あなたのものになりたい(29)

 

~チャンミン~

 

二度と足を踏み入れたくない憎むべき場所のはずなのに、いざ来てみると案外平気でびっくりした。

 

お兄さんのおちんちんが、家でのえっちの時よりパンパンになっていて、とても興奮しているのが分かって、僕は嬉しかった。

 

お兄さんは僕よりも繊細で優しい心の持ち主だけど、さすが『元犬』。

 

トラウマがどうのこうのと、こだわるものが多くては『犬』は続けてこられなかった。

 

「いいか?」

 

「いい、いいっ...」

 

床に立ったままのお兄さんは、ベッドに寝っ転がった僕の肩をひっつかんでいる。

 

最高に感じまくっている僕の身体。

 

コリコリに勃ったおっぱいの先が、お兄さんのポロシャツに擦れる感触だけで、えっちな声が漏れてしまった。

 

カエルみたいに開いた太ももに、人の関節の可動域の広さに驚いた...なあんて、真っ最中に関節がどうのなんて気にもしていない。

 

繋がったところをお兄さんに見てもらいたくて、両尻を左右に開いていた。

 

「今日のチャンミンは凄いね。

ここが『犬』の店だから興奮しちゃったのかな?」

 

お兄さんは身をかがめると、鼻のてっぺん同士をくっつけた。

 

「ここは大嫌いな場所なんだろう?

どスケベなチャンミンは、俺に『犬』みたいにヤられて興奮してるんだろう?」

 

お兄さんの汗が滴り落ちてきて、眼に沁みてまばたきしていると、彼にまぶたごと舐められた。

 

恥ずかしいことが好きな僕をお兄さんは知っている。

 

ギラギラ輝くお兄さんの眼はわずか数センチ先。

 

射竦められて、僕は呼吸を忘れてしまう。

 

素直に認めるしかなくなる。

 

「...はい」

 

僕の答えに満足した風のお兄さんは、僕のお尻からおちんちんを抜いてしまった。

 

「...えっ...ちょっと...やだ...」

 

お尻が寂しくなって泣きそうになっていると、お兄さんが洋服を脱いでいるところだった。

 

腕をクロスさせてシャツを脱いでいた。

 

筋肉と骨、すべすべの白い肌。

 

何度見ても惚れ惚れとしてしまう美しい身体だ。

 

僕は女の人とえっちをしたことはないけれど、えっちをしている女の人を近くで見たことはある。

(前のショユーシャは、僕と女の人を並べてえっちをすることが好きな人だったんだ)

 

お兄さんとえっちをしている時の僕は、女の人みたいになっていると思う。

 

お兄さんみたいに逞しくて美しい人の下になる悦びで、いっぱいになるんだ。

 

お兄さんはベッドに上がると、僕を後ろから横抱きにした。

 

僕の片脚は持ち上げられ、心得ている僕はその膝を支えた。

 

「...んぐっ」

 

後ろから貫かれ、深いため息を漏らしてしまう。

 

ベッドから突き落とされないよう、ベッドのへりを掴んでいた。

 

この眺め...窓のない部屋、天井の隅に監視カメラの赤いランプ、シャワールームのドア、壁のフックにぶら下がる鎖と革紐。

 

客に揺さぶられながら、何度この光景を眺めたことか。

 

当時の僕と今の僕は、天と地ほど違う。

 

過去に思いを馳せていたせいで、油断していた。

 

「ああぁっ...ん!」

 

突然、頭のてっぺんまで貫く快感に、悲鳴をあげた。

 

ここで一度、イってしまったらしい。

 

僕は再び仰向けに転がされ、お兄さんは僕の上にもたれかかって体重をかけた。

 

お兄さんに扱われると、僕の身体はぐにゃぐにゃに柔らかくなり、簡単に二つ折りにされるのだ。

 

「...ああっ...いいっ、いいっ...!」

 

その大きくなったモノで激しく出し入れされたり、ぐるぐるかき混ぜられて、お腹の中が苦しい。

 

『犬』だった頃、しんと醒めた頭で、白けた気分で見上げていた天井の空調ダクト。

 

このビニール張りのベッドの上で、フリじゃなく、初めて真の喘ぎ声を上げていた。

 

「いぐ...いいっ...いいっ...いっ、いいっ...いいっ」

 

お兄さんの鼻息が荒くなってきた。

 

数か月前のことだ。

 

僕はお兄さんに買われ、この部屋で、このベッドで、『犬』として彼に抱かれた。

 

『犬』と客だった僕らは恋人同士となって、同じベッドで身体を重ねている。

 

「チャンミンはもう『犬』じゃない。

俺と対等なんだ」

 

何度もお兄さんから言われていた。

 

その言葉は、僕の意識の上っ面をかするだけだった。

 

実感が伴っていなかったのだ。

 

でも、こうして繋がり直しているうち、過去がセーサンされたような感覚に襲われた。

 

僕は無知で頭が悪いから、お兄さんの言葉がすぐには理解できない。

 

ねえお兄さん。

 

僕が理解できるまで、何度も繰り返して。

 

僕といっぱい、えっちして。

 

いっぱいいっぱいえっちをしているうちに、僕は確かに求められていると自信がつくから。

 

今はまだ、いつか僕の手を離してしまうんじゃないかって、怖いんだ。

 

誰かのショユーブツになることは、窮屈だろうけど、捨てられたらどうしようと怖くなるものなんだね。

 

 

ガクガクにシェイクされて、頭がおかしくなっているところに、おちんちんの首で僕の弱いところを重点的に刺激される。

 

一方的に集中的に与えられる快感に耐えきれなくて、身体を起こそうとしたけれど、お兄さんに肩を押さえつけられてしまう。

 

僕らにとってこの体位こそが、相性抜群な繋がり方なのだ。

 

数えきれないほどの客に、中を掘られてきた僕だ。

 

それでも、あのスポットに到達し刺激することができた客は、片手もいない。

 

長ければいいってものじゃない。

 

僕自身がリラックスしていないといけないし、上になる側も奥深く到達できる角度をつかむセンスが必要だ。

 

要は相性。

 

そこは秘部。

 

激痛に涙が浮かんだ。

 

お兄さんのおちんちんの先っぽが、とんでもなく深いところを突いている。