~チャンミン~
お兄さんの舌が僕の中で踊っている。
「汚いから...やめて」
僕は前かがみになって、お尻を突き出している。
「...あっ...や...はぁ...」
汚い床に片膝をつき、お兄さんは僕のお尻に顔面を埋めている。
「やめて」
お兄さんのよだれが僕の内ももを濡らしている。
自分から誘っておいて...外で...それも『犬』の店で、お兄さんとえっちする流れになるなんて予想していなかった。
お兄さんの苦し気な表情をほぐしてやりたかったんだ。
この方法しか思いつかなくて...だから、こうなった。
僕ら2人きりの建物の中ではあるけれど、よりによって『ここ』
僕らが『犬』をやっていた、懐かしの場所。
とても悪くて恥ずかしいことを、僕らはしている。
あそこに吸い付く音、よだれの音...。
恥ずかしいけれど、気持ちがいい。
お兄さんの綺麗な顔を、僕のものが汚している。
いけないことだと思う程に、前も後ろも感覚が敏感になってゆく。
僕はお辞儀をしている格好になっているせいで、元気になったおちんちんの先が、顔のすぐ前で揺れているんだ。
ぺろぺろ舐められたり、吸われたり、粘膜同士の感触を味わっていると...
「ああぁっ!」
突如、足の指まで電流が走り、僕は叫んでしまう。
「っう...くぅっ...」
両膝をつかんで、崩れ落ちるのを必死で堪えた。
「やっぱり...チャンミンは『ここ』が好きなんだ?」
「...はい」
後ろを振り向くと、口の周りをベタベタにしたお兄さんがにたり、とえっちな顔をして笑っていた。
「駄目だから、お兄さん。
汚いから...ダメ」
お兄さんは僕の「止めて」なんて本気にしていない。
僕のそこから口を離すと「そうだね、汚いね」って、お兄さんはにたにた笑った。
「チャンミンの汚いところを、俺は舐めているわけだ」
「!」
かあぁぁっと全身の表面が熱くなった。
たまらなくなった僕は、腰を引いてお兄さんから逃れようとしたけれど、ウエストをさらわれていてそれも出来なかった。
「脱げ」
耳元で命じられた。
「尻だけ出していないで...全部、脱げ」
僕は立ち上がった。
「脱げ」
Tシャツと、膝のあたりで引っかかっていたズボンとパンツを、脱ぎ捨てた。
お兄さんは転がっていたスツールを立たせると、そこに腰掛けた。
組んだ足に頬杖をついて、僕の姿をじろじろと見た。
「...っ」
裸は慣れているはずなのに...。
今日の僕の身体は、酷くみっともないものに思われた。
多分、場所のせいだ。
当時は商品に値するだけの、完璧に搾り上げた身体をしていた。
商品じゃなくなった今、シューチシンが芽生えた。
日頃、お兄さんに愛されているこの身体に、もっと自信を持っていいのだろうけどね。
『犬』時代と比べると、余分な贅肉を身にまとっているのは確かだ。
今すぐ、床に落ちた服でいいから、せめておちんちんだけでも隠したい。
お兄さんは何も言わず、僕を見るだけだ。
恥ずかしいと思うほどに、僕のおちんちんは固くなっていく。
足の付け根に力を入れると、ぷらぷらとおちんちんの先が揺れた。
そのことも恥ずかしくて、両手で包んで隠した。
「チャンミン」
「はい」
「どうして裸になっているんだ?」
「え...?」
「ここは外だぞ?
昼間で、店の中だ。
チャンミンは常識的な大人の男なんだろう?
それなのに、どうして素っ裸になってるんだ?」
「え...っと、それは...。
お兄さんが脱げって言ったから」
「へぇ...。
俺が『脱げ』と言ったからその通りにした、って言いたいんだな?」
「...は、はい」
「嫌なら『イヤだ』って言えばよかったじゃないか」
「...はい」
「言いなりになる必要はなかったんだぞ?」
「...はい」
「いいよ、服を着ろよ」
お兄さんは「仕方がないな」といった風にあきれ顔で微笑み、床に落ちた服を拾ってくれるた。
「でも...」
お兄さんは意地悪だ。
言いなりになった僕が、服を脱いだワケを知っているくせに。
お兄さんはニヤニヤ笑っていて
僕らはプレイのひとつとして、今みたいな言葉のやりとりを楽しんでいる。
お兄さんは僕を恥ずかしがらせるのが大好きだし、僕はその逆だ。
「『あそこ』に行こうか?」と、お兄さんは店の奥を顎で指した。
「...え」
僕の方へと歩み寄ると身をかがめ、その直後、僕は抱きかかえられていた。
(つづく)
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