【7】僕を食べてください(BL)

 

 

~埋められた指~

 

 

 

ユノはそそり立った僕のものを、ゆらゆらと揺らした。

 

ユノの指が僕の先端から離れると、糸が引く。

 

「挿れたいか?」と僕に問う。

 

「ああ」と僕は答える。

 

拒むわけない、僕が待ち望んでいることだから。

 

「挿れたいって...どこに挿れたいの?」

 

「...っ」

 

欲の炎でぎらついた目をしたユノに問われ、僕は言葉を失ってしまうのだ。

 

僕に厭らしいことをしてくるくらいだから、ユノは男同士の行為に馴れているものだと思っていた。

 

僕の方も何ら、抵抗はない。

 

だから僕は、ユノを太ももの上に座らせて「ここに」と言って、彼の尻の割れ目を指でなぞった。

 

「そっか...チャンミンは挿れたいんだ」

 

ユノはにたりと笑うと、僕の首に両腕を回した。

 

僕はユノの顎をつまんで唇を開かせると、舌を伸ばして彼の口内を探った。

 

口づけながら、ユノのボトムスのボタンを外し、ファスナーを下ろす。

 

緩んだウエストから片手を滑り込ませて、ユノのすべらかな腰の奥の奥を探った。

 

「慌てるなって」

 

今まさにユノの入口に指がかかったとき、僕の手首ははねのけられてしまった。

 

「俺たち...凄いことになってるよ?」

 

ユノの視線の先につられて真下を見下ろした時、目に飛び込んできた光景にくらくらしてしまう。

 

天を向くユノのものと僕のもの。

 

似たようなシチュエーションは初めてではない。

 

お互いが初めて同士で、直前で怖気づいてしまった僕のせいで、場が白けてしまったのだ。

 

同級生の尻を前に、僕のものは急速に萎れてしまった。

 

僕の膝にまたがるユノ。

 

前だけを寛げたところから、さらけ出されたユノ自身。

 

ユノはとても...興奮している...僕以上に。

 

ユノの尻にまわした僕の手は震えていた。

 

僕は...うまく出来るのだろうか。

 

「どうする、チャンミン?

俺たち...こんなだよ?」

 

ユノは自身のものを揺らして、僕のものをとんとん叩く。

 

「...っ」

 

「チャンミンは、挿れたいのか?」

 

「...うん」

 

「お前...俺の尻に突っ込みたいわけ?」

 

こくりと頷く僕に、ユノは唇の片端だけゆがめて、再びにたりと笑った。

 

妖しくて美しいダークブルーの瞳。

 

「その前に...俺のも満足させてくれよ?

しごけよ」

 

そう言って、握らされたユノのもの。

 

その太さと固さに、僕の喉はごくりと鳴る。

 

自慰の時のように、手を動かしたんだけど...。

 

「下手くそ。

そんなんじゃ、いつまでたってもイケないよ」

 

ユノの言葉に、僕はぎくりとして彼を見上げた。

 

「ごめん...」

 

ユノをがっかりさせてしまったと、僕の顔はしょげ返った。

 

ユノは僕の上から降り、僕の腰をつかんだかと思ったら、今度は僕の方が彼の両腿にまたがっていた。

 

「こうやるんだよ」

 

ユノは人差し指をしゃぶって、それにたっぷりと唾液をまとわせた。

 

この後の展開が読めず、唾液でぬめぬめとした人差し指から目が離せずにいた。

 

「あっ...!?」

 

腰にまわされた両手が、僕の両尻を左右に押し広げたんだから、驚いてしまう。

 

ユノが何をしようとしているのかが分かった。

 

「なにすっ...!」

 

「チャンミンにやり方を教えてやるんだよ」

 

「やっ...駄目だっ...そんなっ...!」

 

そして容赦なく、僕のそこでグネグネと指先をうごめかすのだ。

 

「駄目っ、汚い...っから!」

 

ぞわぞわとその一点から、悪寒のようなものが走る。

 

「何で僕が...ここをっ...!?」

 

くすぐったいのと、未知への恐怖と慣れない感触に、僕のものは急速に勢いを失っていく。

 

挿入するのは僕の方だと決めてかかっていたから、ユノに尻をいじられるなんて予想外の流れで、ついていけないのだ。

 

「気持ちよくさせてやるよ」

 

腕をつっぱっても、膝から降りようとしても、どんなに抵抗しても、僕の腰を抱えたユノの力は凄まじいのだ。

 

びくともしない、とはこういうのを言うのだろう。

 

僕はもう、観念して、虎ばさみにかかった動物のように、ユノに身を預けることにした。

 

尻をいじられるなんて、おかしな展開になってしまったけど、ユノは経験豊富に見えるし、彼に任せていればいい、きっと...きっと、いい思いをさせてくれる。

 

それにしても、尻を触られるなんて...初めてだ。

 

未だ経験がないのだとしても、挿れるのは僕のはずだったから。

 

途中何度か唾液を足しながら、入り口を緩めていくユノの指。

 

差し出されたユノの人差し指を...僕の穴に突っ込んでいた指...僕は何の躊躇もなく咥えた。

 

「いい子だ」と、ユノはふっと優しい微笑を見せると、僕の唇を塞ぐのだ...まるで穢れた僕の口内を清めるように。

 

