(4)奥さま手帖-10月-

 

<10月某日>

~旦那さん~

 

2時間の残業。

チャンミンに電話をかける間もないほど、忙しい。

先に飯を食うこともなく、旦那の帰りを台所のテーブルでじーっと待つような奥さんだったら重い。

チャンミンはそういうタイプの奥さんではない。

それでも、チャンミンなりに段取りはあるだろうから、可能な限り、帰宅時間を前もって知らせるようにしている。

 

新婚ホヤホヤの頃、サプライズのつもりで、半休をとって帰宅した日があった。

少しでも離れがたい、熱々な頃でもあったから、いつもより早い帰宅に、めちゃくちゃ驚いてくれるんじゃないかな、とワクワクしていた。

帰宅した私は、音をたてないように忍び足でチャンミンを探した。

ところが、台所にも居間にも、風呂場にもチャンミンの姿はなく、スニーカーがあるから留守ではない。

 

苦し気な声が聞こえた。

出処は寝室だったため、腹でも壊して寝込んでいるのかと最初は思った。

その声は、痛みに苦しむものとは異なるタイプのものだった。

これはもしかして...?

その頃、芸能ニュースを騒がせていた、不倫現場(合体中)に突入してしまった夫(または妻)の姿が頭をよぎった。

5センチ程の隙間から寝室を覗くと...。

片手は胸先を、もう片方でお尻をいじる...つまり、オナ中の奥さんを目撃してしまったのだ。

私はそっと、その場を立ち去った。

一旦外へ出て、チャイムを連打し、「ただいま~!」と騒がしく帰宅した。

頬を紅潮させたチャンミンが、「あれ?早退?」と私を出迎えた。

あの件について、何事もなかったかのようにスルーしてしまっていて、悪かった。

見られたのか見られていないのか、モヤモヤしていただろうから、今、この場を借りて告白する。

あの瞬間、チャンミンと目が合ったよな。

YES。

見ました。

エロかった。

あの夜、激しく求めてしまったのは、そのせいだよ。

 

 

この週末、リンゴ狩りツアーに参加した。

制限時間でそういくつも食べられるものじゃない。

(持ち帰り用に1箱買って帰る)

腹が膨れてしまい、名物のなんとか料理を残してしまった。

持ち帰りたいチャンミンと、食中毒をおこしたくない店側としばし押し問答。

折れたチャンミン、私の残りを全部食べてしまう。

次の立ち寄りスポットで、ソフトクリームサービス、チャンミン食べられず。

(腹が膨れてしまったのだ)

代わりに私が2個食べる。

頭上に腕を上げっぱなしだったせいで肩が痛い。

アップルパイが焼けるいい匂いがしてくる。

 

※ユノは日記帳の中では自身のことを『私』と称する。

 

 

【奥さま追記】

やっぱり見られていたのか。

 

 


 

 

<10月某日>

~奥さま~

曇り

H回数:1,994回

(昨夜、なし

指だけ)

 

【昨夜のこと】

夕飯後、ユノと散歩。

『恥辱の制服』の男子高生Qについてアドバイスを貰う。

僕が考えたあらすじは以下の通り

1.Z教諭の嫉妬心を煽るため、男子高生Qと養護教諭(♀)は結託する。

2.保健室で男子高生Qと養護教諭(♀)は関係を持つ。

3.その現場を教諭Zに目撃させる。

 

ユノ、「それはあかん」と言う。

「絶対にあかん!」と何度もうるさい。

男子高生Qは教諭Zにお尻バージンを奪われた、永遠のウケ設定である。

「何としてでも彼の童貞は、守り通さなければならない」と、ユノは言う。

「男子高生Qに女性経験をさせたら、絶対にあかん!」

「全てを教諭Zに捧げる覚悟が、読者を萌えさせるのだ!」とユノは主張する。

「男子高生Qに女性経験させずに、養護教諭(♀)とどうやって関係を持たせればいいのか?」の質問に、

「道具を使えばいい。

養護教諭(♀)は道具で男子高生Qを攻めたてるんだ」との回答。

「道具の登場は、読者の萌え心をより刺激する」のだとか。

高校生に道具は早いんじゃないかなぁ?

 

 

【ユノからの提案】

「ハロウィーンSEXは、道具を使おう!」

散歩からの帰宅後、早速『マーベラスLOVEハンター』の通販サイトをのぞいていた。

(注文の際は、ポイントを使うように念を押しておいた)

ハロウィーンとSEXと道具がどう結びつくのか、僕には分からない。

単に新しい道具が欲しかっただけなのかもしれない。

...以上が昨夜の話。

 

 

【今日の話】

隣区の区長さん(おばあさん)から

「あんたらはオカマか?」と訊かれた。

ちょっと意味合いが違ったけど、説明が面倒だったから、

「そうです」と答えた。

「男同士、気持ち悪くないか?」と訊かれた。

「僕から見ると、男と女がくっつくことが理解できない」と答えた。

区長さんはわっはっはと笑って、

「あんたらが越してきてからずっと、気になっていたんだ」と言った。

率直な区長さんだ。