会社員-愛欲の旅33-

 

 

「一旦、外にでましょうか」

 

チャンミンに手を引かれ、俺は湯船から出た。

 

俺はマナー違反にならないよう、タオルは畳んで頭の上に乗せていた。

 

チャンミンの腰を隠していたタオルは、のぼせた俺を支えるため、滝の岩の上に置いたままだ。

 

俺の目の前で、左右交互に隆起する二つの小山。

 

割れ目を下へと辿っていく。

 

袋と内腿に挟まれた辺りに、目的のものが隠されている。

 

大理石の床は濡れて滑りやすく、すってんころり、ゴツンと頭を打ちつけないように、と慎重に歩を進める。

 

でも...。

 

床に転がった位置から、チャンミンのアソコをまるごと拝めるではないか!

 

アレの正確な位置を把握できるし、取り去ることも可能かもしれない。

 

(馬鹿か、俺は?)

 

さっきからチャンミンのアソコにばかり注目している自分に呆れる。

 

チャンミンをタチにさせたいウメコの悪だくみが、よりによって際どいところに仕込まれているせいだ。

 

ここでいいアイデアを思いついた。

 

「背中を洗ってやるよ」

 

「えっ!

身体はさっき洗いましたよ」

 

「いやいや。

背中はちゃんと洗えていないだろ?」

 

「でもっ」

 

「いいから!

座りな、って」

 

俺はチャンミンの両肩を押して、強引に椅子に座らせた。

 

「ユンホさんたら...もぉ」

 

俺は頭の上からタオルを取って、ボディソープを垂らし泡立てて、チャンミンの背中に滑らせた。

 

「気持ちいいです」

 

チャンミンの背中は体毛も吹き出物もなく綺麗だった。

 

「すべすべだなぁ」

 

「やん...照れちゃいます」

 

「痒いところは?」

 

「お尻...」

 

「!!」

 

「冗談です、うふ」

 

太い二の腕から推測した通り、チャンミンの背中は筋肉質で、肩甲骨辺りの凹凸が芸術的だった。

 

(もしかして...俺よりもマッチョ...?)

 

俺も本気で筋トレせねばと思いながら、「前の方も洗ってやるよ」とチャンミンの正面へとまわった。

 

「!!!」

 

チャンミンのむき出しの本体と御対面することになった。

 

(ほほぉ...。

なるほどなるほど...)

 

小さな椅子に窮屈そうに、膝をくっ付けた内股で座っている。

 

(毛深い方か...ふむ)

 

この位置からだと、内側の付け根は見られない。

 

「ユンホ...さん?」

 

チャンミンは無言で静止した俺を不審がった。

 

そして、俺の目線の行方を辿った末、目を見開いた。

 

「ユンホさん!」

 

チャンミンはババっと、両手でそこを隠した。

 

「恥ずかしいです...見ないでください」

 

チャンミンの胸から首、顎から額へと、ぐんぐん肌が紅潮していった。

 

「恥ずかしくなんてないさ。

恋人同士だろ?」

 

「で、でも...ここじゃイヤです。

二人っきりの時で、『さあ、えっちしますよ』って時に披露したいです。

ぼ、僕のペ、ペ〇〇ではユンホさんを満足させてあげられませんけど...」

 

(やっぱり!

チャンミンは上になるつもりだ!)

 

「満足させるって...。

そんなこと本番になってみないと分かんないだろ?」

 

俺は探るの止めて、ストレートに迫る戦法に作戦変更した。

 

小学生みたいにふざけたフリして、股間を覆ったチャンミンの両手を引きはがしにかかったのだ。

 

「やっ!