尖らせたユノの舌を、僕は咥えて前後に頭をスライドさせる。

 

ユノの首筋からあの甘い香りが、ふわっと漂った。

 

僕はギュッと目をつむり、それを胸いっぱいに吸いこんで、頭の芯がしびれるのに任せた。

 

ぺちゃぺちゃと湿った音が、車内に満ちる。

 

時折、車が通り過ぎる。

 

「...チャンミンのここ...慣れてないね。

自分でいじったこと...ないの?」

 

僕は勢いよく、首を左右に振る。

 

緩みかけた穴に、ユノの指先がじりじりと埋められていく。

 

「...っ...ふ...ああっ...駄目」

 

尻から広がる感覚に変化が訪れるまでに、大した時間はかからなかった。

 

いつの間にか僕は、甘い悲鳴をあげているのだ。

 

ユノの指に合わせて、僕は全身をビクビクと震わせていた。

 

なんだ...この感覚は...!?

 

「...ひゃ...あ...あ、あ、あ、あ、あ...」

 

苦痛に近いんだけど、痛いわけじゃない。

 

ユノの冷たい指が、僕の中へ逆流していく。

 

「...んぐっ...ダメっ...奥...もうダメ」

 

「大して挿ってないぞ?

これくらい...ビビるなよ」

 

「違っ...怖くはっ...ない...!」

 

「これは?」

 

直後、目の奥が真っ白になって、僕の身体は激しく跳ねる。

 

「あああっ...ん!」

 

直に触れたらいけない場所を...例えば、喉の奥を、内臓を触られたような。

 

「...チャンミン。

素質があるなぁ。

ホントにここを使ったことないの?」

 

「...ないよっ...」

 

なんだ、この感じ...。

 

立っていた地面の蓋が開いて、足からすとんと穴に落ちる感じ。

 

そして僕は、温かくて甘い蜜の井戸にどぼんと沈むのだ。

 

この時には僕の全身から力が抜け、完全にユノにゆだねていた。

 

ユノは服を着たままだったけど、僕の熱い頬が彼の冷たい肌に冷やされて気持ちがよかった。

 

「ほら...2本目。

いやらしいなぁチャンミンのここは。

挿れられるためにあるようなものだ。

ゆるゆるだぞ...これは?」

 

「...っは...」

 

「いい反応だ。

これなら、もう少し慣れせば俺とセックスができるぞ?」

 

「え...?」

 

ユノの発言に驚いて、身を起こしてしまった。

 

『セックス』のワードに激しく反応してしまったのだ。

 

望んでいたことなのに、立場が逆になっていた。

 

昨夜の僕は、僕に貫かれるユノを妄想して抜いていたのに...。

 

「チャンミン。

俺のとこに、挿れたいか?」

 

僕の気持ちを見透かしているユノ。

 

「ううん」

 

「じゃあ...挿れられたいか?」

 

数秒、逡巡した後、僕はこくりと頷いた。

 

「よし、いい子だ」

 

ユノは僕の頬をつるりと撫ぜた。

 

「チャンミン、自分とこ見てみろ」

 

確かに...ゆるく勃ち上がった僕のもの。

 

「ちゃんと感じてて、いい子だ。

イカせてやるよ」

 

顎までつたった僕の唾液をユノは舌で舐めとると、僕の唇を隙間なく覆った。

 

間近に迫ったユノの紺碧色の瞳と目が合う。

 

「...んっ!」

 

ユノの左手は僕の尻に、右手は僕のものをしごいている。

 

同時に攻められて、僕の下半身丸ごとどこかへ行ってしまいそう。

 

首を振ってユノのキスから逃れた。

 

素早く、複雑にうごめくユノの手の中で、僕のものは硬度を増していく。

 

と同時に僕の穴の中でも、指の腹で腸壁のある個所がとんとんと刺激されている。

 

「駄目だよっ...

出ちゃうから」

 

レザーシートを汚してしまう。

 

出したらいけない、出したらいけない、出したらいけない、出したらいけない!

 

「駄目だって...ユノっ!

離して!」

 

「いい子だ」

 

「...あっ...あぁぁぁ!」

 

かすれた悲鳴と共に、僕は射精した。

 

2日の間に、よくもこう出せるものだと呆れるくらい、放出しきるまで何度も痙攣を繰り返した。

 

ユノの肩に頭をもたせかけ、僕は息も絶え絶えだった。

 

「チャンミン...お前もしかして...童貞だろ?」

 

ずばり聞かれて、一瞬の間をおいて、僕は頷いた。

 

「どうして、分かった?」

 

「チャンミンの身体は、素直過ぎるからね」

 

にやりと笑ったユノの唇の、そこだけが紅色で、美味しそうだと思った。

 

 

 

 

「チャンミンはいつまでここにいる?」

 

今になって、自分は帰省中の身で、4日後には寮に戻らなくてはならないことを思い出した。

 

ユノと会えるのはあと4日。

 

「4日もあるんだ。

ふふふ。

たくさん愛し合おう」

 

ユノは僕の額にキスをした。

 

僕はユノを深く抱きしめた。

 

 

 

(つづく)

 

 

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