(10)秘密の花園

 

 

突然の訪問者にフリーズする全裸の男2人。

 

チャンミンはユノの下から抜けだすと、猛ダッシュで玄関からユノのスニーカーを取って引き返してきた。

 

(タマちゃんに、僕とユノがいちゃこらしてたのをバレるわけにはいかない!)

 

「チャンミーン!

うんこ中か?」

 

「タ、タマちゃん!

ちょっと待ってて!」

 

玄関ドアに向かって声をかけると、ポカンとしているユノにベッド下に散らばった服を押しつけた。

 

「ユノ!

窓から外へ出て!」

 

「はぁ?」

 

「ユノ!」

 

「なんで俺が逃げなくちゃいけないんだよ!?」

 

チャンミンの部屋は1階だが、窓の外は人通りが少ないとはいえ道路に面している。

 

ぐいぐいと背中を押すチャンミンに、声を殺して怒鳴りつける。

 

「俺はお前の『間男』じゃない!」

 

ユノは、「恋人なんだぞ」と心の中で叫ぶ。

 

「タマちゃんは知らないんだよ。

僕とユノがその...できてるって」

 

「俺のダチだって、誰一人チャンミンとのことなんか知らないんだぞ?」

 

「タマちゃんに知られたら面倒なことになるんだからぁ!」

 

「チャンミーン!

アイスを買ってきたんだ。

溶けるから早くしろ!」

 

鋭いノックの音。

 

「わ、わかった!」と返事をしたチャンミンは、もたもたとショーツを履くユノに無理やりスニーカーを持たせた。

 

「おい!

パンツが履けないじゃないか!」

 

「早く!

ユノ!」

 

慌てているせいでなかなかショーツに足を通せずにいるユノに、しびれをきらしたチャンミンは、

 

「こっち!

この中にいて!」

 

全裸のユノの手を引っ張って押し入れの中に押し込むと、ぴしゃっと力いっぱい戸を閉めた。

 

「おい!」

 

ガタガタと戸を揺らすユノに「我慢しててね」となだめるように声をかけ、チャンミンは下着を探す。

 

(パンツ...パンツ...僕のパンツはどこだ?)

 

「あった!」

 

拾い上げたショーツは赤いラインの入ったもので、ユノのもの。

 

(ま、いっか)

 

ショーツを履き勢いよくスウェットパンツを引きあげると、玄関に走っていきガチャリと鍵を外した。

 

「お待たせ...はあはあ」

 

ドアの向こうには、チャンミンの唯一の友人タマちゃんが、不貞腐れた表情で立っていた。

 

 


 

 

一方、真っ暗な押し入れに押し込められたユノ。

 

(チャンミンの馬鹿野郎!

『間男』扱いしやがって!

俺はチャンミンの『恋人』なんだぞ!

タマちゃんとやらを追い返せばいいのに!

この際、カミングアウトすればいいのに!

チャンミンは俺たちの関係を、恥ずかしいと思っているんだ)

 

ユノは膝の上に組んだ腕に顔を埋めた。

 

(男友達が遊びに来てるって、普通にしていればいいものを。

俺を押し入れに隠すなんて...)

 

チャンミンの慌てふためく姿に、少しばかり傷ついていたユノだった。

 

(こそこそする関係なんて、やっぱり御免だ!

チャンミンには悪いが、俺はここを出てやるからな)

 

押し入れを飛び出すことに決めたユノは、手探りでショーツを探すが...ない。

 

チャンミンが押しつけたものは、Tシャツが...2枚。

 

ボトムスは...ない。

 

(ノーパンかよ...勘弁してくれよ...)

 

 


 

 

「アイス、ありがとう。

食べようっか?」

 

床にあぐらをかいたタマちゃんは鼻をくんくんさせながら、コーン茶をグラスに注ぐチャンミンの背中に視線を移す。

 

(こんなにいい男なのに、ちょっと前まで『童貞』だったんだよなぁ。

残念ながらチャンミンは、私のタイプじゃないから全然そそられないんだよなぁ)

 

「あんたさ、いい身体を見せつけたいのは分かるけど...服着なよ」

 

そう指摘されてチャンミンは、顔を赤くする。

 

「う、うん」

 

見回してTシャツを探すチャンミン。

 

(ユノのだ!)

 

くしゃりと落ちているダメージ・デニムをさりげなく拾い上げた。

 

(僕のTシャツは...どこだ?)

 

チャンミンは時間を巻き戻して、Tシャツの在り処を探る。

 

(中華料理屋から戻った時には、僕らはすっかり燃え上がっていて、ドアを開けるなりディープキスが始まって...。

 

キスしながら互いのジッパーを下げて...ユノのおちんちんは元気いっぱいで...僕のも痛いくらい勃っていて...。

 

ユノのおちんちんを咥えようとしたらよろけて、僕は仰向けに転んじゃって...そしたらユノが覆いかぶさってきて...。

 

スウェットパンツをあっという間に脱がされたら、僕のパンツがぐちょぐちょに濡れてるのがバレて、ユノに『チャンミンはエッチだなぁ』って笑われて...。

 

じゅっとパンツ越しに吸われて、僕は魚みたいに跳ねちゃって...『チャンミンの味がする』って言われて、恥ずかしくって...。

 

ユノはTシャツを脱いで...赤いTシャツ、僕もTシャツを脱いで...黒いTシャツ...。

 

2枚まとめて部屋の方に投げたんだった...さっきユノに2枚とも渡したんだ、きっと!

 

んでもって、ベッドまでたどり着かないうちに、エッチが始まっちゃって(未挿入のやつ)。

 

僕の先走りがすごくって、『ローションなんていらないな』って、ユノがおちんちんを2本まとめてしごいて...はぁ...気持ちよかった...)

 

「ぐふふふ」

 

「チャンミン!

笑い方がキモい!」

 

「ごめん。

...ん?」

 

ベッドと壁の隙間に黒いものを発見したチャンミンは、乱れ切ったシーツのしわを伸ばすフリをして手繰り寄せた。

 

(これは...僕のパンツ!)

 

チャンミンは反射的に押し入れの戸を見る。

 

(ユノのパンツは僕が履いてるし...。

ってことは、押し入れの中のユノはフルチンじゃないか!

ごめん、ユノ!)

 

手の中の下着を、さっとタオルケットの中に隠した。

 

(押し入れの中にTシャツの着替えがあるけど、戸を開けたらユノが転がり出てくるし...)

 

「暑いからさ、このままでいるよ」

 

「ふぅん...、ま、いいけどさ」

 

溶けかかったバニラアイスを美味しそうに舐めているタマちゃんに、チャンミンは問う。

 

「で?」

 

「『で?』って、何が『で?』だよ。

私が来て迷惑だったのか?」

 

タマちゃんはムッとしている。

 

「そういう意味じゃなくて

何の用事なのかなぁ、って」

 

(タマちゃんが突然やってくるのは今に始まったことじゃないけど、今日は大迷惑なんだよ)

 

(あーーーー!)

 

タマちゃんが座った後ろに潤滑ローションのピンクのボトルが目に入り、すかさずチャンミンは足を繰り出してベッド下に蹴り飛ばす。

 

(危なかったー)

 

「チャンミン...正直に言え。

私に隠し事をしようたって、100年早いんだ」

 

「隠し事って...何のこと?」

 

すいと目を反らすチャンミンに、タマちゃんは飛び掛かって首を絞める真似をした。

 

「苦しいぃ!」

 

「この部屋、臭いんだよ!」

 

タマちゃんはくんくんと鼻を鳴らし、ぐるりと部屋を見渡す。

 

「そりゃあ男の部屋だもの、臭いのは仕方ないさ」

 

「男くさいのとは違う...栗の花のような匂い...これは...」

 

(どきぃ)

 

タマちゃんはチャンミンの首から手を離すと、口元をにやりと歪ませた。

 

「チャンミンの乳首...腫れてない?

真っ赤だよ」

 

「ええぇっ!!!」

 

チャンミンは手をクロスさせて、両胸の先端を隠す。

 

(ユノの馬鹿馬鹿!

僕が乳首好きだって知ってて、しつこく攻めるからぁ!)

 

タマちゃんはすっくと立ちあがった。

 

「帰る!」

 

「ええっ!?」

 

「エッチの最中だったんだろ?

