(81)時の糸(ミンホ)

 

 

【ミンホVersion】

 

ユノの片手は、チャンミンのみぞおちまで落とされた。

 

ところが、チャンミンはその手を握って捉えると、自身の腰に巻きつかせた。

 

「?」

 

「ユノはじっとしていて」と、チャンミンは唇を合わせたまま囁いた。

 

チャンミンの右手はユノの胸を揉むように撫ぜた。

 

手の平が感じる、ほどよい弾力。

 

(へぇ...ユノって、華奢なタイプに見えたのに、意外と筋肉ついているんだな)

 

揉むかたわら、チャンミンの指はユノの胸先をとらえていた。

 

「ユノのここ...柔らかかったのに...」

 

「...え?」

 

「ユノのここ...女の子のみたいに...」

 

チャンミンの指の腹で転がされ、ユノのそれは硬さを増してゆく。

 

「やわくてふっくらしてて...それなのに」

 

ユノの胸先を強弱つけて摘まんでは、引っ張った。

 

「んんっ...」

 

(待て待て。

あんたの触り方...エロい)

 

「硬くなってきた」

 

「...やっ...あ」

 

チャンミンは摘まんだ二本の指を擦り合わせた。

 

「んっ...あ、は」

 

(俺...ここが弱かったっけ?

知らんかった)

 

自身の全神経がチャンミンの指にいたぶられた一点に集中し、そこから走る電流が足の付け根の緊張を高めてゆくのだ。

 

ユノの掠れた喘ぎ声に、チャンミンは勢いづいてしまうのだが、戸惑ってもいた。

 

(初めてなのに、ユノを前にすると、自然と身体が動いてしまう。

なんだろ。

自分が自分でないみたいだ)

 

「次は舐めてあげようか?」

 

「!!」

 

ユノの下唇を食んでは、ひとことひとこと、言葉で煽るチャンミンだった。

 

「っああっ...」

 

「ユノは男なのに、そんな可愛い声、出すんだ」

 

「ば、馬鹿!」

 

(チャンミン!

どうしちゃったんだよ!)

 

普段のチャンミンとのギャップにユノは驚かされ、最初はキスや愛撫から気が反れてしまっていた。

 

ところが、女性の胸のように扱われ、次第にドキドキと胸が高まってきたのだ。

 

ユノの口内で踊っていたチャンミンの舌が、今度はねっとりとスロウな動きになっていた。

 

(キスも...エロい、エロいぞ!)

 

「ここ。

触られて...どう?」

 

「...そこっ...ダメっ...ダメみたい!」

 

(くすぐったいのに、ゾクゾクする!

...俺って、ここが弱いみたいだ。

それに、この感じだと、予想通りの流れになってしまいそうだ)

 

「どう?」

 

「っんん!

ダメだ、ダメだって。

そこばっかは!」

 

(ユノが可愛い!)

 

ユノの胸先ばかり攻めて、その反応を楽しんでいるらしいチャンミン。

 

チャンミンの手を払いのけるたび、執拗にチャンミンの手はユノの弱いところにリターンしてくるのだ。

 

爪でひっかいてみると、喉をみせてのけぞった。

 

小さな1点をなぶられただけで呼吸を乱すユノの姿に、チャンミンの欲は炎をあげる。

 

ユノの方も、自身の甘く切なげな声に、「俺って...可愛い声を出すんだな」と新鮮な気持ちを抱きつつ、その喘ぎ声に煽られてゆく自分に驚いていた。

 

(この流れ...イヤじゃない。

チャンミンに好きにされる感じ...イヤじゃないぞ)

 

チャンミンは唇を、ユノの耳の下から喉元、そこから鎖骨へと落としていった。

 

わずかに開けた唇から舌をのぞかせ、舌先でつつつ...っと、ユノの肌を味わった。

 

ユノの全身に快感のさざ波が伝播してゆき、肌が粟立った。

 

(ぞくぞくする!)

 

チャンミンの舌はユノの谷間をたどり、ようやく敏感な1点に到達すると、すかさずきつめに吸い上げた。

 

「んんっ!」

 

(ユノの低いのに、甘くて可愛い声...色っぽい)

 

(...チャンミンのえっちは、攻めな感じになりそうだ。

YKさんも情熱的っぽいから、さぞかし盛り上がったえっちをしていそうだ。

そんなの...嫌だ!)

 

「なあ、チャンミン」

 

「ん?

痛い?」

 

チャンミンはユノの胸先から唇を離した。

 

(しまった...。

夢中になり過ぎたかな)

 

「痛くない、痛くないけど...」

 

「よかった」

 

安心したチャンミンは、ユノのもう片方を味わおうとしたところ、ユノの手によってそこを覆われてしまった。

 

「嫌だった...?」

 

(しつこかったかな)

 

「あのさ、俺。

もう一個、チャンミンに言いたいことがもう一個あるんだ」

 

「どうしたの?」

 

先ほどまでの攻めの態度から一転、普段の不器用で優しいチャンミンの口調だった。

 

「えっと...俺、そっちは初めてなんだ」

 

「そっち...」

 

「俺はあっちなんだ」

 

ユノの言葉の意味が分からず、チャンミンはしばし沈黙した。

 

「あっち...?」

 

「あっちは『攻め』

そっちはその逆って意味だよ」

 

「...ああ!」

 

理解が追い付いたチャンミンは、ふうと大きく息を吐き、ユノを力いっぱい抱き締めた。

 

「優しくするから...安心して」

 

「!!」

 

(チャンミン!!

なんて台詞!)

 

「僕も初めてだけど、ユノのこと大事にするから。

優しくするから、ね?」

 

「...チャンミン」

 

(感動するんですけど)

 

チャンミンもユノも感じ取っていた。

 

やわらく押しつぶされていた前が、むくむくと堅さと長さを増していって、跳ね返さんばかりになっていることを。

 

(よかった)

 

特にユノは、ノンケのチャンミンが男の身体でどこまで興奮してくれるかを、気にかけていたから、心の底から嬉しくなった。

 

興奮の度合いを物理的に肌で...それも、最も敏感な箇所で...如実に表れて、意志の力ではごまかせない箇所で...感じ取ったことで、いよいよスイッチが入った。

 

「ねえ、チャンミン。

チャンミンの元気なとこ...触ってもいい?」

 

「ええっ!?」

 

「それ...触ってもいい?」

 

チャンミンの慌てた反応に、ユノは心の中で吹き出した。

 

(可愛いなぁ。

攻めてはみるけれど、恥ずかしがるキャラクターもちゃんとあるんだ。

安心したよ)

 

ユノはチャンミンの背中から前へと、その手をじりじりと移動させた。

 

それから、チャンミンの手をユノ自身に誘導した。

 

 

(つづく)

 

 

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