(更衣室)あなたのものになりたい

 

 

チャンミンの上にのしかかるなり、両頬を挟んだ彼の両手に引き落とされた。

 

唇が重なる前に、互いに伸ばした舌同士が接触した。

 

二つの舌を重ね合わせたまま交互に吸い合う。

 

チャンミンの両手は俺の背中を撫ぜ、俺の手は彼の尻と太ももを行ったり来たりさせた。

 

何枚も重なり乱れた真っ白なバスタオルの上で、俺たちは知っている限りの全てのバリエーションのキスを交わした。

 

「...早く...待てない」

 

チャンミンの両足は俺の腰にからみつき、俺の挿入を待っている。

 

丸めたバスタオルをチャンミンの腰の下にあてがった。

 

チャンミンはこの体位が好きだ。

 

尻を割り左右に剥いて、真上を向いたチャンミンの入り口を露わにした。

 

口内で溜めた唾液をとろり、と流し込んだ。

 

「...んっ」

 

チャンミンの尻が震えた。

 

俺は中腰になると、手を伸ばして、更衣室のドアを開けた。

 

カルキ臭くひんやりとした空気が、室内に流れ込んでくる。

 

チャンミンの腰をより高く引き上げ、ゆっくりと埋めていった。

 

潤い不足であるにも関わらず、俺のものは難なく飲み込まれた。

 

そして、待ち構えていたと言わんばかりに、チャンミンの腸壁は奥へ奥へとうねっていた。

 

「毎日いじってるだろ?」

 

「......」

 

「いやらしい男だなぁ。

何を想像していじってる?」

 

「......」

 

「答えろ」

 

「...いやです」

 

顔を背けたチャンミンを許さず、顎をつかんで正面へと向かせた。

 

「答えないと...」

 

俺は腰の律動運動を止めた。

 

「止めないで」

 

「答えろ」

 

「言います!

お、お兄さんです。

お兄さんを...」

 

「俺を?

へえ...俺とどうしてる?」

 

「お兄さんと...えっちしてます」

 

「こんな風に?」

 

ずん、と叩きつけるように突いた。

 

「...んっ!」

 

「こんな風にか?」

 

「は、はい」

 

「嘘つくな。

俺は嘘つきは嫌いだ。

正直に答えろ」

 

「お兄さんと...もっと...」

 

「もっと?」

 

「もっと...すごいこと...してます」

 

「俺とすごいことしてるのを想像して、いじくってるわけか?」

 

「はい...そうです」

 

「どスケベだな、チャンミンは?」

 

俺は身を伏せて、チャンミンの耳元で囁いた。

 

「だって...。

お兄さんが好きだから...」

 

奥深くまで埋めたあと、ゆっくりと引き抜いていった。

 

「ああぁぁ...」

 

それは男のものではない...絹を裂くような掠れた高い声だった。

 

「しーっ。

声は我慢しろ」

 

俺はチャンミンにタオルを噛ませた。

 

次もじわりと腰を埋めた。

 

すると、もっと奥まで欲しいと言うようにチャンミンの腰が揺れた...これは条件反射のようなものだと思う。

 

「...チャンミン。

誰か来るかもね」

 

「...えっ...!?」

 

チャンミンは喉をのけぞらせ、更衣室の入り口を仰ぎ見た。

 

「そんなっ...」

 

「ドアが開いてるんだよ?

ここに入ってきた奴は、まず最初にチャンミンのデカい口を見てしまうね。

どうする?」

 

チャンミンの入り口が締まり、その窮屈さに俺は呻いた。

 

チャンミンの声が聞きたくて、深く埋めたまま彼の腰をぐらぐら揺すった。

 

「あ、あ、あああ、あっ、あっ...っ」

 

チャンミンの両膝の裏を梃に、強弱をつけて鋭く突いた。

 

「んんっ、あんっ...いいっ...いい、いい」

 

俺の動きに合わせて喘ぐチャンミンの声は、これまでになく大きい。

 

予想通り、「見られるかもしれない」スリルがチャンミンの興奮を煽り、感度よくさせたのだろう。

 

「...そこ、そこがいいっ...いいっ...もっと」

 

先を濡らしたチャンミンのものをつま弾いてやると、「ひゃん」と声を上げた。

 

 

ベンチに腰掛けた俺の膝にまたがったチャンミンは、自ら腰を振った。

 

目の前で揺れるチャンミンの薄い胸で、紅く主張する二つを交互に噛みついた。

 

「やっ...やっ...もっと...もっと」

 

後半はチャンミンの細い腰をつかみ、俺からも加勢してやった。

 

下から突き上げるたび、チャンミンは女のような甲高い悲鳴を上げる。

 

ドアを閉めていたって、こんな派手な喘ぎ声は駄々洩れだろう。

 

別世界へ飛ばされてしまったチャンミンには、気にするようなことじゃない。

 

俺たちのベッドでの時よりも、チャンミンは感じているようだ。

 

事実、チャンミンのものはくたりと力を失って、俺の下腹の上で揺すられているだけ。

 

強烈に感じている証拠だ。

 

俺はチャンミンに口づけて、ラストスパートをかけた。

 