邪魔したな」

 

「ち、違っ!」

 

チャンミンの恋人が隠れているのだろうと予想したタマちゃんは、浴室に向かって声をかけた。

 

「私はチャンミンの友達に過ぎないからな!

デブ専だから、こーんな細っこい男は好みじゃないわけ。

ってことで、安心しておくれ」

 

「......」

 

「チャンミンよ...やりたい盛りなんだな。

ゴミ箱、ティッシュでいっぱいじゃないか」

 

「!」

 

「それに...」

 

タマちゃんはチャンミンを手招きすると、耳元で囁いた。

 

「そのうち道具でも使う勢いだな。

覚えたてのくせに、ローションなんか使っちゃって...。

しかも...あれ、アナル用だろ?」

 

(!!!!!!)

 

タマちゃんはニヤニヤ顔で、首まで真っ赤になったチャンミンの肩をポンポンと叩いた。

 

「じゃあな」

 

 


 

タマちゃんの姿が消えるまで、玄関ドアから顔を出して見届けたチャンミンは、猛スピードで部屋の中に引き返す。

 

(ユノを早く出してあげないと!)

 

押し入れの向こうは、しーんとしている。

 

「ユノ!!!」

 

押し入れの戸を開けようとしたが、びくともしない。

 

(そうだった!

この戸は閉めたら最後、開けられないんだった!)

 

ガタガタと揺すってみるが、びくともしない。

 

ユノの方も、とっかかりが何もないべニア板製のドアの内側からは何も出来ない。

 

(どうしよう!)

 

取っ手にかけた指が真っ白になるまで渾身の力を振り絞って引いてみるが、数センチも開いてくれない。

 

「ここから出られないのか!?」

 

「だ、大丈夫。

僕がなんとかするから!」

 

「チャンミンがなんとか出来るのかよ...大いに疑わしい」と、押し入れの暗闇に閉じ込められたユノは思う。

 

(それにしても...暑い!)

 

ユノは額を伝う汗を、手の甲で拭った。

 

冬用布団が背中に密着していて、余計に暑苦しい。

 

柱や框のひずみが上下から戸をぎっちりと押さえ込んでいる。

 

「チャンミン!

早く俺を出せって!」

 

(どうしよう!)

 

ユノが中から戸を叩く音に、チャンミンは焦るばかりだ。

 

「暑い!

ミイラになっちまう!」

 

チャンミンは部屋の中を行ったり来たりしていたが、開かずの扉と化した戸を開けるいいアイデアが全く浮かんでこないのだ。

 

一方のユノは、上はTシャツ、身につけられる物のない下はむき出しだ。

 

わずか1センチほど開いた隙間から、光が差し込んでいる。

 

チャンミンの下着を借りようと探ってみたが、衣裳ケースはあれど戸がつっかえて引き出せないのだ。

 

(なんて恥ずかしい恰好をしているんだ、俺は。

このままチャンミンちの押し入れの住人になっちまうのか!?)

 

「ん?」

 

隙間から細長いものが差し込まれた。

 

「お茶だよ。

脱水症状おこしちゃうから」

 

「......」

 

ユノは無言でストローをくわえて、外でチャンミンが持つグラスの中身を飲んだ。

 

(こういうところは気がきくんだよなぁ)

 

「えーっとね、おしっこはここでしてね」

 

隙間から渡されたのはビニール袋。

 

「ふざけんな!?」

 

ユノはチャンミンを怒鳴りつける。

 

「俺の世話はいいから、早くなんとかしてくれ!」

 

「大きな声を出さないでよ。

ますますパニックになっちゃうじゃないか」

 

「パニック状態なのは、俺の方!

そんなことより、パンツを寄こせ!」

 

「んー、それは出来ない」

 

「なんで?」

 

「ユノのパンツ、今僕が履いてるから」

 

「はぁ?」

 

「それに僕のパンツはその...濡れてるし」

 

「じゃあ、チャンミンが脱げばいいじゃん。

俺のパンツを返してくれ!」

 

「...わかった」

 

ユノは戸の隙間から黒い布切れを受け取ると、極狭の空間と折りたたまれた長い脚に苦労しながら身につけた。

 

「俺はもう待てない。

そこをどいていろよ!」

 

「え...ユノ...何するの?」

 

「ぶち破る」

 

ユノは戸に向かって座りなおし、胸に付くほど膝を引き寄せた。

 

床についた両手を踏ん張ると、勢いよくキックを繰り出した。

 

バリっと鈍い音がして、薄いべニア板にひびが入った。

 

「やった...!」

 

膝を引き寄せ、次は両端の桟を目がけてかかとで蹴る。

 

「あと少し」

 

「ユノ、頑張れ!」

 

桟が折れたことで、万力のように挟まれていた戸がガタついてきた。

 

チャンミンは上下に戸を揺すりながら引くと、ごろりとユノが手前に転がり出てきた。

 

「ユノ!」

 

駆け寄ったチャンミンは、ユノの肩を抱く。

 

「ゴメン...ユノ...ゴメンね」

 

「......」

 

むくりと起き上がったユノは、片膝を立てた姿勢でチャンミンに応えず俯いている。

 

(怒ってる...!

...でも、当然か。

タマちゃんを追い返せばよかったのに、部屋に入れようとしたのは僕だ。

それだけじゃなく、ユノを隠そうとした。

ユノに酷いことをしてしまった)

 

チャンミンは正座をした腿の上の両手をぎゅっと握った。

 

「チャンミン」

 

「はい...」

 

「許して欲しい?」

 

「はい...ごめんなさい」

 

「俺の言うこと、何でもきくか?」

 

「...はい」

 

目を真っ赤にしてすがるように見つめるチャンミンに、ユノはあっさり許したくなったが。

 

(うるうるさせちゃって。

可愛いんだよなぁ、こういうところが。

すまん、チャンミン...お前の顔を見てると意地悪がしたくなる)

 

 

「アナルを捧げるのは、チャンミンに決定!」

 

「えええーー!!」

 

「俺をこんな目に合わせたんだぞ?」

 

「う...」

 

「それに...チャンミン、また裸になっちゃって」

 

「わっ!」

 

チャンミンは両手で股間を隠す。

 

それもそのはず、ユノに下着を返すためスウェットパンツもショーツも脱いだチャンミンは当然、全裸なわけで。

 

「誘ってるとしか思えないよ」

 

「これは!

パンツを返さなくっちゃって...。

Tシャツはユノに渡しちゃったし...」

 

「チャンミンったら、また股間を濡らしちゃってさ。

返してもらった俺のパンツ、チャンミンの我慢汁でべたべたなわけ(嘘だけど)」

 

「......」

 

「俺はモーレツに、怒ってるわけ」

 

「です...よね」

 

首まで真っ赤になったチャンミンを、ユノは勢いよく押し倒した。

 

「観念しろよ?」

 

「...はい」

 

床についたユノの両手の間で、チャンミンはこくりと頷いたのであった。

 

 

(つづく)

 

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(9)秘密の花園

 

「喉乾いたな。

冷蔵庫に何かある?」

 

スプリングをきしませ半身を起こしたユノは、うつ伏せで横たわったチャンミンの頭をくしゃりと撫ぜた。

 

「ん...と、コーン茶が冷えてる」

 

ユノは裸のままベッドを出ると、冷蔵庫に顔を突っ込んだ。

 

「チャンミン...お前さ、ヤカンで湯を沸かして、お茶作ってるの?」

 

「そうだよ。

変かな?」

 

「おかしかないけど、マメな奴だなぁ」

 

「その方が経済的なんだよ」

 

「いい子だな、お前」

 

「まあね」

 

チャンミンは築30年以上のオンボロアパートに独り暮らしをしている。

 

床はギシギシときしみ、天井には不気味な茶色い染みがあり、歴代の住人たちによるタバコのヤニで壁紙は黄色く変色している。

 

幸いトイレと風呂場が分かれている。

 

湯船のない風呂場は黄緑色のタイル張りで、見方を変えれば「趣ある」と言える。

 

建付けの悪い押し入れは戸を閉めたら最後、開けることが出来なくなるため、常に開きっぱなしだ。

 

チャンミンは仕送りとアルバイトでギリギリ生活、贅沢は言っていられないのだ。

 

年季の入った部屋だが、几帳面なチャンミンによって整理整頓、すみずみまで掃除されている。

 

炊事スペースが部屋の片隅にあるため、チャンミンは冷蔵庫を覗き込むユノの白い尻をたっぷりと鑑賞できた。

 

