(9)腐男子です

 

 

私は高校教諭、30代独身男性、腐男子である。

 

中学生の頃からBLを嗜み、腐士(ぶし)となった私は、正々堂々と本屋のBLコーナーをたむろすことができる。

 

堂々とレジに持ってゆける。

 

『LE○N』とグラビア雑誌にサンドする姑息な技は使わない。

 

ここでは、私の腐度よりも語るべき対象がある。

 

担任するクラスにお気に入りのCP生徒、ユノ×チャンミンがいる。

 

見た目最高、ちょい悪風ダル系男子ユノと、純情むっつりポメガ男子チャンミンだ。

 

 

先週末、美容院に行った。

 

待ち時間の間、メンズヘアカタログを見ていた。

 

黒髪、金髪、ふわパーマ、短髪、オールバック、ロングヘア...イケメンパレード。

 

私は脳内で、CPを考えていた。

 

この子は可愛らしい顔をしている...王道の黒髪ショタウケ。

 

ピアスどっさり金髪チャラ男風...実はウケ。

 

眼鏡男子...実はスーパー攻め様。

 

切れ長アイズ長身貴公子風...スパダリ。

 

ロン毛カメラマンやさ男...ウケ。

 

(んん~!?)

 

サロン紹介広告ページで、逸材を発見。

 

ナンバーワンスタイリストらしい。

 

痩せ型真ん中分け眼鏡にスーツ、40代前半か。

 

...”おじさん”じゃないか!

 

年寄りだからと、腐妄想できないということはない。

 

この”枯れ”具合が素晴らしい。

 

となると、彼がウケとして、ガチムチ大学生を攻めとしてぶつけよう。

 

ガチムチ大学生はおじさんに精神的に頼っている。

 

ところがベッドでは立場が逆転する

 

腐士に男だらけのカタログを見せたらいけない。

 

 

さて、私は美術部の顧問をしている。

 

わが校は、教諭は何かしらの部活動の顧問をしなければならない。

 

早く帰宅して、新刊BLを読みたくて仕方がない私は、週2日の部活動を時間のロスだと考えていた。

 

ところが今年度は違う。

 

美術部に、ユノ×チャンミンが入部したのである。

 

本日は何を描いてもらおうか?

 

美術備品室の棚を見回していた。

 

口の下がくびれた茶色の花瓶が目にとまった。

 

どっしりとした銅製で、太く高さがある。

 

窓辺に視線を移した。

 

カットが繊細なガラスの花瓶に、ピンク色のバラが活けられている。

 

「ふむ」

 

花と花瓶...なんと優美な。

 

順当なのは、花が攻め、花瓶がウケ。

 

だがしかし。

 

花束ごと活けられそうな、太くて茶色い花瓶を攻め側のアレとした場合、

 

細い口をした可憐な花瓶をウケ側のアレとした場合、

 

そこに活ける花というのは...。

 

ダメだ駄目!

 

高校生には早すぎる!

 

 

「あれ?

デッサンに使うトルソーがないぞ?」

 

ロッカーを開けてみせた私は、困りきったフリをする。

 

「困ったなぁ。

トルソーがないと、デッサンができない。

誰か、モデルになってくれないかなぁ?」

 

ユノ、もしくはチャンミンは脱がせようと企む私は...病んでいる。

 

半裸になったユノ、もしくはチャンミン。

 

チャンミン...が、いいかもしれないな。

 

ユノの熱っぽい視線に、チャンミンのち〇びは、ぴんぴんにたってしまう。

 

ユノはぺろり、と唇を舐める。

 

チャンミンは反応しかけたアソコを、足を組んで隠す。

 

他の部員は、二人が視線だけで犯し犯されているのに気づかない。

 

ユノが描くチャンミンのデッサン画では、チャンミンは全裸になっている。

 

そして...あそこは大きく天を向いているのだ!

 

 

ああ、私はなんとおバカなのだろう。

 

 

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