チャンミンは股間を見下ろしていたが、いきなり俺の下着に手を突っ込んだ。
「あ、こら!」
そして、半勃ちレベルになった俺のペニスを引っ張り出した。
「ユノ...おっきいね」
チャンミンは、手の平に載せてふにふにと軽く握ったり離したりした。
「っん...」
細くて長い、神経質そうな指だと思った。
「僕のも、握って」
男同士はこういう点、遠慮がないなと思った。
「早く!」と急かされ、下着ごとパンツを引き下げたら、チャンミンのペニスが弾みよく飛び出た。
「...すげーな...」
握ると、熱く脈打っていて、チャンミンの興奮がダイレクトに伝わってくる。
「......」
俺たちは貪るように口づけを交わす。
舌を吸いながら、左手はチャンミンのペニスを一定のリズムでしごく。
チャンミンも、俺の裏筋を親指で刺激しながら、他の4本で竿をしごく。
「んっ」
ヤバ...とにかく気持ちがいい。
ペニスの扱い方は、お互い知り尽くしているから、当然か。
女の子がやる遠慮がちなデリケートなしごき方じゃなくて、遠慮のないしごき方だ。
強い快感が背筋を駆け抜けて、目がくらみそうだ。
チャンミンの先走りの量がすごくて、ぬるぬると面白いように指が滑る。
「あ...っ」
チャンミンの喘ぎ声が、女の子っぽくてそそられる。
唇を離して、互いの肩に額をのせる。
「はぁ、はぁ」
息が荒い。
このままイってしまっては勿体ない。
ペニスをつかんだ手を離して、互いの指を絡めた。
俺たちのペニスを密着させた。
股間を見下ろすと、ビジュアル的にエロくて興奮する。
チャンミンはとろんとした目で、口を半開きで、腰を揺らし始めた。
「あ...ん」
声が女っぽいんだよ。
途端に俺のペニスがグッと硬く膨張した。
俺も腰を小刻みに揺らして、チャンミンのペニスにこすりつける。
「気持ちいいか?」
「う...うん...あっ...」
俺の敏感なところが、チャンミンのそこに当たって、互いの先走りが混ざり合って、ぬるぬるとこすり合わさる。
腰の動きを止めて、柔らかな尿道口同士をぬるつかせたら、チャンミンの膝ががくっと抜けそうになって、俺は腰を支えてやる。
「それ、駄目...そこ...駄目」
とうわ言みたいに繰り返すから、指のしごきを加えてやった。
「だ、駄目っ」
チャンミンに手首を捉えられてしまった。
「ユノ...駄目」
腰を引いたら、2つの亀頭の間につーっと糸が引いた。
なんて眺めだよ。
俺たちは、手探り状態だった。
どこをどうすればいいか分からなかった。
今はただ、俺とチャンミンが向かい合わせに立って、目の前に突き出された互いのペニスをまさぐり合うだけだ。
俺の腹とチャンミンの腹で、2本のペニスを挟み込んだ。
深く口づけながら、腰を上下に動かす。
互いの亀頭がぐりっと重なり合った時、
「はぅ...ん」
チャンミンは天を仰いで大きく喘いだ。
上では、互いの口内を舌でいっぱいにする。
すげぇ気持ちいい。
目の前で、俺の興奮とチャンミンの興奮が、物理的ににくっついてるんだ。
チャンミンも同様で、亀頭がずりずりと合わさる光景を見下ろして、ぱんぱんに怒張した。
「あ...ん、あ...ん」
だから、喘ぎが女っぽいんだって、と心中で突っ込みを入れながら、俺もかすれ声交じりの吐息を漏らす。
視線を交わして合図を送る。
俺のペニスもチャンミンのものも、俺は両手で一緒くたに握った。
これまでの人生で、ペニスを2本まとめてしごいたことは、ない。
俺以外の勃起したペニスを間近で目にすることも、触ったことも、ない。
目の前のこの男、チャンミンとキス以上のことをしようと思ったら、こうするしかないんだ。
「ユノ...すき...」
「!」
そういう可愛いことを、急に言い出すなって。
俺が腰をチャンミンにこすりつけるように揺らす間、チャンミンは俺の首に両手でかじりついている。
「あっ...ん...んっ」
2本まとめて射精したいところだ。
チャンミンの方が早そうだ。
「も...だめ...イキそ...」
チャンミンのペニスの根元を強く握って抑えたが、駄目だ、視線がうつろになっている。
「待て...!」
「だめ...もた...ない...!」
腰の動きを止めて、ペニス同士を密着させてしごく手のスピードを上げた。
股間の奥の圧力が増した。
「イっちゃう...」
