(27)あなたのものになりたい

 

 

~チャンミン~

 

 

お兄さんの舌が僕の中で踊っている。

 

「汚いから...やめて」

 

僕は前かがみになって、お尻を突き出している。

 

「...あっ...や...はぁ...」

 

汚い床に片膝をつき、お兄さんは僕のお尻に顔面を埋めている。

 

「やめて」

 

お兄さんのよだれが僕の内ももを濡らしている。

 

自分から誘っておいて...外で...それも『犬』の店で、お兄さんとえっちする流れになるなんて予想していなかった。

 

お兄さんの苦し気な表情をほぐしてやりたかったんだ。

 

この方法しか思いつかなくて...だから、こうなった。

 

僕ら2人きりの建物の中ではあるけれど、よりによって『ここ』

 

僕らが『犬』をやっていた、懐かしの場所。

 

とても悪くて恥ずかしいことを、僕らはしている。

 

あそこに吸い付く音、よだれの音...。

 

恥ずかしいけれど、気持ちがいい。

 

お兄さんの綺麗な顔を、僕のものが汚している。

 

いけないことだと思う程に、前も後ろも感覚が敏感になってゆく。

 

僕はお辞儀をしている格好になっているせいで、元気になったおちんちんの先が、顔のすぐ前で揺れているんだ。

 

ぺろぺろ舐められたり、吸われたり、粘膜同士の感触を味わっていると...

 

「ああぁっ!」

 

突如、足の指まで電流が走り、僕は叫んでしまう。

 

「っう...くぅっ...」

 

両膝をつかんで、崩れ落ちるのを必死で堪えた。

 

「やっぱり...チャンミンは『ここ』が好きなんだ?」

 

「...はい」

 

後ろを振り向くと、口の周りをベタベタにしたお兄さんがにたり、とえっちな顔をして笑っていた。

 

「駄目だから、お兄さん。

汚いから...ダメ」

 

お兄さんは僕の「止めて」なんて本気にしていない。

 

僕のそこから口を離すと「そうだね、汚いね」って、お兄さんはにたにた笑った。

 

「チャンミンの汚いところを、俺は舐めているわけだ」

 

「!」

 

かあぁぁっと全身の表面が熱くなった。

 

たまらなくなった僕は、腰を引いてお兄さんから逃れようとしたけれど、ウエストをさらわれていてそれも出来なかった。

 

「脱げ」

 

耳元で命じられた。

 

「尻だけ出していないで...全部、脱げ」

 

僕は立ち上がった。

 

「脱げ」

 

Tシャツと、膝のあたりで引っかかっていたズボンとパンツを、脱ぎ捨てた。

 

お兄さんは転がっていたスツールを立たせると、そこに腰掛けた。

 

組んだ足に頬杖をついて、僕の姿をじろじろと見た。

 

「...っ」

 

裸は慣れているはずなのに...。

 

今日の僕の身体は、酷くみっともないものに思われた。

 

多分、場所のせいだ。

 

当時は商品に値するだけの、完璧に搾り上げた身体をしていた。

 

商品じゃなくなった今、シューチシンが芽生えた。

 

日頃、お兄さんに愛されているこの身体に、もっと自信を持っていいのだろうけどね。

 

『犬』時代と比べると、余分な贅肉を身にまとっているのは確かだ。

 

今すぐ、床に落ちた服でいいから、せめておちんちんだけでも隠したい。

 

お兄さんは何も言わず、僕を見るだけだ。

 

恥ずかしいと思うほどに、僕のおちんちんは固くなっていく。

 

足の付け根に力を入れると、ぷらぷらとおちんちんの先が揺れた。

 

そのことも恥ずかしくて、両手で包んで隠した。

 

「チャンミン」

 

「はい」

 

「どうして裸になっているんだ?」

 

「え...?」

 

「ここは外だぞ?

昼間で、店の中だ。

チャンミンは常識的な大人の男なんだろう?

それなのに、どうして素っ裸になってるんだ?」

 

「え...っと、それは...。

お兄さんが脱げって言ったから」

 

「へぇ...。

俺が『脱げ』と言ったからその通りにした、って言いたいんだな?」

 

「...は、はい」

 

「嫌なら『イヤだ』って言えばよかったじゃないか」

 

「...はい」

 

「言いなりになる必要はなかったんだぞ?」

 

「...はい」

 

「いいよ、服を着ろよ」

 

お兄さんは「仕方がないな」といった風にあきれ顔で微笑み、床に落ちた服を拾ってくれるた。

 

「でも...」

 

お兄さんは意地悪だ。

 

言いなりになった僕が、服を脱いだワケを知っているくせに。

 

お兄さんはニヤニヤ笑っていて

 

僕らはプレイのひとつとして、今みたいな言葉のやりとりを楽しんでいる。

 

お兄さんは僕を恥ずかしがらせるのが大好きだし、僕はその逆だ。

 

「『あそこ』に行こうか?」と、お兄さんは店の奥を顎で指した。

 

「...え」

 

僕の方へと歩み寄ると身をかがめ、その直後、僕は抱きかかえられていた。

 

 

 

(つづく)

 

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