あなたのものになりたい(17)

 

 

~チャンミン~

 

 

水の中でのえっちは...初めてだった。

 

憧れていた。

 

水中で見るお兄さんのそこは、ライトに照らされてホクロもしわも1つ1つが鮮やかに目に迫ってきた。

 

消毒薬入りのぬるま湯がしみないよう、僕は目をつむった。

 

温水プールだとはいえ、冷えたそこを僕の体温で温めた。

 

お兄さんのくびれと折りたたまれた皮の凸凹、太く浮き出た血管を、舌の腹で楽しんだ。

 

水が流れ込んでこないように隙間なく、唇でお兄さんのものを僕の口の中に閉じ込めていた。

 

肺の酸素が切れかけ、耳鳴りがしてきた。

 

溺れる一歩手前まで、息が続くまでお兄さんのものを咥えていた。

 

意識が遠のき始めた時、下半身を奉仕する僕は水上へ引っ張りあげられた。

 

「馬鹿、おぼれ死ぬぞ」

 

叱りつけるお兄さんを無視して、僕は息を継ぎして再び水中に戻った。

 

お兄さんの太ももに片腕をまきつけ、もう片手は彼の根元を握っていた。

 

先っちょから、水じゃないぬるみを帯びたものが出てくる。

 

ところが、深く咥えこもうと口を大きく開けた時、油断して水を飲みこんでしまった。

 

ごぼっと大きな泡が吐き出され、直後吸い込んだ瞬間、僕は再びお兄さんに助け上げられた。

 

水中のフェラチオは難しかった。

 

「大丈夫か?」

 

お兄さんはゲホゲホ咳く僕の背を叩いて、「無茶するから」と呆れていた。

 

酸素を求めてしゃくりあげる呼吸が回復するまで、僕はお兄さんにもたれていた。

 

鼻と喉の奥がひりひりした。

 

「マシになったか?

ったく無茶をするから...」

 

「お兄さん...えっちしましょう」

 

お兄さんの左手首を捕らえ、僕のお尻の谷間へと強引に誘導した。

 

「チャンミン...ここは部屋じゃないんだぞ?」

 

水着を脱いでしまいたいのに、ぴっちりと食い込むほどタイトなもので、片手では脱ぐことができない。

 

焦れた僕は、股ぐりからおちんちんを出した。

 

締め付けから解放され、僕のおちんちんは水中で揺らいでいる。

 

お兄さんの右手で、半勃ちした僕のおちんちんを握らせた。

 

一向に動かそうとしないお兄さんの手に、僕自ら腰を振った。

 

「ここじゃ駄目だ。

プールを汚してしまう」

 

「...でも」

 

イルカの交尾みたいに、したかったのに。

 

お兄さんは「仕方ないな」と吐息をつくと、水をかきわけプールサイドへと、胸にしがみついたままの僕を抱えて連れていった。

 

誘われたのは、大きな大きなバスタブ。

 

お兄さんは縁にあった何か操作すると、泡がぶくぶくと湧いてきて、沸騰した鍋みたいだった。

 

「ジャグジーだ」

 

「ここも...水、ですよ?

汚れたら困るって...」

 

「後で、抜いてしまえばいい」

 

お兄さんの唇が振ってきて、「でも...」と言う僕の唇をぴたりと塞いだ。

 

冷たい頬同士が合わさり、反面口の中は温かかった。

 

キスの段階で僕はとろとろになってしまう。

 

お兄さんの唇は僕の顎をたどり、首へ鎖骨へと下りていく。

 

辿り着いたのは僕の乳首。

 

周囲をぺろぺろと舐められて、その中心が固く尖ってきた頃、きゅんと痺れが走った。

 

「ああっ...!」

 

吸いあげられた1点からおちんちんへと電流が流れ、そこがびくんと跳ねたのが分かった。

 

切なくなって、お兄さんの頭を胸に押し付けた。

 

お兄さんは乳首から頭を起こすと、僕を睨み上げた。

 

「お前は腕を上げていろ」

 

お兄さんに命ぜられた通り、両腕を真上に持ち上げた。

 

執拗に乳首だけを攻められる。

 

片方が指で押しつぶされている間、もう片方は千切れそうに吸われたり、前歯で噛まれて引っ張られた。

 

強い刺激が与えられるたび、僕のおちんちんは上下に揺れた。

 

