~チャンミン~
本調子でないからか、民ちゃんはお代わりもせず、「痛み止めの薬って眠くなるんですよねぇ」と言って、早々と布団にもぐり込んでしまった。
「今日はお迎えに来てくださって、ありがとうございます」
民ちゃんは、布団から目だけを出してにっこりと笑った。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
~民~
ねぇ、チャンミンさん。
どうして説明してくれないんですか?
リアさんとのこと。
「リアとは籍を入れて、お腹の子と3人で暮らしていくことになりそうだ」って、宣言しないんですか?
今日のタクシーの中で、また私の手を握りましたよね。(寝たふりをしていたんですよ)
宣言をしてくれれば、手を繋いだり私に優しくしてくれることも、単なる友情(?)同志愛(?)みたいなものと受け取るしかなくなって、簡単なのに。
でも、そんな宣言をチャンミンさんの口から聞かされたら...やっぱりショックです。
おめでたいことなのに、私は全然歓迎できません。
ねえ、チャンミンさん。
私が質問するのを待っているのですか?
チャンミンさんが私に触れる度、優しくしてくれる度、私は何度も本気にしてもいいのかな、と迷いました。
チャンミンさんって鈍感ですね。
嫌だったら払いのけるでしょう、普通は?
チャンミンさんに手を握られて、私は嬉しかったんですよ。
気付いてくださいよ。
チャンミンさんばかり責めてて...駄目ですね、私って。
チャンミンさんは身動きがとれないのに。
好きな人がいる、って打ち明けていたのは私の方なのに。
ねえ、チャンミンさん。
私って、勝手な女ですね。
「彼はどんな人?」と問われて、惚気ていたのは私なのに。
私って、欲張りな女ですね。
ユンさんのことも好きだし、チャンミンさんには側にいてもらいたいし、と。
ねえ、チャンミンさん。
私は弱虫なので、チャンミンさんに質問できません。
「私のことをどう思っていますか?」と。
答えを知ったら、苦しくなるから。
でもね、なんとなく...答えは知ってます。
恋人ごっこの時のことです。
私もチャンミンさんも、『本当のこと』を言っていたんですよね?
「大切な言葉だから胸に仕舞ってあるんだ」と言ったチャンミンさん。
この言葉で、チャンミンさんの本心に触れた、と思いました。
私たちって、照れ屋ですね。
あれが現実の話になったらいいなぁ。
無理だってこと、分かってますよ。
ねえ、チャンミンさん。
本気にしないようにしていた理由、分かりますか?
リアさんのことがあるからですよ。
チャンミンさん。
新しいお部屋で、チャンミンさんと花火がしたかったです。
(つづく)
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