ユノとチャンミンの出会いは2か月前。

 

大学の実習で初めて顔を合わせ、たちまち恋に落ちた。

 

湧き上がる情熱を抑制できるほど大人ではなかったため、その日のうちに求め合った。

 

男同士の恋愛は未経験だった2人は、とまどいながらも愛情と好奇心に満ちた手つきで互いの身体をまさぐりあった。

 

彼らは若く、心の通い合いだけでは満足できず、処理しきれない性欲を持て余していた。

 

ユノもチャンミンも同じ大学に通っていながら、これまで互いの存在を知らなかった理由は、チャンミンが3年に進級したタイミングでユノの在籍する学科へ転科してきたためだ。

 

チャンミンの在籍していた学科は6年制で、転科したことによりあと2年で卒業できる見込みとなった。

 

優秀な成績だっただけに教授も学友たちも惜しがったが、経済的理由だったから仕方がない。

 

最初の1、2か月は沈んだ気分でいたチャンミンだったが、ユノと出逢ったことでたちまち表情が明るくなったのだ。

 

ユノはステンレス製の流し台でザブザブと顔を洗う。

 

コーン茶を注いだグラスを、口をポカンと半開きにしたチャンミンの頬にぴとっとくっつけた。

 

チャンミンの性の余韻に浸ってうっとりとした表情が、ユノは好きだった。

 

つい先ほどまで、彼らは全身汗まみれになって抱き合っていたのだ。

 

一気にグラスの中身を飲み干すチャンミンの喉仏から目が離せない。

 

「はぁ...しっかし暑いな」

 

窓取り付け型の旧式の冷房機の効きは悪く、扇風機はぬるい風をかき回すだけで、じっとしているだけでも汗が次々と噴き出てくる。

 

そんな中、狭いベッドの上で組んずほぐれず睦み合ったせいで、シーツに大きな汗の染みが出来ている。

 

「夏の間は、ユノの部屋でやろうよ」

 

「確かに」

 

「でも、気持ちよかったねー」

 

チャンミンはベッドに腰掛けたユノの肩に、頭をもたせかけた。

 

「だいぶ俺らも慣れてきたな」

 

「ローションは正解だったね」

 

「ああ。

石鹸は後でちんちんがしみるからなぁ」

 

ユノは板敷の床に横倒しに転がるボトルを拾い上げると、キャップを閉めた。

 

ベッドの上で膝立ちしたチャンミンは、ユノの首に腕をまわす。

 

「ぎゅー」

 

「暑い!

くっつくなよ」

 

「んー。

だって、ユノの汗の匂い...好き」

 

そう言ってチャンミンは、汗で濡れたユノのうなじをぺろりと舐めた。

 

チャンミンの舌先の動きにぞくりとしたユノは、チャンミンの顎をつかんで唇を押しかぶせる。

 

「あ...まだ口が匂うかも」

 

「いいって。

どうせ俺のものだし」

 

積極的に伸ばしてくるチャンミンの舌を頬張って、強く吸う。

 

ユノの首に回した腕を自らの方に強く引き寄せ、チャンミンも負けじとユノの上顎を舌先でくすぐった。

 

「ストップ!」

 

「え...?」

 

「またヤリたくなるから、ひとまずストップ。

夜のためにとっておこうぜ」

 

ユノはチャンミンの胸を押しやった。

 

「ええー。

僕はまだまだいけるよ」

 

頬を膨らますチャンミンを愛し気に見ていたユノが、ふと視線を下げると...。

 

「おい...すげぇな」

 

むくりと勃ち上がった膨張率70%のものに、ユノは驚嘆まじりのつぶやきを漏らす。

 

(バンビみたいな顔をしていて、俺以上に精力が凄いんだって、こいつは)

 

すぐさま膨張率0%の自分の股間と比較する。

 

「ユノ、もう一回しよ、ね?」

 

「うーん...」

 

チャンミンは柔らかいユノのペニスを、ぐっとつかんだ。

 

「おい!」

 

「ね?」

 

潤んだ瞳でおねだりされて、ユノはあっさり陥落する。

 

「しょうがないなぁ」

 

チャンミンは自ら四つん這いになって、尻を突き出した。

 

「相当よかったんだな?」

 

「まあね」

 

突き出されたチャンミンの両尻を、ユノは愛情をもってピシャリと叩いた。

 

先日、知ったばかりの「素股」の気持ちよさに、チャンミンはとりこになっていたのだ。

 

(これなら痛くないし。

タマの後ろ辺りを、グリグリされると強烈に気持ちがいい。

お尻の穴の辺りが、ゾクゾクするなんてことをユノには言えない。

この気落ち良さを、ユノにも味わってもらいたいんだけど、ユノは絶対にお尻を向けないんだよなぁ。

それだけが不満だ)

 

チャンミンの尻はまだぬるつきを残していたが、ユノはローションをたっぷりとかける。

 

「あ...」

 

とろりとしたローションが尻の割れ目にそってゆっくりと流れ落ち、その感触だけでチャンミンの股間が震えた。

 

ユノは自身のペニスにもローションを垂らして、十分なサイズになるまでしごいた。

 

「僕がやる!」

 

「いや...いらない...お前の尻を見てたら...エロくて...すぐに...すぐに...よし!...いい感じになった」

 

ユノはベッドから下りると、自身のペニスをチャンミンの尻の割れ目にあてがう。

 

そして、チャンミンの腰を引き寄せ、最初はゆるゆると、次第に腰を振る速度を上げていった。

 

「あ...、あっ...」

 

スライドを大きくしたり突く角度を変えたりして、気持ちよいポイントを探していく。

 

「あぁん...そこ...いい...」

 

(相変わらず喘ぎが女っぽいんだって)

 

そう思いつつも、ユノはチャンミンの快感の声が大好きだったから、もっと喘がせたくなる。

 

ペチペチと肌を叩く音がセックスそのもので、ユノのペニスがぐっと硬くなる。

 

「あっ...そこ...そこ...いい!」

 

その硬くなったもので(チャンミンのお気に入りの場所を)突かれると、チャンミンははしたない嬌声をあげてしまうのだった。

 

(ユノのが大きくなった。

ユノの形がはっきり分かる。

そこ、そこ。

もっとタマの後ろをお願いします...)

 

(もの足りない...。

こんなセックスの真似事だけじゃ、俺は全然足りない。

もっと、ぎゅっと締め付けられたい)

 

ユノはチャンミンの背中に体重を預けると、チャンミンの顔をぎりぎりまで振り向かせて唇を吸った。

 

「ふっ...」

 

そして、チャンミンのペニスをしごく。

 

ローションの付いた手で上下されると、ユノの手の中でぐっとチャンミンのペニスも固く大きさを増した。

 

「あっ...駄目...おかしくなっちゃうから...自分でやる」

 

ユノの手を払いのけると、チャンミンは自身でしごき出した。

 

「イキそ...」

 

「早いって」

 

「う...うん」

 

チャンミンは根元を2本の指で締め付けて、達しそうになるのをこらえる。

 

壁の薄いチャンミンの部屋。

 

チャンミンの喘ぎ声は駄々洩れだが、平日の昼下がり。

 

両隣は皆留守で、チャンミンの部屋は1階だったから、苦情を言ってくる者はいない。

 

 


 

 

「ぱぱっとシャワーを浴びて飯を食いに行こうぜ」

 

「うん」

 

「『うん』だなんて...言い方が可愛いんだよなぁ」とユノは思い、チャンミンの方も

 

「同じ部屋から出かけるのって、恋人同士みたい(恋人同士なんだけど)で気分が上がる」と思っていた。

 

いずれにせよ、この二人は相思相愛。

 

大学構内でおおぴらに出来ないだけに、欲望の赴くままにいちゃいちゃできるのは互いの部屋の中に限られていた。

 

 


 

 

「ねえ。

牧場実習は僕と同じとこにしてくれたんだよね」

 

「ああ」

 

中華料理屋でチャンミンはビールをあおり、ユノは餃子にかぶりついているところだった。

 

「せっかく楽しそうなとこにしてたんだけどなぁ。

先輩から教えてもらったとこで、バーべキューやら海水浴やらできるんだってさ。

そこがよかったのになぁ...」

 

「ごめん」

 

ユノとチャンミンの学科では、夏休みを利用した約10日間の牧場実習が行われる。

 

必修科目のため、避けては通れないのだ。

 

希望の牧場を記入した紙を提出したのは2人が交際する前の春のこと。

 

「ユノと同じところがいい」とチャンミンのお願いに折れたユノは、無理を言って変更をしてもらったのだ。

 

「チャンミンと同じとこに変更してもらったよ。

チャンミンのお願いなら仕方ないからな」

 

「ありがと」

 

チャンミンはにっこりと笑うと、油でてらてらとした愛しいユノの下唇を指で拭った。

 

「今夜泊っていけるでしょ?」

 

「そのつもりでいるんだけど?」

 

俺たちは不倫カップルかよ、と心の中で突っ込みを入れながらユノは答える。

 

「ユノにお願いしたいことがあって」

 

熱々の料理を食べたせいで、したたり落ちる汗でチャンミンの前髪が額に張り付いている。

 

「お前、汗かき過ぎ」

 

ユノはおしぼりでチャンミンの額を拭いてやった。

 

「ありがと」

 

「お願いって?