「もっと...もっと、痛くして...」とおねだりした。

 

ところが僕の乳首はお兄さんから解放されてしまった。

 

「脱いで」

 

これにも従って、窮屈なだけの布切れを脱ぎ捨てた。

 

「舐めて」

 

お兄さんは水着を下へずらし、弾んで跳び出したものに手を添え、僕を煽るように揺らした。

 

ゆるゆるとしごく節の太い指に、僕の興奮のメーターは振り切ってしまいそうだった。

 

僕はお兄さんの正面にすりより、彼の股間に顔を埋めた。

 

どれだけ口と指を使ってもお兄さんは一向に射精せず、僕は哀しくなってきた。

 

「挿れて...お兄さん、早く挿れて?」

 

口がダメなら、もうひとつの口で気持ちよくなってもらいたい。

 

僕はジャグジーの縁に両手をついて、お尻を突き出した。

 

「自分で、やってみせろ」

 

「...そんな...やだ」

 

かぎ型にした指で僕の入り口を引っかけ、もう片方の手の指で左右に押し広げた。

 

そしてお兄さんは、開いた穴にふうっと息を吹き込んだ。

 

「...っあん」

 

「...チャンミン。

今日もいじっただろ?

ゆるゆるだぞ?」

 

「だって...」

 

図星だった僕は、「はい...」と素直に認めた。

 

「もっと尻を出して」

 

お兄さんは僕の肩をぐいと押したので、僕はそれに従った。

 

ジャグジーの縁に両膝を、縁から1段下のステップに両手をついた。

 

お兄さんの命令通り、いつも自分で慰めているようにお尻に手を伸ばした。

 

「お兄...さんっ、これじゃ...手が...届かない」

 

「それは残念だ」

 

お兄さんの声が下から聞えたので腕の間から覗き見ると、彼は縁に両腕を預け、悠々とジャグジーに浸かっていた。

 

「やだ...こんなの、恥ずかしい」

 

お兄さんは僕がひとりえっちするのを見物する気だったんだ。

 

「誰か...来るかもしれないね?」

 

「えっ...!?」

 

「恥ずかしいところ...誰かに見られてしまうな」

 

お兄さんは僕のセーヘキをよく分かっている。

 

ちょっと痛いのや苦しいの、それから恥ずかしい恰好をさせられるのが好きだって。

 

僕がもともともっていた傾向が、犬時代にセーヘキへと調教されたのではないかな。

 

「ごめん。

からかい過ぎたな」

 

「水の中はやだ」

 

自由に腰を動かせないし、泡が邪魔でお兄さんのおちんちんを見ることができない。

 

後ろから突かれるか、お兄さんの膝に乗る体位がやっとだろう。

 

正面同士で身体を重ねる体位が好みだった僕は、「ここじゃ...やだ」と駄々をこねた。

 

お兄さんはニヤニヤ笑っているだけだ。

 

僕は身体を起こすと、室外へのドアへ小走りで向かった。

 

悠然と僕の後を追ってくるお兄さんを何度も振り返った。

 

水着をプールの中に置いてきてしまったことを思い出したけど、別にいいや、と思った。

 

手当たり次第に開けたドアの向こうは更衣室だった。

 

僕は棚に積まれた分厚いバスタオルを、床に払い落とした。

 

バスタオルの上に横たわり、両腕を開いてお兄さんを迎え入れた。

 

僕らは抱き合った。

 

いつ住民がドアを開けるかドキドキした。

 

お兄さんは僕の両足首をつかむと、高々と持ち上げた。

 

僕はこの体位で繋がるのが大好きなんだ。

 

いつもの流れ通り、僕は自身の膝裏に腕をひっかけて引き寄せた。

 

露わになったそこは、お兄さんのものをごくりと飲み込む。

 

「チャンミン...好きだよ」

 

熱い吐息と共に囁かれた。

 

我慢しきれずに口走られた言葉だったからこそ、特別な「好き」なんだと嬉しくなった。

 

僕は達しながら、真っ白な視界の中で連呼していた。

 

「好き好き好き好き...」

 

お兄さんの身体に僕は溶け込んで、彼のものになる感覚が好きだ。

 

これって「好き」ってことでしょ?

 

リアル世界に舞い戻ってくると、僕を見下ろすお兄さんの顔に徐々にピントが合った。

 

僕はもう一度、「好き」と告白した。

 

 

(つづく)

 

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