飲み込まれるんじゃないかくらい、俺の舌はきつく吸われた。

 

俺の背に爪立てた両手がふっと離れた。

 

後ろ向きで俺の膝から崩れ落ちそうになるのを腕で支え、深くきつく抱きしめた。

 

 

 

汚したタオルは持ち帰ることにした。

 

 


 

~チャンミン~

 

 

「舐めろ」

 

僕の中から引き抜かれたお兄さんのおちんちんは、濡れて光っている。

 

僕の中に入っていたもの...いくら自分の穴だとしても、抵抗があるはずだ。

 

追加料金を支払った客相手の時は、新しいゴムを二重に付けた上でしぶしぶ施してやっていた。

 

お兄さんのおちんちんだから、僕は喜んで口にできる。

 

お兄さんは根元に添えた手でおちんちんを揺らし、僕の唇を叩いた。

 

僕なりにお兄さんを焦らそうと、口を引き結んでいたけれど、もう我慢できない。

 

ベンチに座るお兄さんの足元にうずくまる姿勢になった僕は、彼の股間に顔を埋めた。

 

一気に食らえ込まずに、お兄さんの形を楽しむために舌先ですみずみまで優しく舐めた。

 

男なら誰でも気持ちいいと感じる箇所は敢えて避けてみて、焦らした末に引き返して丁寧に舐めた。

 

よだれを絡めた上で、わざと大きな音を立てて吸った。

 

お兄さんの手は僕の髪を梳いてくれる。

 

頭皮から背中へとぞわりとさざ波が走る。

 

「...気持ちいいですか?」

 

「...ああ、気持ちいいよ」

 

低くて優しい声が嬉しい。

 

握った手も頭も上下させ、舌も忙しく動かした。

 

お兄さんはプロだった人だ。

 

テクニックだけでイカせようとしたら、お兄さんは「俺は客じゃない」って腹を立てるだろう。

 

真心を込めて丁寧に、僕の舌と唇、喉を使って、全ての窪みを味わいつくすのだ。

 

僕の中でお兄さんのおちんちんが、ぐぐっと大きく固くなった。

 

お兄さんはがっしとつかんだ僕の頭を上下に動かし始めた。

 

喉の奥におちんちんの先が当たり、歯を立ててしまわないようえずくのを我慢した。

 

頭を激しくシェイクされ、お兄さんを見上げるのも難しい。

 

お兄さんは怖くて熱い眼で僕を見下ろしている。

 

そうそう、僕はこの我慢する感じが好きなんだ。

 

お兄さんに意のままに扱われている感じが好きなんだ。

 

次に僕の頭は引き上げられ、ひざまづかされた。

 

何が始まるんだろうと、ドキドキした。

 

お兄さんは立ち上がると、僕の頭をつかんだまま、自身の腰を揺らし始めた。

 

僕の口内を出し入れするお兄さんの興奮の塊を、吸ったり緩めたり、彼を気持ちよくさせたくて僕は頑張った。

 

愛おしい。

 

お兄さんの全部が欲しい。

 

「んんーっ」

 

ごりっとおちんちんが喉にぶち当たった。

 

お兄さんの腰の動きが早くなったんだ。

 

その激しさに息継ぎする間もない。

 

僕の頬にお兄さんの引き締まった下腹がぶち当たり、鼻で呼吸もできない。

 

逃れようにも、頭を拘束されている。

 

僕の身体はお兄さんのものです。

 

もっともっと好きにしてください。

 

僕のことを捕まえたままでいてください。

 

イッたばかりのお兄さんの精液は量が少なくて、物足りない僕はお兄さんのおちんちんをちゅうちゅうと吸った。

 

「やめろって」

 

お兄さんは股間から僕の頭を引き離し、そのまま胸に抱きしめた。

 

「よかったよ...」

 

「よかったです」

 

「チャンミンのもイカせてやろうか?」

 

僕のおちんちんに伸びたお兄さんの手を、代わりに握った。

 

「ベッドでしたいです。

ここもいいけれど...誰かが来るかもと思うとドキドキして、集中できません」

 

「嘘つけ。

いつもより感じていたくせに」

 

「意地悪ですねぇ」

 

「部屋に戻ろうか」

 

着替えだしたお兄さんに置いていかれないよう、僕も慌ててロッカーから洋服を出した。

 

濡れた水着をビニールポーチに入れるお兄さんに、僕はあることを思い出した。

 

「僕の水着...」

 

ジャグジーで脱いだままだった。

 

僕は裸ん坊で更衣室まで来たのだ。

 

「見つけた奴は首を傾げるだろうね。

どうしてここに水着が落ちているんだ?って。

それも、女もののビキニなんだ」

 

「やっぱり!

僕の水着...なんだか変だと思ったんですよ」

 

「冗談だよ。

あれはれっきとした男ものだ。

チャンミンはああいうタイプが一番似合う」

 

「お兄さんも穿いてくださいよ」

 

「お断りだ。

その代わり...プールを貸し切りにしようか、今度?」

 

「お兄さんも脱いでくださいよ?」

 

「ああ、いいよ」

 

「やった...!」

 

今度こそイルカの交尾みたいなえっちをしよう、と思った。

 

 

(「更衣室」終わり)

 

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