いよいよケツに挿れてください、ってか?」

 

「違う!

何度も言ってるけど、僕が『ウケ』前提なとこが納得いかないんだって」

 

「じゃあ、俺が『ウケ』ってこと?

やなこった」

 

「そうじゃないんだ。

僕もユノも、どっちとも、が理想なんだ」

 

「俺らどっちとも挿れたり挿れられたりするってわけ?」

 

「うん」

 

「挿れられる方は、超気持ちがいいらしいぞ?」

 

「それならやっぱり、ユノが先に体験しなくっちゃ」

 

「遠慮しておく。

俺の尻はナイーブなんだ。

それに、俺の大好きなチャンミンには、是非とも超気持ちよくなって欲しいわけ」

 

「うーん...」

 

「さぁさぁ、アパートに帰ろうぜ。

第3ラウンドが待っている」

 

「うーん」

 

納得がいかないといった風に、渋い顔をしていたチャンミンだったが、ユノのニカっと笑った顔を見ると、どうしても頬が緩んでしまうのだった。

 

 


 

 

「おーっす!

チャンミーン!

いるかぁ?」

 

「!!!」

 

チャンミンの股間を出し入れしていたユノの腰がぴたりと止まる。

 

ドンドンとドアを叩く音がする。

 

ユノは「どういうことだ?」とチャンミンに問う視線を送る。

 

「タマちゃんだ!」

 

チャンミンは猛スピードでユノの手の中からペニスを抜いた。

 

「タマちゃん?」

 

「タマちゃんのおなーりー!

ドアを開けろ!」

 

「どうしよう!」

 

「タマちゃんって?

チャンミンの彼女か?」

 

「違う違う!

そんなんじゃないって。

友達、れっきとした友達」

 

「部屋まで来るなんて、相当な仲じゃないか?」

 

「ホントに只の友達なんだって」

 

ユノは目を細めてチャンミンを疑わし気に見る。

 

「もしかして、ヤキモチ妬いてくれてるの?」

 

嬉しそうにそう言うと、チャンミンは口を両手で覆って目を三日月形にする。

 

「そうだよ、悪いか?」

 

(悔しいけど、その通りだ)

 

「ユノ...嬉しい...」

 

「チャンミーン!

早くドアを開けろ!!!」

 

さっきよりノックの音が鋭くなった。

 

「居留守を使うのか?」

 

ユノはひそひそ声で、チャンミンの耳元で囁いた。

 

こんな状況下でも、チャンミンの首筋から放たれる汗の匂いにユノはくらくらしてしまう。

 

(俺の方だって、チャンミンの匂いが好きなんだ)

 

「タマちゃんはしつこいから、持久戦になると思うけど」

 

「マヂかよ!?」

 

「チャンミン!

居るのは分かってんだ!」

 

「バレてるぞ?」

 

「電気のメーターを見てるんだ。

タマちゃんはそういうとこ見てるから」

 

「どうする!?」

 

ローションと汗でべたべたになったユノとチャンミンは、真っ裸のまま顔を見合わせたのだった。

 

(つづく)

 

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(8)秘密の花園

 

~ユノ~

 

 

チャンミンという奴はどこか抜けているところがあって、風呂から上がってみたらまだ素っ裸でいるわけ。

 

背中を丸めてPC画面を夢中になって覗き込んでいた。

 

俺がわざと開きっぱなしにしておいたサイトを眺めている姿を見て、まんまと罠にかかったチャンミンが可愛らしい。

 

チャンミンのことだから、彼なりに下調べをしてきただろうけど、的外れな知恵を仕入れていそうだ。

 

そこで、俺が選りすぐりのサイトを並べておいてあげたって訳だ。

 

背後にいる俺に全く気付いていない。

 

そんなに隙だらけで、これまで飢えた男どもから無傷でいられたのが不思議だ。

 

俺もチャンミンもストレートだから、縁のない世界だった。

 

けれども、チャンミンに参ってしまってから、男が男に惚れる心理が理解できるようになった。

 

風呂場で俺の目の前に突き出されたチャンミンの尻に、図らずも欲望を覚えた俺は、もう少しだけ前進してみたくなった。

 

100%断られると分かってて、「四つん這いになって」とおねだりしてみた。

 

チャンミンは、「俺のことが好きなら出来るよね」の言葉に弱いんだって。

 

まさかホントに四つん這いになるとは思わなかった。

 

ぶうぶう文句を言いつつも、俺の言いなりになるチャンミンが愛おしい。

 

硬く引き締まった尻に頬ずりしたくなったのを、ぐっと抑える。

 

「尻の力を抜いてくださーい」

 

両手で尻を撫ぜるうちに硬さがほぐれてきた瞬間を狙って、チャンミンの尻を左右に割った。

 

「あーー!」

 

「声がでかいって」

 

「ごめん...」

 

「ほー。

尻の穴ってこんなんだ...。

へぇ...」

 

俺はチャンミンの尻の割れ目に顔を近づけて、じっくりと観察する。

 

「絶対に触んないでよ!」

 

「触んねーよ」

 

「絶対だよ!」

 

「触んない、触んない」

 

「絶対?」

 

「ああ」

 

「ユノのことだから、絶対に触る」

 

「『ユノのことだから』って、俺がまるでいつも約束を破ってるみたいに聞こえるじゃないか?」

 

「だって、そうじゃないか!」

 

(ぎくり)

 

「触るなよ!」

 

「へぇへぇ」

 

「返事が気に入らない!」

 

「はいはい」

 

「絶対だよ?」

 

「チャンミン...お前さ。

触って欲しいんだろう、ホントは?」

 

「なっ!?」

 

「嫌よ嫌よも好きのうち」

 

「......」

 

「おい!

尻を閉じるなって!」

 

再びぐいっと両尻を割る。

 

「ひゃっ!」

 

「ほほぉ...」

 

「ユノ...。

この姿勢、恥ずかしい」

 

肩ごしに振り向いたチャンミンの目が潤んでいた。

 

これ以上やったら泣くかも。

 

「あともう少しだから、辛抱してくれる?」

 

俺の目前に迫ったチャンミンの尻が、プルプルと震えている。

 

「いい加減、勘弁してよ」

 

堅く閉じられた入り口に、ふぅっと息を吹きかけた。

 

「ひぃっ!!!」

 

チャンミンの両尻が勢いよく閉じてしまう。

 

チャンミン...すまん...面白い。

 

「あともう少し。

俺にチャンミンの可愛いお尻を見せてくださーい」

 

閉じた両尻を思い切り開いて、チャンミンの未開の地を露わにする。

 

チャンミンは項垂れて、羞恥な姿勢にじっと耐えている。

 

マットレスについた両手をぎゅっと握っている。

 

か、可愛い...。

 

調子に乗った俺は人差し指の先で、つん、と突いてみた。

 

「ひゃあぁぁ!!!」

 

チャンミンはとんでもない悲鳴をあげた。

 

そして、後ろに蹴りだされたチャンミンのキックが俺の顎にヒットした。

 

「んがっ!!!」

 

勢い余った俺はベッドの下へ背中から転げ落ちる。

 

「わぁ!

