」
まるでドレッシングの味見をしているようだ。
見ている俺の方が恥ずかしくなった。
「変な味がします。
僕、まるで人間のようですね」
チャンミンは恍惚の表情で、「嬉しいです」を繰り返した。
それから、耳を疑うことを口にした。
「ユノ」
「ん?」
「次は?
続きはするのでしょう?」
「続きって?」
チャンミンは四つん這いになり、俺のもとまでにじりよってきた。
「僕はイクことができました。
次に...次に進みますよね、これから?」
「...え...」
「ユノと僕は今夜...ひとつに...。
レストランの時間にはもう間に合いませんから、今からです。
ユノはこれからするつもりでいたのでしょう?
だからっ...」
チャンミンは俺の肩をつかむと、俺を押し倒した。
「チャンミン...?」
急に積極的になったチャンミンに、俺はタジタジだ。
経験のない俺だって知っている、そこは受け入れるために出来ていない。
賢いチャンミンでも、同性同士の行為についての知識は不足しているようだった。
今夜中に繋がることができるとは、思ってもいなかった
チャンミンのそこを舌と指でほぐす、それだけで済ますつもりでいた。
「すぐには入らないんだって。
無理にやったら切れてしまう。
だって、チャンミンの身体は人間と同じだろ?」
チャンミンは性奴として造られたアンドロイドではない。
『人間』として造られたアンドロイドなんだ。
「少しずつ広げていって、時間はかかるけれど...指でするんだ」
「そうなのですか?...」
俺はゴムの箱とチューブをベッドサイドから取ると、封を開けた。
「俺によく見えるように。
猫みたいになって」
「猫...ですか?」
俺は人差し指にゴムを指サックのようにはめ、そこにクリームをたっぷりと付けた。
「うん。
脚も折りたたんで、丸くなった猫になって」
チャンミンは俺の指示通り、猫のようにうずくまった。
(つづく)
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