(1)旦那さん手帖

 

<10月某日>

 

休日

男心と秋の空。

チャンミンにこの日記帳を手渡され、「書け」と言われた。

 

 

栗の皮剥きが、ああも面倒なものとは知らなかった。

去年、チャンミンが作った栗きんとんを、一口で雑に食べてしまい、軽い言い争いになったことを思い出した。

チャンミン、ごめん。

今年は大事に食べるよ。

 

 

チャンミンのページを読んでみた。

日記、というより日報に近いものだが、チャンミンは日々、何を見て、何を思っているのかを知ることができて面白い。

常々、細かい男だなと思っていたけれど、全くその通りだった。

細かすぎて腹が立つことも多い。

適当に言ったこともこと細かく記録してあり、適当なことは口にできないと思った。

さすが小説家だけに、鋭い観察力を持っている。

 

 

回数をカウントしていたことに驚いた。

挿入はしたものの、フィニッシュを迎えられなかった回については、1回分としてカウントしているのだろうか?

1,900回の数字に、私たちのこれまでの付き合いが、いかに長く濃いものだったかがよく分かった。

世の中の夫婦の平均値は何回くらいなのだろうか。

回数をカウントしている妻なり夫は、少数派だと思う。

さすが私の奥さんだ。

 

 

正直、何を書いたらいいのか分からない。

この日記はチャンミンも見るわけで、言いたいことがあれば口で言えば済むことである。

でも、これは奥さんと私の交換日記なのだ。

文章で伝える大切さがあると思う。

チャンミン、いつもありがとう。

※ユノは文章の中で自分のことを、「私」と称する。

 

 

追記

【22:00】

ユノ、早々と就寝。

ユノの日記を読んでみた。

堅苦しい文章は、肩に力が入り過ぎてるよ。

冒頭のことわざは何?

相変わらず、キザ男だ。

日記なのに、手紙みたいになってるよ。

ユノこそ、小説家になれそうだよ。

ユノ、いつもありがとう。

 

 

【23:00】

映画『チャイルドプレイ』が始まったのに気づいて、大急ぎで録画した。

 

【明日のやることリスト】

・ユノと一緒に『チャイルドプレイ』を見ること。

・冷凍のフライドポテトを買ってくること。

(映画を観る時に食べる)

・回覧板をまわすこと

(来週水曜日に、電気工事のため午後2時から4時の間、停電になる、とのこと)

・小説『恥辱の学生服』の第3話を仕上げること