ユノ!」

 

「いってぇ...」

 

顎がじんじんと痛む。

 

今日で一体何度目だよ。

 

「あっつ...」

 

口の中に鉄の味が広がり、指先に血がついていた。

 

チャンミンの蹴りを受けた時、唇の内側を切ったみたいだ。

 

「ごめん...ユノ」

 

ベッドの上から差し出されたチャンミンの手を、パシッとはねつけた。

 

「ごめん...ユノ...ごめん」

 

「......」

 

おろおろしているチャンミンが面白くて、謝罪の言葉を無視してデスクの椅子に腰かけた。

 

「いってぇ...」

 

ティッシュペーパーで唇に付いた血を拭きながらも、敢えてチャンミンの方を見てやらない。

 

「ごめん、ごめん、ごめん...」

 

ベッドから下りたチャンミンは俺の足元に膝立ちし、俺の肩に手をかけて覗き込んだ。

 

ちらっと視線をあげて、涙を浮かべたチャンミンの丸い目にどきりとした。

 

眼の縁も鼻先も赤らんでいて、眉も目いっぱい下がっていて、「なんだよ、その純真無垢な顔は」と、俺の方が悪いことしているみたいじゃないか。

 

あ...、悪いことしたのは俺か。

 

従順なチャンミンに意地悪したくなって、尻の穴をつついちゃったからなぁ。

 

「ホントにごめんね。

ユノ、許して?」

 

「...いいけど?」

 

ぼそっと答えた瞬間、チャンミンの唇が勢いよく押しかぶせられた。

 

「んっ」

 

チャンミンの熱い舌が、俺の唇を割ってねじ込まれる。

 

潤んだ瞳で小動物みたいな顔していたくせに、いきなり積極的になるチャンミンに「おっ」っと驚いたが、すかさずチャンミンのキスに応える。

 

つい一か月前までは、男とキスするなんておぞましかったのが、男の唇であってもこんなに甘くてとろける世界を見せてくれるんだと、夢中になってしまう。

 

もちろん、「チャンミン限定」だ。

 

なぜ、チャンミンとならOKなんだろう?

 

不思議でたまらない。

 

俺の口内が点検するかのように、チャンミンの舌でぐるりと舐め上げられた。

 

チャンミンの「ごめんね」の気持ちが込められたキスに、俺の機嫌はたちまち直る。

 

「っつ」

 

血がにじむ下唇を甘噛みされて苦痛の声を漏らした。

 

唇を合わせたまま掠れた声で「ごめん」とつぶやいたチャンミンは、唇でやわく咥え直した。

 

チャンミン...エロい...そのキスはエロい。

 

俺のうなじと顎がチャンミンの手で挟み込まれて、頭を動かせない。

 

互いの唇の間から熱い吐息が漏れて、唾液に濡れた舌同士が絡まるいやらしい音も大きくなる。

 

「ふっ...」

 

ぐいぐいと攻め込んでくるチャンミンの舌で口の中がいっぱいになって、いつしか鉄の味もしなくなった。

 

いつも攻める側の俺が、逆の立場になっているのも興奮材料だ。

 

小一時間前に達した俺のペニスが首をもたげてきた。

 

このまま床に押し倒してしまおうかと、チャンミンの両肩を押した時、

 

さっとチャンミンの顔が離れてしまって、残されたのは物欲しげに口を開けたままの俺だった。

 

「え...?」

 

チャンミンは立ち上がり、椅子に腰かけた俺を見下ろしていた。

 

マヌケな顔をチャンミンに見られてしまったのが悔しい。

 

「まだ、怒ってる?」

 

「んー、どうだろう?」

 

とぼけたら、チャンミンは口をとがらせた。

 

「怒ってないくせに」

 

「バレた?」

 

「怒ってたら、こんなべろべろしないよ」

 

チャンミンの唇が、互いの唾液でてらてらと光っていた。

 

「チャンミンのキスがエロくってさ」

 

「そ、そうかな」

 

自身の唇を撫ぜるチャンミンの指が、繊細な心を表すかのように細くて、すぐさまその指をさらって口に含みたいと思った。

 

「僕の方こそ、怒ってるんだよ?」

 

両腕を組んで仁王立ちした格好で怒った風を装っているのに、言葉遣いは育ちのよい坊ちゃん風で全然怖くない。

 

そう。

 

チャンミン怒り方は『ぷんぷん』そのもので、真っ赤な顔をして大きな音を立ててドアを閉めたり、俺にタオルを投げつけたりするんだけど、

 

物に八つ当たり出来ない生来の優しさが邪魔をして、いまいち迫力が出ない。

 

そんなチャンミンを、俺は温かい目で見守っている。

 

でかい図体をしているくせに、丸みのない骨ばった身体をしているくせに、俺の心をコンコンと絶妙な強さでノックする。

 

「なんで?」

 

「ひどいよ、ユノ!

触るなって言ったのに!」

 

「ケツの穴のことか?」

 

チャンミンの顔がみるみる赤くなり、口の両端もぎゅっと下がっている。

 

「あまりにも可愛い穴をしててさ...ついつい」

 

「穴に可愛いも可愛くないもあるもんか!」

 

「あるって。

ケツ毛はあったけど、ピンクできゅっと閉まっててさ」

 

「恥ずかしいから、いちいち説明するな!」

 

「『穢れを知らない天使の肛門』だった、いやはや全くもって」

 

腕を組んだ俺は、感心しきったと何度も頷いてみせた。

 

「それって褒めてるの?」

 

「ああ」

 

「......」

 

「なあ、チャンミン...お前のケツ...バージンだろ?」

 

「ったりまえだ!」

 

「冗談だって。

これでちんちんがチェリーだったりしたら、恐れ多くてチャンミンとは出来ないなぁ」

 

「うっ...」

 

真顔になったチャンミンは、ぐっと息をのむ表情を見せた。

 

「チャンミン...お前さ」

 

「何だよ!?」

 

「もしかして、ちょっとだけ勃ってない?」

 

「ええっ!」

 

「思い出して興奮しちゃった?」

 

素早く股間を確認するチャンミンに、俺はくつくつと湧き上げる笑いをこらえる。

 

「勃ってないじゃないか!」

 

「あはははは」

 

すまん...チャンミン...面白い。

 

「ところでさ、僕のお尻を使うことが前提になってることが気に入らないんだけど?」

 

「俺らの雰囲気ってそんな感じじゃね?」

 

「全然しないね」

 

「そっか...。

じゃあさ、お前の誕生日っていつ?」

 

「2月18日...。

どうしたの急に?」

 

「はい決定!

俺より若いチャンミンが、先にケツを試すことに決定!」

 

「はぁ!?」

 

「やっぱ、こういうことって年功序列だろ?」

 

「意味わかんないよ。

そういうユノの誕生日はいつなんだよ?」

 

「2月6日。

チャンミンより12日も年上なの。

年上の俺の言うことをきかなくっちゃ、な?」

 

こぶしを握ったチャンミンの目が三白眼になって、ぎりりと俺を睨みつけている。

 

やべ。

 

怒らせたか?

 

「次は、ユノのお尻を見せろー!」

 

とびかかるチャンミンを、寸でのところでかわす。

 

「やなこった!」

 

危ねー危ねー。

 

まともに食らったら俺の後頭部にでかいたんこぶをこしらえるところだった。

 

「早く服を着ろよ。

裸でいるから、俺にいたずらされるんだぞ?」

 

「あ...!」

 

全裸なことに気付いたチャンミンは、両手で股間を隠した。

 

「俺のために筋トレしてくれて、ありがとうな」

 

「...うん」

 

「俺んちにいる時は、真っ裸でいてくれていいんだぞ?」

 

「やだ」

 

顔を真っ赤にさせて、ぶつぶつ言いながらTシャツに腕を通すチャンミンの姿に、俺は吹きだしてしまった。

 

服を着るなら、パンツを先に履けったら。

 

俺はそんなチャンミンに夢中なんだ。

 

 

(つづく)

―「時間割」シリーズ終わり―

 

 

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(7)秘密の花園

 

 

「チャンミン!

お前の気持ちだけありがたく受け取るから、離してくれ」

 

「やだね」

 

僕はきっぱり言い放って、ユノがしたみたいにボディーシャンプーをたっぷりと手の平に垂らす。

 

そして、ユノの白くて形のいいお尻になすりつけた。

 

すべすべのユノのお尻が、僕は大好きなんだ。

 

普段もついつい、ユノのお尻を触ってしまう。

 

隣を歩いている時、実習中に屈んだ時に、教室ですれ違いざまに。

 

周囲にばれないよう、さりげなく、素早く。

 

ユノったら「いやらしい奴だな」って僕の手を払いのけるんだけどね。

 

「こら!