手の中のモノも、ぎちぎちに硬く膨れてきた。
チャンミンは腰を小刻みに揺らし出した。
「イクっ...イクっ...イっ」
ビクッと痙攣したのち、チャンミンの方から熱いものが噴出し、
「んっ...!」
俺の視界が一瞬白くなった末、遅れて俺の方も達した。
互いの腰がぶるぶるっと震えるごとに、白いものが吐き出される。
チャンミンは俺の頭を力任せにかき抱いているから、俺は息ができない。
「はあはあはあはあはあ...」
2人して肩で、荒い呼吸を繰り返した。
チャンミンの腕がほどかれると、どさっと俺は床に尻から倒れこんだ。
「あちー」
チャンミンも崩れ落ちるように腰を落とすと、そのまま床に大の字になった。
冷房の効いていないロッカールームは蒸し風呂のようで、俺たちは汗でずぶ濡れだった。
チャンミンの白いTシャツは、ぴっちりと肌に張り付いて、肌色が透けている。
「これは...一種の...運動だな」
「うん...」
「なんとかなるもんだな」
「うん」
「...なんとか、なった...」
「うん」
「ん?」
チャンミンが俺のTシャツの裾を引っ張っていた。
「次は...」
寝っ転がったチャンミンが、潤んだ目で俺を見上げていた。
「服を脱いでやりましょう」
「ああ」
よかった、チャンミンも俺とのことを気に入ってくれたようだ。
「それから」
チャンミンの腕が伸びて、俺の両頬を挟んだ。
「次は、涼しい部屋でやりましょう」
そう言って、唇が当たるだけの優しいキスをした。
「もちろん」
ロッカールームは、いくら若い俺たちだって参るくらい過酷過ぎる。
半身を起こしたチャンミンは、両腕を上げてTシャツを脱いだ。
俺は見惚れた。
正しい位置に、正しい分量の筋肉をまとった美しい背中だった。
「恥ずかしいから、見ないで」
顔を赤くさせて、脱いだTシャツを俺に手渡す。
「?」
「拭きなよ。
ユノのお腹についてる」
確かに俺の下腹部と、陰毛にチャンミンの、いや俺のか?、どっちのでもいいが、精液が跳ねついていた。
「拭いたらチャンミンは、着ているものどうすんの?」
「あ、そっか...。
別にいいよ、気にしない」
俺はチャンミンに手を貸して立ち上がらせた。
立ち上がった途端、チャンミンに尻をガシっとつかまれた。
「おい!」
「ユノのお尻...触り心地がよかった」
眉を下げて目を細めてニヤニヤしている。
「やらしいこと言うなよ」
「ふふふ。
僕らは、いろいろと勉強しないと、ね?」
「確かに」
『勉強』の内容はきわど過ぎるが。
「俺は嫌だからな。
チャンミンの方だからな!」
「えー、どうして僕が『ウケ』なの?」
「お前、やっぱり詳しいじゃないか!?」
「ユノの方こそ、知ってるじゃん」
「......」
「どっちが向いているかは、やってみなくちゃ分からないよ。
フェアにいきましょう」
「なんだそれ?」
「あーもー!
ユノのせいで、精液臭い」
「俺のとは限らないだろ?」
「ううん。
これは、僕のじゃない」
チャンミンがTシャツをくんくんさせてるから、俺はチャンミンの背中をどついた。
「そういう恥ずかしいことは、やめろって」
「ははは」
・
チャンミンが射精する瞬間の、切なげな表情がたまらなかった。
キャップとマスクの隙間からのぞいた可愛らしい目元に、チャンミンのことを「女」だと思ったんだ。
しかし、つなぎの上を脱いで袖部分をウエストに巻き付けた時、身体付きを見てはじめて、チャンミンは男だと知った。
俺もTシャツ姿になっていたというのに、チャンミンは気付かなかったのか?
どう見ても男だろう!?
一体どこを見てたんだ?
後日、チャンミンに尋ねたら、
「ユノの顔しか見ていなかった。
あまりにも綺麗な目で、目が離せなかった」
なんて、可愛い返事がもらえた。
チャンミンに褒められた目で、俺はチャンミンの背中に熱い視線を送る。
・
以上が、俺とチャンミンの「コト始め」のすべてだ。
思い出すと、無知でぎこちなくて笑ってしまうが、当時の俺たちは真剣だった。
俺には当時、付き合って1年になる彼女がいた。
チャンミンと牛の腰角ごしに視線が交差した瞬間、彼女と別れよう、と決心したんだ。
『僕のユノのコト始め』終わり
『僕とユノの時間割』につづく
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