(7)奥さま手帖-11月-

 

<11月某日>

 

 

H回数:1,999回

(昨夜なし。

ユノは『ぶちかます』と宣言していたけれど、

昨夜観た映画が馬鹿馬鹿しすぎて、色っぽい雰囲気が消えてしまった。

ほんっとーにくだらない映画だったんだ)

世の中、セックスレスに陥っているカップルは多いときく。

僕らは多い方なのか、少ない方なのか。

【メモ】

ユノに訊いてみること。

〆切が過ぎれば、気持ちに余裕が出てくるだろう。

無事、原稿をおさめた日は、ユノを襲おう。

 

 

【昨夜ユノと観た映画】

死霊の盆踊り

(『死霊のはらわた』と間違えて借りてきてしまったのだとか)

 

ユノ

「すげぇな...演技が酷すぎる!」

同感

ユノ

「めちゃくちゃなストーリーだなぁ」

同感

ユノ

「なぜ墓地で裸で踊る?

演技しながら、『変だぞ?』って疑問に思わなかったのか?」

僕に訊かれても困る。

罰ゲームのように、酷すぎる作品だった。

延々と裸踊りを見せられて、食傷気味。

(女性の裸に反応しない我らに祝杯をあげる。

マッチョの裸踊りを見たいかどうかと訊かれたら、『見たい』と僕は答える)

 

【メモ】

次回こそ、『死霊のはらわた』を借りてくること

ユノったら...ジャケット写真で分からなかったのかなぁ。

 

 

5:00起床。

寒い。

布団から出るのに気合がいる。

ユノ、休み。

廃品回収の日。

寝ているユノを1分間眺める。

(ユノは永久脱毛したおかげで、髭剃りの手間がない。

つるつるすべすべお肌。

だから、毎朝天使の寝顔を見せてくれる。

じょりじょりする自分の髭を撫ぜる。

僕はこのままでいいや。

ユノにしか見せないんだから)

ユノの髪が伸びている。

【メモ】

散髪代を渡すこと

 

 

午前7時から

地区の廃品回収

公民館前の駐車場に集合

 

(資源ごみの収益で、公民館の備品を買ったり、イベント資金にするのだとか。

僕らは新参者で、少数派カップルでもあるから、可能な限りイベントに参加するようにしている。

人付き合いは得意な方じゃないけれど、居心地良い環境作りのために、努力はしないと。

理解はしてもらうのは難しくても、陰口の頻度は減るんじゃないかなぁ、って。

堂々としていられるには、あと20年は必要かも。

僕らは揃ってガラスのハートを持っているのだ)

 

■ユノの担当(力仕事)

各家から集められた新聞紙、雑誌、段ボールをトラックに積む

力仕事のせいで、暑くなったユノはジャンパーを脱いでいた。

半袖になって逞しい二の腕を見せつけてる。

(面白くない)

 

■僕の担当(炊き出し)

参加者にふるまうぜんざいを大鍋いっぱい作る。

僕はお餅を焼く係。

(これが本当の焼き餅だ...と思った直後、後悔する)

ユノのカッコよさに、女性たち(下は5歳、上は90歳まで)の目がハートになっている。

調子にのっているユノにムカムカする。

トイレに立ったユノの後をつけて、ぶすっと指浣腸してやる。

 

 

午前11時には終了。

商店街の喫茶店でランチを食べる。

店主は愛想悪いし、グラスが空になっても気付かない。

厚焼き玉子焼きを挟んだサンドイッチが美味しいのだ。

ユノはナポリタンスパゲッティ。

 

【ユノへの質問】

僕らのアレの回数は平均的なのかどうか訊いてみた。

ユノ「コンドームメーカーがしたアンケート結果によると、

世界で最も多い国では、年138回だ。

ところが、ある国では年24回だ。

俺たちは何回だ?」

こういう時に、僕の記録が役立つのだ。

僕「15年間で約2,000回。

1年130回くらいかな?」

ユノ「年で割ってみると、案外少ないんだなぁ。

最初の頃はほぼ毎日やってたよなぁ。

ひと晩に3回は当たり前だったし。

ということは...!?」

僕「近年の僕らは、頻度が減ってきてるってことか」

ユノ「まずいな...」

 

僕らは大急ぎでランチをお腹におさめ、家まで走る。

 

只今、18:00

夕飯どきの時間だけど、だるくて布団から出るのがおっくうだ。

午後いっぱい、ベッドで過ごした。

【詳細】

玄関・・・指

お風呂・・・アソコの準備を二人で

脱衣所・・・お口

ベッド・・・本番①

休憩

ベッド・・・本番②

休憩

(今、ここ)

 

 

僕らは若くない。

限りある精力。

イってしまったら回復までに時間がかかるから、イクギリギリで寸止めする。

前戯を楽しむ余裕が出てきたのも、30代になってからかなぁ?