よせ!」

 

半身を起こそうとするユノにのしかかって動きを制する。

 

「動いちゃ駄目!」

 

片足もユノの両脚に絡めて、動けなくする。

 

「何する気だ!?」

 

「ユノを気持ちよくさせてあげるだけ」

 

僕は鼻歌まじりに、シャンプーの付いた手をユノの下腹に滑らした。

 

ユノ...贅肉がないぺたんこのお腹...素敵...。

 

つるつるの肌...ユノ...好き。

 

つい先ほどイッたばかりだから、ユノのペニスは柔らかくて、ふにふにと感触を楽しんでしまう。

 

「おい!

おれのちんちんを乳しぼりみたいに触るなって!」

 

「ごめん」

 

僕が体感したエア・セックスが強烈に気持ちよくて、是非ともユノにも感じてもらいたい。

 

ユノの背中にのしかかった状態で、僕の自分のペニスの具合を確かめる。

 

しごいて半勃ち状態まで育てたものを、ユノの脚の付け根に押し当てた。

 

ユノのお尻がビクン!と跳ねた。

 

「ケツは駄目だ!」

 

起き上がろうとするユノをすかさず羽交い絞めにした。

 

「痛いことはしないから安心して」

 

手を添えたペニスを、ユノのお尻の割れ目に沿って上下に滑らしてみた。

 

ふふふ。

 

「んがぁっ!」

 

ユノの背中が反る。

 

「ユノ...もしかして、怖いの?」

 

いつも余裕しゃくしゃくのユノがとても慌てていて、僕はお腹の底から嬉しさが込みあげてくる。

 

「こえぇに決まってるだろう!?

チャンミンはがむしゃらにやりそうだからな。

俺のタマが負傷する!」

 

「僕だって出来るよ!」

 

「いいや!

チャンミンには100年早い!」

 

「むぅ!」

 

「チャンミンには、お勉強が必要です」

 

「!!!」

 

ユノの首に回した僕の手首が、がしっと掴まれた。

 

かと思ったら、ユノは頭を床につくまで下げ、お尻を高く突き上げた。

 

「わっ!」

 

ユノの背中に持ち上げられ、両脚が宙に浮く。

 

「捕まえた」

 

僕はあっという間に、ユノに背負われていた。

 

「ユノ!」

 

僕は足をバタバタさせたけど、膝裏に回したユノの腕はあまりにも力強い。

 

「暴れるなって。

チャンミンは赤ちゃんだからなぁ」

 

「むぅ!」

 

両手を離したら、重心がずれてユノごと後ろにひっくり返りそうになった。

 

「僕は赤ちゃんじゃない!」

 

「おいっ!

ちゃんとつかまってろって。

...よいしょっと」

 

ユノはよたつきながらバスタブをまたいだ。

 

「どうして僕はおんぶされてるんだよ!」

 

「ご機嫌ななめな赤ちゃんだなぁ」

 

「下ろせ!」

 

「こらっ!

じっとしてろ」

 

身体を横にして狭い浴室の戸口を抜ける。

 

僕の胸や腹に密着したユノの背中の筋肉が、ユノの動きに合わせてぎゅっぎゅっと固くなって、僕の胸はときめいた。

 

素敵...ユノ...好き...。

 

「ユノ...」

 

真っ裸のおんぶはお尻の穴が丸見えだろうから、恥ずかし過ぎる。

 

加えてユノの背中は素敵だしで、赤面した僕はユノの首に回した両腕に力をこめた。

 

悪戯心が湧いてきて、ユノの耳たぶを咥えた。

 

「ヒャハハハハっ!」

 

くすぐったがるユノが面白くて、耳の中もペロっと舐めた。

 

「こら!」

 

ユノはとうとう手を離してしまって、僕はベッドの上に投げ出された。

 

背中から落とされた僕はごろんと一回転して、ユノのシングルベッドが軋み音を立てた。

 

「ひっどいなぁ。

荷物みたいに落とさないでよ?」

 

「じゃれつくチャンミンが悪い」

 

「じゃれてないよ。

愛の行為だよ。

ユノの全部を味わいたいの」

 

ユノはバスタオルで身体を拭く手を止めて、まじまじと僕を見る。

 

「チャンミン...お前さ。

そんな照れること、よく言えるね」

 

「ホントのことを言っただけだって」

 

自分でも驚いている。

 

僕は照れ屋で、これまでの彼女相手でも、「好き」の言葉ひとつ恥ずかしくてなかなか言えなかった。

 

以前の僕ならあり得ない台詞が、するっと口に出せてしまうんだ。

 

ユノといると、自分の心に素直になれる。

 

ぽっと頭に浮かんだ言葉を全部、囁いてあげたい。

 

そうしないと、僕の中からユノへの愛が溢れてしまいそうだから。

 

ユノと出逢ってまだそれほど経っていないのに、ここまで強い恋しい思いを抱けるなんて。

 

それも、男相手に。

 

「ユノ...こっちに来て」

 

ハグがしたくて両手を伸ばしたけど、ユノにかわされてしまった。

 

「チャンミンのせいで、身体がぬるぬるする!

石鹸を塗りたくりやがって!

もう一回風呂に入って来る!」

 

ユノはさっさと浴室に行ってしまった。

 

僕の言葉を受けてユノが照れていることなんか、僕にはお見通しだ。

 

「はぁ」

 

ユノのシングルベッドに一人残された僕はバスタオルで身体を拭きながら、ユノの部屋をぐるりと見回した。

 

僕が住んでいるアパートよりは築年数が浅い部屋で、壁も天井も白い。

 

ユノの部屋は物が多い。

 

不潔ではないけれど、あちこち物が溢れていて、エアコンのリモコンが見当たらなくても当然だ。

 

カーテンレールにひっかけられた洗濯物をみて、代わりに取り込んで畳んでやりたくなるのをぐっと堪える。

 

甲斐甲斐しく手出しをしたら、うっとおしがられるかな?

 

クローゼットの中がどんな有様なのか、見てみたかったのもぐっと堪える。

 

親しき仲も礼儀あり、だ。

 

なんて思いつつも、僕の視線はユノのデスクの上で、スリープ状態で真っ黒なPC画面にぴたりと止まった。

 

ユノが調べたという、もろもろの情報があそこには詰まっている。

 

タブがいっぱい並んでいたから、いくつものサイトが開きっぱなしのはず。

 

「ふふふ」

 

えっちな好奇心に負けてしまって、ベッドから下りた僕はユノのデスクの前に座った。

 

耳をすませば、シャワーの音が聞こえる。

 

「よし」

 

僕は両手をこすり合わせてから、マウスを動かしてスリープ状態から目覚めさせた。

 

「おー!」

 

画面いっぱいに映し出された画像を前にして、僕の喉がごくりとなった。

 

それは所謂ハウツーもので、お尻を使う場合の下準備から、注意点までイラスト付きで掲載されている。

 

「ふむふむ...」

 

隣のタブをクリックすると、バイセクシャルのとある男性が開設したサイトで、要約すると「男同士の場合は、要は射精をすれば事足りるので必ずしも尻の穴に挿れる必要はない」とあった。

 

「それじゃあ、物足りないんだよなぁ...」

 

続いて隣のタブをクリックする。

 

「ひゃっ!」

 

目を覆いたくなるほどの、過激なGIF画像が飛び込んできた。

 

「すご...」

 

ユノったら、どういうルートでこのサイトまでたどり着いたんだろう。

 

「へぇぇぇぇ...」

 

画面に接近して、じっくりとっくり見入ってしまう。

 

「あっ!」

 

バサリと何かが顔を覆った。

 

「チャンミンはエッチだなぁ。」

 

濡れた頭をごしごし拭きながら、下にスウェットパンツを履いたユノがニヤニヤ笑っていた。

 

ユノにかぶせられたバスタオルを、勢いよく引き下ろす。

 

「違うったら!」

 

赤面した僕は、ユノにバスタオルを投げつけた。

 

「チャンミンは勉強熱心だなぁ」

 

目を細めて、ますますニヤニヤ笑うユノをきっと睨みつけた。

 

「勉強なんかしていないって。

ちょっと見てただけ」

 

「お前に睨まれても、俺は全~然怖くないわけ」

 

「むぅっ!」

 

「チャンミン...お前の息子...すごくね?」

 

「えっ!?」

 

焦った僕は下半身を見下ろした。

 

「勃ってないじゃないか!」

 

「はははっ!」

 

ユノはいつも僕をからかう。

 

でも、そんなやり取りが気に入っている僕もいる。

 

「チャンミン、お願いがあるんだけどなぁ」

 

ユノは背後から僕の首に腕を絡めた。

 

シャンプーのいい香りがする。

 

「嫌な予感がするんだけど?」

 

ドキドキが悟られないよう、ぶっきらぼうに答えた。

 

「四つん這いになってみ」

 

「えええーっ!?」

 

受け入れがたいお願いに僕は目を剥く。

 

「やだね」

 

「せっかく真っ裸でいるんだからさ」

 

しまった!

