私は高校教諭、30代独身男性、腐男子である。
中学生の頃からBLを嗜み、腐士(ぶし)となった私は、正々堂々と本屋のBLコーナーをたむろすことができる。
堂々とレジに持ってゆける。
『LE○N』とグラビア雑誌にサンドする姑息な技は使わない。
ここでは、私の腐度よりも語るべき対象がある。
担任するクラスにお気に入りのCP生徒、ユノ×チャンミンがいる。
見た目最高、ちょい悪風ダル系男子ユノと、純情むっつりポメガ男子チャンミンだ。
・
先週末、美容院に行った。
待ち時間の間、メンズヘアカタログを見ていた。
黒髪、金髪、ふわパーマ、短髪、オールバック、ロングヘア...イケメンパレード。
私は脳内で、CPを考えていた。
この子は可愛らしい顔をしている...王道の黒髪ショタウケ。
ピアスどっさり金髪チャラ男風...実はウケ。
眼鏡男子...実はスーパー攻め様。
切れ長アイズ長身貴公子風...スパダリ。
ロン毛カメラマンやさ男...ウケ。
(んん~!?)
サロン紹介広告ページで、逸材を発見。
ナンバーワンスタイリストらしい。
痩せ型真ん中分け眼鏡にスーツ、40代前半か。
...”おじさん”じゃないか!
年寄りだからと、腐妄想できないということはない。
この”枯れ”具合が素晴らしい。
となると、彼がウケとして、ガチムチ大学生を攻めとしてぶつけよう。
ガチムチ大学生はおじさんに精神的に頼っている。
ところがベッドでは立場が逆転する
腐士に男だらけのカタログを見せたらいけない。
・
さて、私は美術部の顧問をしている。
わが校は、教諭は何かしらの部活動の顧問をしなければならない。
早く帰宅して、新刊BLを読みたくて仕方がない私は、週2日の部活動を時間のロスだと考えていた。
ところが今年度は違う。
美術部に、ユノ×チャンミンが入部したのである。
本日は何を描いてもらおうか?
美術備品室の棚を見回していた。
口の下がくびれた茶色の花瓶が目にとまった。
どっしりとした銅製で、太く高さがある。
窓辺に視線を移した。
カットが繊細なガラスの花瓶に、ピンク色のバラが活けられている。
「ふむ」
花と花瓶...なんと優美な。
順当なのは、花が攻め、花瓶がウケ。
だがしかし。
花束ごと活けられそうな、太くて茶色い花瓶を攻め側のアレとした場合、
細い口をした可憐な花瓶をウケ側のアレとした場合、
そこに活ける花というのは...。
ダメだ駄目!
高校生には早すぎる!
・
「あれ?
デッサンに使うトルソーがないぞ?」
ロッカーを開けてみせた私は、困りきったフリをする。
「困ったなぁ。
トルソーがないと、デッサンができない。
誰か、モデルになってくれないかなぁ?」
ユノ、もしくはチャンミンは脱がせようと企む私は...病んでいる。
半裸になったユノ、もしくはチャンミン。
チャンミン...が、いいかもしれないな。
ユノの熱っぽい視線に、チャンミンのち〇びは、ぴんぴんにたってしまう。
ユノはぺろり、と唇を舐める。
チャンミンは反応しかけたアソコを、足を組んで隠す。
他の部員は、二人が視線だけで犯し犯されているのに気づかない。
ユノが描くチャンミンのデッサン画では、チャンミンは全裸になっている。
そして...あそこは大きく天を向いているのだ!
・
ああ、私はなんとおバカなのだろう。
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