~チャンミン~
水の中でのえっちは...初めてだった。
憧れていた。
水中で見るお兄さんのそこは、ライトに照らされてホクロもしわも1つ1つが鮮やかに目に迫ってきた。
消毒薬入りのぬるま湯がしみないよう、僕は目をつむった。
温水プールだとはいえ、冷えたそこを僕の体温で温めた。
お兄さんのくびれと折りたたまれた皮の凸凹、太く浮き出た血管を、舌の腹で楽しんだ。
水が流れ込んでこないように隙間なく、唇でお兄さんのものを僕の口の中に閉じ込めていた。
肺の酸素が切れかけ、耳鳴りがしてきた。
溺れる一歩手前まで、息が続くまでお兄さんのものを咥えていた。
意識が遠のき始めた時、下半身を奉仕する僕は水上へ引っ張りあげられた。
「馬鹿、おぼれ死ぬぞ」
叱りつけるお兄さんを無視して、僕は息を継ぎして再び水中に戻った。
お兄さんの太ももに片腕をまきつけ、もう片手は彼の根元を握っていた。
先っちょから、水じゃないぬるみを帯びたものが出てくる。
ところが、深く咥えこもうと口を大きく開けた時、油断して水を飲みこんでしまった。
ごぼっと大きな泡が吐き出され、直後吸い込んだ瞬間、僕は再びお兄さんに助け上げられた。
水中のフェラチオは難しかった。
「大丈夫か?」
お兄さんはゲホゲホ咳く僕の背を叩いて、「無茶するから」と呆れていた。
酸素を求めてしゃくりあげる呼吸が回復するまで、僕はお兄さんにもたれていた。
鼻と喉の奥がひりひりした。
「マシになったか?
ったく無茶をするから...」
「お兄さん...えっちしましょう」
お兄さんの左手首を捕らえ、僕のお尻の谷間へと強引に誘導した。
「チャンミン...ここは部屋じゃないんだぞ?」
水着を脱いでしまいたいのに、ぴっちりと食い込むほどタイトなもので、片手では脱ぐことができない。
焦れた僕は、股ぐりからおちんちんを出した。
締め付けから解放され、僕のおちんちんは水中で揺らいでいる。
お兄さんの右手で、半勃ちした僕のおちんちんを握らせた。
一向に動かそうとしないお兄さんの手に、僕自ら腰を振った。
「ここじゃ駄目だ。
プールを汚してしまう」
「...でも」
イルカの交尾みたいに、したかったのに。
お兄さんは「仕方ないな」と吐息をつくと、水をかきわけプールサイドへと、胸にしがみついたままの僕を抱えて連れていった。
誘われたのは、大きな大きなバスタブ。
お兄さんは縁にあった何か操作すると、泡がぶくぶくと湧いてきて、沸騰した鍋みたいだった。
「ジャグジーだ」
「ここも...水、ですよ?
汚れたら困るって...」
「後で、抜いてしまえばいい」
お兄さんの唇が振ってきて、「でも...」と言う僕の唇をぴたりと塞いだ。
冷たい頬同士が合わさり、反面口の中は温かかった。
キスの段階で僕はとろとろになってしまう。
お兄さんの唇は僕の顎をたどり、首へ鎖骨へと下りていく。
辿り着いたのは僕の乳首。
周囲をぺろぺろと舐められて、その中心が固く尖ってきた頃、きゅんと痺れが走った。
「ああっ...!」
吸いあげられた1点からおちんちんへと電流が流れ、そこがびくんと跳ねたのが分かった。
切なくなって、お兄さんの頭を胸に押し付けた。
お兄さんは乳首から頭を起こすと、僕を睨み上げた。
「お前は腕を上げていろ」
お兄さんに命ぜられた通り、両腕を真上に持ち上げた。
執拗に乳首だけを攻められる。
片方が指で押しつぶされている間、もう片方は千切れそうに吸われたり、前歯で噛まれて引っ張られた。
強い刺激が与えられるたび、僕のおちんちんは上下に揺れた。
「もっと...もっと、痛くして...」とおねだりした。
ところが僕の乳首はお兄さんから解放されてしまった。
「脱いで」
これにも従って、窮屈なだけの布切れを脱ぎ捨てた。
「舐めて」
お兄さんは水着を下へずらし、弾んで跳び出したものに手を添え、僕を煽るように揺らした。
ゆるゆるとしごく節の太い指に、僕の興奮のメーターは振り切ってしまいそうだった。
僕はお兄さんの正面にすりより、彼の股間に顔を埋めた。
どれだけ口と指を使ってもお兄さんは一向に射精せず、僕は哀しくなってきた。
「挿れて...お兄さん、早く挿れて?」
口がダメなら、もうひとつの口で気持ちよくなってもらいたい。
僕はジャグジーの縁に両手をついて、お尻を突き出した。
「自分で、やってみせろ」
「...そんな...やだ」
かぎ型にした指で僕の入り口を引っかけ、もう片方の手の指で左右に押し広げた。
そしてお兄さんは、開いた穴にふうっと息を吹き込んだ。
「...っあん」
「...チャンミン。
今日もいじっただろ?
