~チャンミン~
金髪の男...ユノは思った通り素直で、さらには正直な奴のようだった。
恋愛対象が同性だと教えてあげたのは、実は僕の計算づくだったんだけどね。
ユノの反応を見たかったんだ。
僕は男が好きな質だと聞かされたユノは、「気持ち悪い」とはっきり認めた。
いいねぇ...素直で正直な男、好きだよ。
そして、席を立つこともなくここに留まり、僕の顔や身体をまじまじと観察している。
そろそろ、僕のルックスの良さに気付いたかな?
さすがに手を握った時は拒まれたから、ちょっと早すぎたかな?
面白くなってきたぞ、心中でニヤついていた僕。
待って。
ニヤつく前に、もっとショッキングなことがあったではないか!?
ユノが...童貞だった!
どうして!?
僕はジャングル奥深くに踏み入る探検隊員。
過酷極まる探索道程の末、ついに目にした幻の果実...ツヤツヤ、ぷるっぷるの美味しそうな果実。
...そんな感じ。
ぴっかぴかを探していたところ、なってこったい、真正のぴっかぴかと巡り会ってしまった。
チェリー君なんて珍しくもなんともないが、ユノの場合は違う。
雑誌の中のモデルがそのまま抜け出たかのようなルックス、モテないわけがない。
爆イケ男がモテなかったり、機会はあるのにアレできなかったとしたら、性格と性癖に問題を抱えているのだ(シム基準)
ところが、会話をしてみて分かったのは、ユノはからっとした性格で、気遣いのできるいたって常識的な男...全然、チャラくないのだ。
なぜ?
性格に問題がないとしたら、考えられる理由は三つしかない。
その1・・・小指サイズ。
その2・・・バットサイズ。
その3・・・ユノは女性だった
(僕のいい男センサーが狂っていたことを認めることになってしまう)
想像を巡らす前に、手っ取り早く目視確認をすればいい。
僕は肘でおしぼりを床に落とした。
「落としちゃった...拾わなくっちゃ」
それを拾おうと身をかがめ、対面に座るユノの股間を確かめる。
「ごくり...」
スリムパンツを履いてくれてありがとう。
サイズに問題なしだ。
他には、極度の緊張しぃか、速度の問題くらいしか考えられない。
半袖から伸びる二の腕は太く、手を動かす度に素晴らしい筋肉の盛り上がりを見せてくれる。
あの逞しい腕に腰を抱かれたい!
探検隊は数日間飲まず食わずだった。
...水を、水を下さい...。
僕に甘くて、果汁たっぷりの果実を下さい...。
従僕でチェリーな男相手に、こうまで苦戦するなんて悔しすぎる。
加えて、ユノの股間を(生地越しとはいえ)目にしてしまったら、僕のアソコをあの太いものでみっちみちに埋めて欲しくなった。
好みの男を見つけたら、まず身体つきに目がいってしまう僕は、つくづく下半身に支配されている男だなぁと呆れてしまう。
でも...仕方がないだろう?
僕をすみずみまで満たし、刺激して、幸福にして欲しいのだから。
だから、ここで諦めるわけにはいかないのだ。
「おい。
口開いてるぞ」
「へ?」
間抜けな顔をさらしてしまった。
考え事に夢中になっていて、目の前の獲物の存在を忘れていた。
ユノの指摘に、羞恥の汗がにじんだ額をおしぼりで拭こうとしたら、「それ、床に落ちたやつだぞ」と注意された。
もっと恥ずかしくなった僕は、うつむくしかない。
(カッコ悪すぎ...。
なんだよ、これ。
いつの間にかユノのペースになってるじゃないか)
幻の果実は強風にあおられ、手を伸ばしても寸でのところでかわされ、それをもぎとることができない。
「これで顔を拭け。
あんた...顔が真っ赤だぞ。
具合が悪いのか?」
新しいおしぼりをユノから受け取った(いつの間に、店員に頼んでいたらしい)
ユノという男...気が利く...僕の方がくらっとしてしまうよ。
僕のペースに早く戻さないと!
アルコールは得意じゃないと言ってたわりには、色白な肌は白いまま、口調もしっかりとしている。
案外酒に強い奴なのかもしれない。
ハイボール一杯程度じゃ足りないってことか。
僕なんて焼酎の中瓶3本開けていて、アルコールには強い僕でも酔いが回っていた。
「男もいいかもしれない...」とくらっとさせて、深酔いさせてホテルに連れ込む作戦は、早い段階で諦めていた。
僕の方が深酔いしそうだった。
これまで成功に導いてきた色気作戦が、ユノには通じない。
今夜中にいただくのは無理かもしれない、とくじけそうになった。
でも、正真正銘のぴっかぴかを簡単に諦めてたまるものか。
処女雪の最初の一歩は、僕で決まり。
「もっと飲むか?
酒で失恋を吹き飛ばそうぜ」
とユノは言って、ボトルが空くなり四本目を注文しようと手を挙げた。
「待って。
僕...もう限界みたいだ」
じわじわ作戦だ...なんてトロいことをしていられる余裕は、今夜の僕にはない。
僕のアソコをガンガングリングリン、イジメて欲しいのだ。
ぴかーんといいアイデアが浮かんだ。
僕はテーブルに突っ伏した。
「チャンミン!
大丈夫か!?」
ユノのお人よしで世話好きそうなキャラを利用させてもらうよ。
ぷー、くすくす。
(つづく)
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