義弟(11)

 

~チャンミン16歳~

 

 

女の子には人並みに興味がある。

 

僕には相応しくないと散々馬鹿にしているけれど、やっぱり興味がある。

 

学校で、街で、それからメディアで、可愛い女の子や綺麗な女の人を見れば、じっと見てしまう。

 

腰の奥にぐんと力がこもって、抑えきれない波を隠すのに必死だった。

 

自室で、風呂場でトイレでと、彼女たちを想像の中で裸にして、自身の先っぽをいじっている。

 

四六時中、セックスのことばかり考えている。

 

女の子相手にエッチなことをする妄想が、近ごろはおかしな方向にいってしまっているんだ。

 

 

 

変な夢を見た。

 

僕と義兄さんが裸になって抱きあっていた。

 

義兄さんの肌の温かさや匂い、弾力が夢の中にしてはリアルだった。

 

僕は、義兄さんを抱いたらいいのか、抱かれたらいいのか分からなくてパニックを起こしていた。

 

僕と義兄さんはただ、抱き締めあうだけだ。

 

義兄さんのものが僕の腹に触れていて、僕はそっとそれを握った。

 

でも、その先が分からない。

 

僕の方も下腹の底が痛いくらいに疼いていて、そこに手を伸ばす。

 

そこにはあるべきものがなくて、僕は再びパニックを起こしかけた。

 

義兄さんは「それでいいんだよ」と、僕の背を撫ぜた。

 

そっか、僕は女の子になったんだ。

 

おかげで義兄さんとセックスができるようになった、と安堵と喜びで胸がいっぱいになった。

 

義兄さんを受け入れられる身体になれた僕は、義兄さんを受け止める。

 

どくどくと、たぎっていたものを開放させた直後、僕は目を覚ました。

 

くちゃりと濡れた不快な感触に、舌打ちし、唸るようなため息をついた。

 

何やってんだ?

 

浅ましい自分が恥ずかしい。

 

家族が起き出してこない早朝で助かった。

 

汚れた下着を洗いながら、僕は情けない気持ちと、開き直った清々しい気持ちの両方を抱えていた。

 

夢の中の僕は、どう動いたらよいか流れが分からずに、戸惑っていた。

 

そんな僕をリードした義兄さん。

 

何も知らない僕と、慣れている義兄さん。

 

未だ童貞の僕と、経験豊富な義兄さん。

 

フェアじゃない、と思った。

 

「好きだ、付き合いたい」と僕に近づいてくる者は多くても、そのうちの誰と付き合ったことがない。

 

僕の方から想いを告げるに価する者と出逢ったこともない。

 

付き合うとはイコール、ヤルことだろう?

 

チャンスはいくらでも転がっていたのに、意にそぐわないと全員退けてきた。

 

「チャンミンはもう済ませたクチ?」

 

「そんなところ」

 

「だろうなぁ。

いいなぁ、チャンミンは選びたい放題だもんなぁ」

 

スカした顔してて、実はそれの経験がない僕は、カッコ悪すぎる。

 

エロい想像力ばかりたくましくさせていて、実体験がない。

 

夢の中とはいえ、まごついていた自分はダサすぎる。

 

なんとかしないと。

 

経験の数ばっかりは越えられないけど、全てにおいて経験不足のガキだと思われたくなかったんだ。

 

義兄さんの上になるのか、それとも下になるのか、どっちに転ぶのだろう。

 

彫刻のように美しく逞しい義兄さんを四つん這いにさせて、後ろから突き立てるのか。

 

それとも、僕が女の子になればいいのか。

 

夢の中で僕は義兄さんのものを受け入れていた。

 

思い出していたら、僕のものが首をもたげてきた。

 

たまらず僕は下ろした右手で包み込みこみ、しごく。

 

家族がいつ起き出してくるか、ヒヤヒヤしながらの自慰は、僕を異常に興奮させた。

 

自身の手で与える快感しか知らない僕は、カッコ悪すぎる。

 

早くなんとかしないと。

 

 

答えを出すのが怖くて、認識したら最後、本当のことになってしまうと避けていた考え。

 

もう認めてしまおうと、腹を決めた。

 

僕に色めき立った視線を送る女子学生、ときどき男子学生。

 

僕に色めき立った視線を送る教諭をはじめとする、大人たち。

 

僕に相応しくないと、露とも心惹かれなかった。

 

僕に相応しいか相応しくないかの線引きとは、一体何なのか?

 

答えは、僕がその人に興味を持っているか持っていないか。

 

興味を持っている、なんてぬるい言い方をやめて、もっとストレートに言う。

 

その人の側に近づきたいと、望むか望まないか。

 

もっともっと、はっきり言う。

 

義兄さんのことが気になって仕方がない。

 

それだけじゃなく、義兄さんにはもっと僕に興味を持って欲しい。

 

義兄さんは僕に相応しい人だ。

 

だって、僕は義兄さんのことが嫌いだから。

 

僕よりもうんと年上で、成功している大人な義兄さんが嫌いだ。

 

僕の何倍も綺麗な顔をしていて、天使の笑顔を見せる義兄さんがずるい。

 

よりによって僕の姉さんと結婚している義兄さんが憎い。

 

結婚しているくせに、うっとりと目を潤ませて僕を見る義兄さんが嫌いだ。

 

見て欲しい、触って欲しいと僕にそう思わせる義兄さんが嫌いだ。

 

嫌いなのに、義兄さんが恋しい。

 

この感情が恋ならば、

僕は義兄さんに恋をしている。

 

だから、義兄さんは僕に相応しい人なんだ。

 

(つづく)

 

 

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