私は高校教諭、30代独身、生粋の腐男子だ。
我がクラスに見目麗しいカップルがいる。
彼らは白米が何杯でもいけるほどの、味付けの濃いおかずだ。
黒髪貴公子攻めユノとポメガバンビウケチャミだ。
脳内で繰り広げられるメイクラブ。
その激しさたるや、くんずほぐれつ大乱闘...に見えるほど。
薔薇を背負ったユノが、薔薇に埋もれたチャンミンを二つ折りにして、いいところばかり刺激するから、チャンミンは昇天まであと5秒。
・
ところで...。
...チャンミンは既に、ナカイキできるようになっているんだろうか?
高校生だぞ。
早いだろ。
ユノも高校生だぞ。
チャンミンをエロい身体に開発してくれるのは結構だが、そのテクはどこで学んだ?
高校生らしい初々しさも大切だ。
なんでもかんでも、エロく烈しければよい、というわけじゃない。
・
「前立腺...」
(しまった!)
私は口を覆った。
ぼそり、とつぶやいてしまったワードに慌てた。
ホームルーム中に妄想する内容じゃない。
今のようにおかしなことを口走ってしまうし、ゆるゆる顔面を生徒たちに目撃されてしまう。
私は教卓を離れ、窓から校庭を見下ろした。
アジサイの花が満開だった。
(ふむ)
花を美しいという目で見られなくなって、久しい。
腐臭ぷんぷんの腐男子の宿命である。
薔薇だの、菊だの、百合だの、つぼみだの、すべてが腐に結びついてしまうのだ。
例えば百合の花を見れば......百合BL。
菊の花を見れば...つまり。
・
本日のホームルームでは、学級委員長の選出の真っ最中だ。
自主性を重んじる私は(単に面倒なだけ)、司会進行等すべてを彼らにゆだねている。
そのおかげで私は腐妄想にふけっていられるのだ。
パチパチパチパチ...。
拍手の音にハッと我に返った。
「決まったのか?」
「はい」
黒板を見ると...。
(何と!!)
学級委員長・・・ユノ
副学級委員長・・・モブ
書記・・・チャンミン
尊い...。
ありがとうございます。
せいぜい妄想させていただきます。
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