90歳まで生きたとして、僕らはあと何回出来るのかなぁ?

前年比95%じゃ多いかなぁ。

いや、逆に105%で計算してみようか?

 

 

【買い物メモ】

・小豆の缶詰

・切り餅

-ぜんざいを作る

・酸素漂白剤

-シーツを汚してしまった

 

明日もユノ、休み(やったー)

 


 

<11月某日>

 

H回数:祝2,001回

(昨日、昼下がりのHを2回)

ユノ、休み。

二人そろって寝坊。

よい天気。

【朝食】

・トースト

・ゆで卵

・コーヒー

シンプルイズベスト

 

 

午後

ユノと街へ出かける。

ユノが散髪に行っている間、僕は洋服を見て回る。

ユノに似合いそうなパーカーを見つけたけれど、値段の高さに止めておく。

(僕らは体型がとても似ているので、洋服をシェアすることが多い)

僕のパンツの生地が薄くなってきていることを思い出し、パンツを購入。

(ユノに引っ張られたり、乱暴に下ろされているせいで、ゴムも緩い)

(ユノのパンツは先月買ったばかり)

クリスマスまであと一か月。

何を贈ろうか今のうちから考えておかないと。

今月末に入金予定の原稿料で買うこと。

(来月から連載が1本増える。

大人向け小説サイトでの掲載が決まったのだ。

閲覧数に応じて原稿料が決定されるシステム。

ちなみに僕のペンネームは女性名だ。

15年前、ある失恋をきっかけに、「よし、小説家になろう」と心に決めたのだ。

まだ、ユノと付き合っていなかった頃だったはずだ)

 

 

【帰りの電車の中で】

〆切が迫っている『恥辱の学生服』について、ユノに相談する。

『恥辱の学生服』

高校生に道具は早いので、何か違う方法を考えないと!

いいアイデアが浮かない。

僕の頭の中で、男子高校生Qと教諭Zと、養護教諭(♀)が、僕の指示を待っている。

とっとと次の行動を決めてくれ、とイライラしながら待っている。

教諭Zに嫉妬させるために、高校生Qと養護教諭(♀)が結託するのはいいけれど、この二人はライバル同士。

嫉妬させてどちらかを選ばせる戦法なのか?

教諭Zが養護教諭(♀)婚約している設定は、面白いかなぁと思ったけれど、話が膨らまないんじゃ話にならない。

思い切って、イチから書き直すことにした。

タイトルは変えられないから、主人公が高校生設定はそのままに。

〆切まであと3日。

間に合うか?

明日から頑張ろう。

 

 

【18:00夕食】

録画していたテレビ番組(ホストにハマる女たち特集)を見る。

ユノ「担当ホストに全財産を捧げるのは、恋愛感情だけじゃないんだなぁ」

僕「担当ホストをその店の一番にしてやりたい。

その為に、死にもの狂いでお金を用意する。

ナンバーワンになる夢を、客はホストと一緒に見るんだね」

ユノ「俺が感心したのはね、

身体をはる仕事をしたり、貯金をはたいて...人によっては、借金までして。

女の子たちは必死になって店に行くんだ。

彼女たちに謝ったら絶対にダメだって。

『僕のために無理させてしまってゴメン』

なんて謝ったらダメだって。

なるほど~って思った」

僕「先輩ホストが新人ホストに叱ったってとこだね」

ユノ

「謝ったりなんかしたら、お客さんに失礼だって。

『ありがとう』って言って、最高の接客をしろ、って。

はあぁ...プロの世界だ」

(ユノは今も昔も変わらない。

似たような会話を、実は15年前にもしているのだ。

きっと、ユノは覚えていないだろうけど)

僕「金をかければかけただけ、大事にしてもらえる...。

「所詮、金かよ」って寂しい気持ちになるけど、世の中その通りだよねぇ。

明朗快活で分かりやすくていいなぁ」

ユノ「ホストって、女好きのチャラい奴がなりたがる職業かと舐めていたけど、俺が間違っていた。

チャラいだけの奴じゃなれないよ。

頭の回転がよくて、タフな精神力と細やかな神経、頑丈な身体。

見た目はよいにこしたことない」

僕「ユノなら売れっ子ホストになれるね」

ユノ「うん、なれると思う」

この後、軽い言い争いになる。

 

 

明日から3日間。

僕は仕事の鬼になる。

一切の家事はしない、とユノに宣言した。

 

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