 

考え事に夢中で、裸ん坊のままだった。

 

「痛いことしないってこと、知ってるだろう?」

 

「そうだけど...」

 

「ってことで、お馬さんになって」

 

「やだね」

 

僕はつんとそっぽを向く。

 

「チャンミン...お前さ、わざとなの?」

 

「何が?」

 

「ぷいって。

何だよそれ。

可愛すぎるんだよ」

 

「可愛いって言うなって!

全然嬉しくないよ」

 

ユノはいつも、僕のことを『可愛い、可愛い』って言う。

 

大いに心外だ。

 

「チャンミンは、俺のこと、どう思ってる?」

 

僕の耳元で、低い声で囁かれて鳥肌が立った。

 

「分かってるくせに...。

好きだよ」

 

「それならさ、お馬さんになってー!」

 

「やだね」

 

「チャンミンは、俺のお願いがきけないんだ?

チャンミンの『好き』はその程度?」

 

「大好きだよ!」

 

ムキになった僕は、ベッドに上がって膝立ちする。

 

「チャンミンのお尻の穴を、見させて、な?」

 

「やだ!」

 

「嫌々言ってないでさ。

チャンミンだって、興味津々だろ?」

 

「......」

 

「ほらほら、四つん這いになってみて」

 

「痛いことはしないでよ」

 

「大好きなチャンミンに、んなことするわけないだろう?

チャンミンは怖がりさんだなぁ」

 

 

(つづく)

 

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(6)秘密の花園

 

~ユノ~

 

 

目の前に突き出された、チャンミンの引き締まった尻に泡を広げた。

 

壁についた腕に額を押しつけ、無言でじっとしているチャンミンがいじらしい。

 

浅黒い肌と白い泡とのコントラストを目にして、俺って一体何やってんだ?と冷静になってみたりして。

 

十分な硬度を保った俺のペニスを、チャンミンの尻の割れ目にあてがった。

 

ビクンとチャンミンの腰が揺れた。

 

「痛くは...」

 

掠れたつぶやき声。

 

「ああ?」

 

「痛くしないでね」

 

肩ごしに振り向いたチャンミンの目が潤んでいた。

 

胸がきゅんとしてしまった。

 

可愛すぎるんだよ。

 

男相手に、きゅん、だぞ?

 

どうかしてるよ。

 

「僕...初めてだから」

 

「俺だって初めてだよ」

 

「好きな子には意地悪したくなる」とよく言うように、俺はチャンミンをいじめたくなる。

 

からかうと、頬を膨らませて拗ねたり、真っ赤になって怒るんだ。

 

怒り狂うチャンミンの姿を楽しんだ後、俺は謝ってキスをする。

 

すぐには許してもらえない時もあるが、いずれは機嫌を直して俺にすり寄って来る。

 

周囲に誰もいなければ、すり寄ってきたチャンミンと熱くて深いキスをする。

 

ひと目がある時は、誰にも気づかれないようにそっと小指同士を触れ合わす。

 

「けつの力をもっと抜けよ」

 

チャンミンの尻をマッサージするようにさすった。

 

震えてやがる...こりゃホントに怖がってるな。

 

アレをするんじゃないかと怯えるチャンミンが可愛らしいから、そう思わせておこう。

 

俺って意地悪だな。

 

「だって...怖いし...」

 

「何度も言うが、好きな奴に痛い思いはさせないって」

 

手を添えたペニスを、チャンミンの尻の割れ目に沿ってぐぐっと差し込んだ。

 

「ひぃっ!」

 

「逃げるなって」

 

逃げようとする腰をがっしと抱え、俺の方に引き寄せた。

 

「チャンミン!

脚をもっと閉じて」

 

ガチガチになってるチャンミンの両脚を、太ももで挟み込んだ。

 

ゆっくりと腰を沈めていく。

 

俺のペニスは、完全にチャンミンの股間に包み込まれた。

 

「え?」

 

チャンミンが振り向いた。

 

その目が真ん丸で、あっけにとられたような表情で、俺はくくっと笑い声を漏らす。

 

「挿れるんじゃ...なかったの?」

 

「当ったり前だろ?」

 

「...なあんだ」

 

「今日は、こうすんの」

 

俺は腰を前後させた。

 

「あっ...」

 

チャンミンの陰嚢と俺のペニスがこすれる。

 

やべ...すげぇ...気持ちい。

 

チャンミンの体温と泡の滑りと柔い陰嚢の感触が、まるで女の子の中に挿れているみたいだ。

 

「あ...、あ...、あ...」

 

陰嚢が俺のペニスにこすりあげられて、チャンミンの方もぞくぞくするらしい。

 

俺の腰の動きに合わせて、例の喘ぎを漏らしている。

 

掠れた甘い声なんだ。

 

男の口からそんな声を発せられたりしたら、参る。

 

俺のペニスが、チャンミンの尻の割れ目に沿って出し入れしている。

 

これはまさしく、チャンミンとの疑似セックスだ。

 

「もっと、脚を締めて」

 

「うん」

 

素直に太ももに力をこめるチャンミン。

 

締め付けが加わって、快感も増した。

 

チャンミンの両脚を膝で挟みこみ、突く角度を上向きにする。

 

確かこうすると...気持ちがいいはず...。

 

チャンミンの肛門のすぐ前あたりを狙って、ぐりぐりと俺のペニスを突き当てる。

 

「あうっ...」

 

当たりだ。

 

「気持ちいい...か?」

 

「うんっ...あっ...あっ...んっ...」

 

汗と泡で滑るから、チャンミンの腰骨をつかみなおした。

 

チャンミンの方も、俺のピストン運動に合わせて腰を揺らしている。

 

「いいっ...そこ...そこ...いいっ」

 

チャンミンに応えて、そこばっかり攻めてやる。

 

手の下のギュッと細くしまった骨盤や、骨盤を覆う筋肉の弾力が、男の腰だな、としみじみ思った。

 

先週の実習で、牛の骨盤をスケッチしたことを思い出したりしていた。

 

湿度高い浴室に、ペチペチと肌を叩く音が響く。

 

正直。

 

物足りない。

 

己の手でしごく方が気持ちがいいし、女の子とヤる方がもっと気持ちがいいに決まっている。

 

けれども、チャンミンの背中を見ながら、チャンミンに腰を叩きつけて、チャンミンの喘ぎを聴きながらの今の行為も捨てがたい。

 

刺激は足りないが、チャンミンと繋がってる感を味わっている。

 

ビジュアル面も、相当エロい。

 

俺は今、チャンミンの中を貫いているんだ(違うけど)。

 

俺の動きに合わせて筋張るチャンミンの背中を美しいと思った。

 

肩から腰に掛けて逆三角形を描いた背中のラインも美しいと思った。

 

チャンミンの片手が、ばしっと壁にたたきつけられた。

 

大きく広げた5本の指先が白くなっているのを目にして、俺によってもたらされた快感の強さがそこに現れているようで満足する。

 

「んっ...いいっ...ユノ...いいっ」

 

俺のペニスはチャンミンの陰嚢と内ももにみっちりと包み込まれている。

 

チャンミンの背中に覆いかぶさった。

 

互いにかいた汗でぬるぬると肌が滑る。

 

片手を前にまわして、チャンミンのペニスを探り当てた。

 

「あっ...」

 

チャンミンの身体が小さく跳ねた。

 

先ほど達したばかりのそれは、緩く勃ち上がっている。

 

俺は腰をガクガクと振りながら、チャンミンのペニスをしごいてやる。

 

「だめっ!」

 

がっと俺の手首をチャンミンがつかんだ。

 

「気持ちよくなりたいんだろ?」

 

チャンミンの手を振りほどいた。

 

「あぅっ...!」

 

輪にした2本の指でカリの部分をゆるゆると刺激してやると、再びチャンミンの手に邪魔された。

 

「やめっ...!」

 

「なんでだよ?