駄目ですって!」

 

「いいじゃん」

 

「ユンホさんったら、さっきから僕のアソコしか見てません。

僕のアソコしか興味がないんですか?」

 

「え...?」

 

「『温泉に入ろう』、って時から変です」

 

その通りだったから、二の句が継げない。

 

俺は思った。

 

女性相手の経験しかない俺だった。

 

綺麗なモノには男も女もなく、性別を超えて交際できるだろうと常々考えていたのに、いざ、肉体的に繋がりを持つタイミングが訪れた時、俺は抱く側だと決め込んでいた。

 

俺はあくまでも『押し倒す側』であり、『愛撫する側』であり、『挿入する側』なのだと。

 

チャンミンは女っぽいところがあるから、余計に決めつけていた。

 

「...ゴメン」

 

素直に謝った俺に、チャンミンは「気にしないでください」と言って、隣の椅子を引き寄せてそこに座るよう促した。

 

「僕...知ってますよ」

 

「?」

 

「ユンホさんが気になっていること」

 

「?」

 

「ユンホさんを煽るようなことを言った僕も悪かったんですが。

ウメコさんのアドバイスに従ったんです」

 

「ウメコ?」

 

「ウメコさんから聞いたんでしょう?」

 

「......」

 

「僕が雄々しくなっちゃう呪物ですから、ユンホさんは女の子になっちゃう。

それが僕の身体のどこかにある。

よ~く見ればそれがどこなのか、分かりやすいところにある」

 

「......」

 

「だから、あのサイズの合っていない浴衣だったんです」

 

俺たちのつんつるてんの浴衣と、宴会場でパカッと裾を割って座ったチャンミンを思い出した。

 

「『付ける場所は胸や手足じゃ面白くない、際どい場所じゃなくっちゃ』

あ、これはウメコさんの台詞です」

 

(ウメコめ!)

 

「恥ずかしいけど、お見せします。

この辺りです」

 

「どうして教えてくれるんだ?」

 

「それは...ユンホさんの不自然な態度が嫌だったんです。

僕のアソコやアソコを、えっちな気持ちじゃない目で見られたくなかった。

そりゃあね、ユンホさんを煽る台詞をウメコさんからレクチャーを受けたのは確かです。

僕だって本意じゃなかったんですよ、これを付けるのは」

 

と、チャンミンは自身の股の下を指さした。

 

「え?

そうなの?」

 

「はい。

ユンホさんにぎゅうってハグされたいし、押し倒されたいです。

大好きなユンホさんの指や唇で開発されたいです。

僕のイケナイところに、ユンホさんの秘宝をぶち込んで欲しいのです!

魔術にゆがめられたくないです!」

 

「俺もチャンミンにそうしてやりたいよ」

 

「よかった」

 

チャンミンはこてん、と頭を傾けにっこり笑った。

 

その笑顔が可愛くて、きゅっと胸がときめいた。

 

「これは僕が付けたわけじゃないから、どんなものなのか、どんな呪文が書かれているのか分からないんです」

 

「自分が付けたんじゃない!?」

 

パンツを下ろしたチャンミンの前にしゃがんだウメコを想像する。

 

至近距離で!

 

許せん。

 

旅行から帰ったら、ウメコを締め上げてやらねば。

 

そんな俺の気持ちを読んだかのように、「ウメコさんじゃないです」とチャンミンは否定した。

 

「ウメコさんにやらせたら、嫉妬深いハンサムな恋人に殺されます。

だから、ここに付けてくれたのはウメコさんの恋人です」

 

「そうだろうね」

 

(俺自身も過去に、ウメコのハンサムな恋人に殺されそうになったことがあったっけ)

 

「じゃあ、それ...取っちゃっていい?」

 

チャンミンの股間をつんつん、と指さした。

 

「そうですね」

 

「場所が際どすぎて、僕も見たことがないんです。

手鏡は小さすぎるし、お風呂の鏡は位置が高すぎて...。

端っこしか見えなくて...」

 

「おし。

椅子に片足を乗っけて」

 

チャンミンは俺の指示通り椅子に右足をかけ、よく見えるように邪魔なものを手ですくい上げた。

 

俺はひざまずき、下を覗き込む。

 

「暗くて見えにくい。

脱衣所なら明るいぞ?」

 

「ヤです」

 

「わかった」

 

洗い場の照明の近くに移動して、再チャレンジした。

 

「もうちょっと膝を落として...」

 

「はい」

 

「これか!」

 

「ありました?」

 

赤いものがある。

 

そして...そして...!

 

ウメコ~~~!

 

 

 

(つづく)

 

 

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