ゆるゆるだぞ?」
「だって...」
図星だった僕は、「はい...」と素直に認めた。
「もっと尻を出して」
お兄さんは僕の肩をぐいと押したので、僕はそれに従った。
ジャグジーの縁に両膝を、縁から1段下のステップに両手をついた。
お兄さんの命令通り、いつも自分で慰めているようにお尻に手を伸ばした。
「お兄...さんっ、これじゃ...手が...届かない」
「それは残念だ」
お兄さんの声が下から聞えたので腕の間から覗き見ると、彼は縁に両腕を預け、悠々とジャグジーに浸かっていた。
「やだ...こんなの、恥ずかしい」
お兄さんは僕がひとりえっちするのを見物する気だったんだ。
「誰か...来るかもしれないね?」
「えっ...!?」
「恥ずかしいところ...誰かに見られてしまうな」
お兄さんは僕のセーヘキをよく分かっている。
ちょっと痛いのや苦しいの、それから恥ずかしい恰好をさせられるのが好きだって。
僕がもともともっていた傾向が、犬時代にセーヘキへと調教されたのではないかな。
「ごめん。
からかい過ぎたな」
「水の中はやだ」
自由に腰を動かせないし、泡が邪魔でお兄さんのおちんちんを見ることができない。
後ろから突かれるか、お兄さんの膝に乗る体位がやっとだろう。
正面同士で身体を重ねる体位が好みだった僕は、「ここじゃ...やだ」と駄々をこねた。
お兄さんはニヤニヤ笑っているだけだ。
僕は身体を起こすと、室外へのドアへ小走りで向かった。
悠然と僕の後を追ってくるお兄さんを何度も振り返った。
水着をプールの中に置いてきてしまったことを思い出したけど、別にいいや、と思った。
手当たり次第に開けたドアの向こうは更衣室だった。
僕は棚に積まれた分厚いバスタオルを、床に払い落とした。
バスタオルの上に横たわり、両腕を開いてお兄さんを迎え入れた。
僕らは抱き合った。
いつ住民がドアを開けるかドキドキした。
お兄さんは僕の両足首をつかむと、高々と持ち上げた。
僕はこの体位で繋がるのが大好きなんだ。
いつもの流れ通り、僕は自身の膝裏に腕をひっかけて引き寄せた。
露わになったそこは、お兄さんのものをごくりと飲み込む。
「チャンミン...好きだよ」
熱い吐息と共に囁かれた。
我慢しきれずに口走られた言葉だったからこそ、特別な「好き」なんだと嬉しくなった。
僕は達しながら、真っ白な視界の中で連呼していた。
「好き好き好き好き...」
お兄さんの身体に僕は溶け込んで、彼のものになる感覚が好きだ。
これって「好き」ってことでしょ?
リアル世界に舞い戻ってくると、僕を見下ろすお兄さんの顔に徐々にピントが合った。
僕はもう一度、「好き」と告白した。
(つづく)
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