気持ちよくなりたいんだろ?

おらおら?」

 

腰をひいて、真下からチャンミンの快楽ポイントをぐいぐい刺激してやる。

 

「駄目...駄目っ!」

 

チャンミンのかかとに蹴られそうになるのを、とっさにかわした。

 

全身で抵抗するのを全力で羽交い絞めにし、チャンミンのペニスをしごきながらの腰の律動運動を再開した。

 

「僕...おかしくなっちゃうからぁ!」

 

チャンミンが悲鳴じみた声をあげた。

 

「ストップ!

ユノ...ストップ!」

 

「あん?」

 

チャンミンは歯を食いしばり、顔をくしゃくしゃにゆがめている。

 

「へ、へんな気持ちになる...」

 

俺はにたり、とした。

 

素股にしごきを加えると、強烈に気持ちがいいんだよな?

 

「おかしくなっちゃえよ」

 

俺から離れようとするチャンミンの腰にぐるりと腕を回して拘束する。

 

「離せー!」

 

「気持ちよくさせっから、って言っただろ?」

 

「僕のっ...おちんちんから手を離して!」

 

「いいの?」

 

俺のペニスに手を添えて、チャンミンが悶えるところをぐりっと押しつけてやる。

 

「ひゃうん!」

 

チャンミンの尻が痙攣する。

 

「なんて声を出すんだよ」

 

「だって...ひゃっ!」

 

「ここがいいのか?」

 

「ひゃうっ...」

 

「ここ?」

 

「ひぃんっ...」

 

「あははは」

 

ごめんチャンミン...いちいち反応してくれて...面白い。

 

「超気持ち良くなって、ぴゅーっと出しちゃえよ」

 

チャンミンの尻をなだめるようにぴしゃぴしゃ叩いた。

 

「......」

 

何やら考え込んでいるらしいチャンミンの後頭部が愛おしい。

 

「自分でやる」

 

そう言ったチャンミンは、自分のペニスを握る。

 

「ユノにやらせたら、コントロールが効かない。

ほら、ユノ。

早く動かせったら」

 

「お、おっけ」

 

チャンミンの反応で遊んでいないで、俺の方もとっととイキたい。

 

チャンミンの背中を押して深く屈ませると、腰のスライドを再開させた。

 

 


 

 

~チャンミン~

 

僕のお尻にユノのペニスの先が添えられた時、僕はぎゅっと目をつむって覚悟した。

 

僕のアナル・バージン、ここに散る...か。

 

ん?

 

熱くて堅い塊が、ずずっと僕の内股に差し込まれた。

 

あれ...?

 

きょとんとしていたら、ユノに笑われた。

 

俗に言う『素股』かぁ...なんて甘くみていたら、予想以上に気持ちよくって、当然のごとく僕の口から変な声が出てしまうんだ。

 

敏感な腿の内側がずりずりとこすられて、ぞわぞわっとする。

 

堅いのに柔らかく弾力をもったもので、僕のタマが前後にひきずられて、手でしごく刺激しか知らない僕は、初めての快感に腰が抜けそうになる。

 

「あん...あん...」

 

ユノの腰の動きに合わせて、女の子みたいな声が出てしまう。

 

ユノにしか聞かせられないよ、こんな恥ずかしい声。

 

それから、これだよこれ。

 

お尻の穴の辺りにユノのペニスが通過する時...、くすぐったいんだけど腹の底までずんと快感が響いて、よだれが出そうになる。

 

それから、タマの後ろの辺りがヤバい。

 

「ひゃぁん」

 

ユノが下の方から突いたとき、ユノのペニスがそこに当たって、目の前が真っ白になった僕はあられもない声を出してしまった。

 

なんだ、これ。

 

本気で腰が抜ける。

 

ユノには恥ずかしくって言えないし、こんなこと言ったら面白がってそこばっか攻めるかもしれない。

 

出来るだけ声を出さないように食いしばっていたのに、早々とユノにバレてしまって、ぐりぐりと刺激するんだもの。

 

「ひゃぁん」

 

どこからこんな変な声が出てるんだよ。

 

自分で自分に突っ込みをいれながらも、変な声が止められない。

 

ぐらぐらになった僕の腰を支えながら、ユノは「おらおら?」って僕の反応を楽しんでるんだもの。

 

その上、僕のペニスまでしごこうとしたから、全力で阻止した。

 

未体験の強すぎる快感に、ペニスの性感も加わったら今の僕は狂ってしまう。

 

浴室の壁に突いた手に額を預け、僕は目をつむって股間の感触に集中する。

 

ああ、僕は今、男に掘られてるんだ(ホントは違うけど)。

 

僕の背後でユノの荒い息遣いに、僕は感じてしまう。

 

もっと気持ちよくさせてあげたくて、内腿をきつく閉じた。

 

 


 

 

~ユノ~

 

くっくっと下腹が痙攣して、たっぷりと放出した俺は、どっとチャンミンの背にもたれかかった。

 

「はあはあはあはあはあ」

 

男の背中だから、全体重を預けても大丈夫なんだ。

 

俺の胸の下で、チャンミンの背中が大きく上下している。

 

息が整うまで俺たちはこのまま身体を重ね合っていた。

 

「おっと!」

 

チャンミンの背から身体を起こした俺は、ぬるつく床に足を滑らせてよろめいてしまった。

 

「危ないなー」

 

すかさずチャンミンの力強い腕に支えられて、これだから男は頼もしい、と思った。

 

「サンキュ」

 

暑い。

 

疲労度が凄まじい。

 

男との交わりは(ホントの意味では交わっていないけど)、レスリングに近いものがある。

 

抵抗するチャンミンをなだめすかしてヤるから、体力勝負だ。

 

浴室の中の匂いはすごいことになっている。

 

冷水にしたシャワーで可愛く萎んだチャンミンのペニスを洗ってやる。

 

「ひゃぁん!」

 

びっくりするような声を出して飛び上がるチャンミンが面白くて、水量を全開にしたシャワーを頭からぶっかけてやった。

 

「やめろー!」

 

「チャンミン...お前さ」

 

「何?」

 

「どっからそんな声が出るわけ?」

 

「知らない」

 

「『ひゃん』なんてさ...?」

 

「......」

 

「アソコ...気持ちよかったんだろ?」

 

チャンミンの気持ちいいポイントを見つけてしまった。

 

そこが気持ちがいいってことは、経験として知っていたから攻めてみただけのこと。

 

チャンミンは自分で刺激してみたことないのか?

 

「......」

 

「痛いことしない、って言ったとおりだったろ?」

 

「......」

 

「ホントに挿れられると思った?

挿れて欲しかった?

がっかりしてたもんな?」

 

チャンミンの頭をがしがしと撫でた。

 

「......」

 

「チャンミンは『素質』があるかもなー?

よかっただろ?」

 

チャンミンの小さな尻をぐっとつかんだ。

 

「......」

 

やべ...怒らせたか...?

 

「ユノ...」

 

チャンミンが振り向いた。

 

目がこえぇ。

 

「チャ...っ!」

 

素早く伸ばされたチャンミンの手に両肩をつかまれた俺は、くるりとひっくり返された。

 

「おいっ!」

 

壁にどんと両手を突き、チャンミンに尻を突き出す格好になっていた。

 

「動くな!」

 

飛び起きようとしたが、上からのしかかるチャンミンの体重と、腰をタックルされて身動きできない。

 

念入りなことに、チャンミンの脚が俺の膝をホールドしている。

 

「チャンミンっ!

何すん...!」

 

「...あげる」

 

チャンミンが俺の耳元で囁いた。

 

「ユノを気持ちよくさせてあげる」

 

「!」

 

「今度は僕が気持ちよくさせてあげるよ」

 

そう言ったチャンミンは、俺の耳たぶにキスをした。

 

「いいって!」

 

「今イッたばかりだから、いらないって」

 

「遠慮しないでよ。

すっごく気持ちいいんだから」

 

「しなくていいから!」

 

チャンミンに身を任せたら...怪我をしそうで...こええぇ。

 

 

(つづく)

 

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