「...うっ...」
ユノは低い囁き声を漏らし、温かい吐息。
僕は舌を暴れさせ、握った手を激しく上下させた。
ユノのいいところをヒットさせると、僕をいたぶっていた彼の手は止まる、
僕はほくそ笑む。
ところが、お返しとばかり僕の穴はもっとイジメられる。
「あ、ああああぁぁ」
気持ちが良すぎて、ユノの大事なところを噛まないようにするので必死だった。
(凄いよ...凄いよ。
気持ちいいよ)
「んんっ...ぁああぁ...っ」
声をたてそうになると、さらにユノの指が穴の中で暴れる。
「...静かに。
何ごとかとスタッフが来るぞ」
駄目だと思うと、握られた僕のあそこが張り詰める。
ユノも同様らしく、僕の口の中で固さを増した。
僕らはイケナイことをしている。
「やっやぁ、それ、それ...やだぁ」
LOSTは恋を成就させる場ではない。
悲しみも執着も怒りも全部、手放す場所。
独りきりで行う修行の場なんだ。
皆が寝静まった深夜、ワンピースを着た男がお尻を丸出しにして、お尻に指を突っ込まれている。
もうひとりの男は、ワンピース男のお尻に指を突っ込み、さらにアレをしゃぶられている。
いけないよ、こんなこと。
「やっ...や...ギブ、ギブ。
もう...やだぁ」
スタッフの巡回時間まで余裕はあるけれど、今夜に限って早まるかもしれない。
隣室の者が、喘ぎ声を苦痛の声だと勘違いして、スタッフを呼ぶかもしれない。
「わ、かってる...。
もう勘弁して。
我慢...できない」
僕は必死に頭を上下に振った。
ユノのアレは長いから、彼の亀頭が僕ののどちんこをぐりぐりする。
室内はどこもかしこもえっちな音
僕はまだ、お尻だけでイケるところまで達していない。
「どうだ?」
「まだ...まだ...あと、ちょっと...」
咥えていたものから口を離し、酸素を取り込んでからユノの問いに答えた。
「イケそうなんだけど...まだ」
滴り落ちた僕のよだれで、ワンピースの襟元がよだれかけみたいになっていた。
イケそうでイケなくて、焦れったくて苦しい。
ユノの執拗さに、前戯で一度イカせたいのだろう。
右手はユノの根元を、左手で僕のモノをしごいた。
僕らには時間がない。
前と後ろの刺激で頭がおかしくなりそうになりながらも、僕は祈った。
互いの肌と性器が放つ匂いで、ユノが正気にかえりませんように。
そう祈りながら、知っている限りのテクニックで、ユノのソレを指と舌、喉と唇とで慰めたのだった。
・
「ごめん...本当にごめん」
ベッドから転がり落ちていた僕は、ユノに引っ張り起こされた。
なぜユノのものを咥えていた僕が、ベッドから落下してしまっていたのか。
絶頂の直前だ。
ユノが放つものを、僕の口内で受け止めようとしていた。
「駄目だ!」
突き落とされたのだ。
僕の方と言えば、寸止めできず床に落下した瞬間に射精してしまった。
僕の放ったものが、リノリウムの床を汚していた。
後で拭き清めればよいものの、僕はワンピースの裾でそれを拭った。
今すぐティッシュペーパーで拭い、除菌シートで拭い、アルコールスプレーを吹きかけ、最後にもう一度除菌シートで拭き清めなければならない。
...だって、僕の体液で汚染されたと、表情をこわばらせるユノを見たくなかった。
「仕方ないよ」
僕は平気な顔をして、ユノの手に引っ張られ、ベッドの上へと戻った。
「本当に申し訳ない」
ユノはぐっと頭を下げた。
「慌てずにいこうよ」
僕はワンピース姿のままだった。
一方ユノは、ズボンから前を出したままだった。
僕の視線に気づいて慌てて萎れたものを、おさめた。
「ね?」
肌同士を重ね合わすのは、まだまだ僕らには早すぎるってことだね。
直前で怖気付いてしまっても仕方がない。
ばい菌扱いされたと、傷ついてはいなかった。
僕の体液...精液で汚れるよりも、ユノ自身の精液で僕を汚してしまうことを、恐れたんだ。
いよいよ興奮の頂点という時に、ハッと我にかえったのだ。
「はあ...」
ワンピース...脱がされたかったなぁ...でも、仕方がないよね。
僕らには時間がない。
(つづく)