(23)会社員-愛欲の旅-

 

 

「んふっ...」

 

チャンミンは椅子に腰かけていて、俺に頭を引き寄せられ身を乗り出した姿勢。

 

俺は立て膝ついたままで、キスし続けるには無理な姿勢だった。

 

「んんっ...ふ...」

 

宿泊棟のここは宴会場から程遠く、どんちゃん騒ぎも届かない。

 

ぺちゃぺちゃと俺たちがたてる唾液の音が、興奮度を加速させる。

 

蛍光灯の灯りですみずみまで明るく、アルコールと興奮でチャンミンの肌が上気している。

 

俺はチャンミンの片衿をつかむと、ぐいっと肩下まで引き落とした。

 

チャンミンの肩と胸が露わになった。

 

「...ん、恥ずかし...」

 

クロスした両手で隠された男の胸。

 

男のごつい身体でも、その気で見るとなかなか色っぽい。

 

膨らみのない胸を手の全体で、女性の胸を扱うように揉んだ。

 

「あ...はっ...」

 

男の声なのに、甘くかすれた色っぽい声...。

 

俺の口の中で、チャンミンの舌の力が緩んだ。

 

固く丸まった突起を、指の腹で転がすと、「ひゃん」と小さく叫ぶからキスが中断してしまう。

 

唇を重ねなおして、お次は摘まんだ上で優しいタッチでこすり合わせた。

 

「あ、あああ...あ」

 

大雪の中、チャンミンと社用車の中に閉じ込められた事件を思い出した。

 

びくびくと身体を震わすチャンミンが面白くて、執拗に胸先を愛撫したっけな。

(パトロールに捕まって飛ばされた)

 

へえぇ...男の乳首も勃つんだ、と感動した覚えがある。

 

「あ、ああ、あ...ん」

 

面白キャラなのに、エロのスイッチが入ると、こうも色っぽい声を出せるとは!

 

チャンミンの全神経は乳首にいってしまっているようで、キスの方がお留守になっている。

 

首筋へと唇を落としてゆき、舌先で鎖骨をたどる。

 

体温が高い胸元は(胸毛はない)...チャンミンの匂いが濃い。

 

もっといじって欲しいと主張する小粒は俺がつまんでいる。

 

乳首を舐めるつもりはなかったけど、浴衣+敷布団の組み合わせに頭が沸騰しかけていた。

 

押し付け合った前は、お互い共に張りつめている。

 

「男同士はどうだかなぁ」と、チャンミンとアレできる気がしていなかったのに、これは案外イケそうだ。

 

それが確認できただけでも、大収穫。

 

今回はここまでにしておこう。

 

おっ勃った状態で宴会場に戻るわけにはいかない。

 

「!」

 

俺の腰にチャンミンの逞しい腕が巻き付いた。

 

そして、俺の浴衣の帯をほどきにかかっている。

 

「待てっ...ここじゃ...」

 

チャンミンの肩を突っ張って逃れようとしたが、伊達に筋トレしていない。

 

「離せっ...

おい、実行委員なんだろ?

戻らないと!」

 

「ユンホさんのが...大事、です!

...んんっ

離してくださいよ!」

 

「誰か戻ってくるかもしれないぞ!」

 

「あ~も~!」

 

チャンミンから逃れたのはいいが、ほどけてしまった帯は彼が握りしめている。

 

「こういうことは...旅行から帰ってからにしよう、な?」

 

「う~ん...そうですけど」

 

「帯を返せ。

びしっとして戻らないとな」

 

「僕はもうちょっと、ステップアップしたかったです。

ユンホさんの、あそ、あ、あそ...こ、アソコを...お触りだけでも...!」

 

「!」

 

部屋の入り口ドアにドン、と何かぶつかる音がした。

 

「!」

「!」

 

誰か来た!?

 

 

(つづく)

 

 

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